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スクランブラーから鉄スクまで!面白いバイクを世界から届ける【東京モーターサイクルショー】

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

【brand pickup】

MOTORISTS(モータリスト)は当初、イタリアのLAMBRETTA(ランブレッタ)FANTIC(ファンティック)を日本で輸入販売する企業として設立されたが、取り扱うブランドをその後に次々と増加。創業からわずか約2年半で、50ccから1200ccまでのエンジンモデルとコミューターからスポーツタイプまで幅広い電動バイクを揃える、超“フルレンジ”なディストリビューターに発展している。そのラインアップを見るだけでワクワクさせられる、まるで「ライダーのおもちゃ箱」や「憧れのガレージ」のような世界を築くバイク好き集団だ。

目次

拡大する「モータリスト」とは?

「モータリストは、おもしろいことに目がない『バイク好きの集団』。ここで働く全員がバイクのことを大好きで、バイクの楽しさをいろんな人に伝えたくてしょうがないんです。だから僕らが取り扱うバイクやブランドは、『バイクの楽しさが伝わる製品』ばかり。単純にカッコよかったり、ライディングフィールとして楽しさが伝わってきたり、電動バイクのように未来にワクワクさせられたり……というように、『楽しさの理由』は車種あるいはメーカーごとに違っているのですが、とにかく僕らは『楽しいバイク』にしか興味がないんです」

こう話すのは、モータリストを率いる野口英康代表。だからモータリストが扱うバイクの多くには、「価格ではない価値」が感じられ、社内だけでなくモータリストの周囲にも「バイク好き」が多く集う。取り扱うバイクの中には、台湾SYM(エスワイエム)が生産する50ccあるいは125ccスクーターのように、楽しさとは少し離れていそうなモデルもあるが、これもリーズナブルな価格や販売店契約の結びやすさ、あるいは安心のアフターサポート体制などさまざまな理由で、モータリストが直接取引する二輪販売店やその先にいるユーザーの「喜び」につながる。そしてそれは、モータリストとしての「楽しさ」にもなるのだ。

今年のショーコンセプトは「マイ・ガレージ」

昨年の大阪・東京モーターサイクルショーで、初めて大きなショーに出展したモータリスト。その当時、すでに7ブランドを抱えていたことから、結果的にモータリストブースには“ごちゃごちゃ感”が生まれ、それがまた、バイクで遊ぶことを心から愛する人たちの集合体であるモータリストを表現するのにとても合っていた。とはいえ、それだけでは「このバイクでどうやって遊ぼうか……」なんてイメージが湧きづらいのも事実。そこで今年のショーでは一転して、「このバイクがウチにあったら、こんな自分だけの空間を作ってみたい!」と思わず夢膨らむような、ビジュアルにもこだわった展示が取り入れられた。

コンセプトは「マイ・ガレージ」。それぞれのブランドを代表する車種を、ガレージあるいはワークショップを思わせる独立した空間に展示。各ブランドが持つ世界観を表現することで、視覚からもより魅力が伝わるディスプレイとなっていた。そしてブースでは、野口代表に加えてバイク声優の「にゃんばちゃん」こと難波祐香さんや、女優・バイクタレントの「つぐみらいだー」こと桜井つぐみさんが、MCなどで大活躍。モータリストのイメージに合う楽しい雰囲気で、会場を盛り上げた。

モータリストが推す注目のブランドを紹介

創業わずか2年半で、すでに取り扱う海外二輪メーカーのブランド数が「10」を超えたモータリスト。これまで扱ってきた主力4ブランドに加え、今春のモーターサイクルショーを皮切りに新しいブランドが2つ加わり、昨年末からスタートしたばかりのブランドもあるなど、最新の話題に事欠かない。「電動新時代」を訴え、これまでにはなかったまったく新しい「エレクトリックモーターサイクル」を用意している点も大きな魅力かつ特徴。ここでは、モータリストが取り扱う多彩なブランドから、とくに注目しておくべきいくつかを紹介する。

【BRIXTON(ブリクストン)
オーストリア生まれの英国風レトロが席巻

2018年のEICMA(ミラノショー)でデビュー。欧州最大級を誇る二輪ディーラー/ディストリビューターとして知られるオーストリアのKSRグループがオリジナルブランドとして企画・開発し、徐々にラインアップを拡大中だ。現在のところ、エンジンラインアップは空冷125㏄シングル、水冷125㏄シングル、、空冷250㏄シングル、水冷500㏄ツイン、水冷1200㏄ツインの5種類。モデルは、5つのスタイルにそれぞれエンジンを組み合わせ、合計13機種となる。

ブリクストンはイギリス・ロンドン南部の地区名で、サブカルチャーの旗手というイメージ。米国には同名のアパレルブランドもあるほど、イギリスのストリートカルチャーを意識させるネーミングだ。KSRそのものはオーストリアの企業だが、現代の若者がリスペクトするイギリスをイメージしてブランディングし、製品を用意して展開している。125~120ccまでの幅広いエンジンと、それぞれに合わせた個性的なラインアップ、細部にまで品質やカッコよさを求めた手抜きのない製品づくりなどが評価され、販路を拡大している。ちなみに、249cc空冷単気筒エンジンはスズキ製、486cc水冷並列2気筒エンジンはホンダ製だが、クロムウェル1200という車種のみが搭載する1222cc水冷バーチカルツインエンジンは自社設計。そしてこの車種があることで、モータリストはついにリッタークラスにまでラインアップの幅を広げたことになる。

【GOWOW(ゴーワオ)
日本初公開&市販予定の電動オフ車

2007年に創業され、電動ホイスト(荷物の運搬などに用いる吊り下げ式の巻き上げクレーン)の生産を手がけ、現在はビジネスの60%以上が海外取引という発展を遂げた中国のMODE(モード)社が、突如発表したまったく新しい電動モーターサイクルがGOWOW(ゴーワオ)のORI(オリ)。自社開発のコンポーネンツにこだわり、初めてモーターサイクルに挑んだとは思えない質感の高さも備える。

ボディは軽量高剛性を誇るアルミ合金製で、バッテリーをフルカバーすることでオフロードバイクに求められる防水性と防塵性を確保(IPX7レベル相当)。バッテリーのマネジメントシステムも自社開発し、モーターメーカーならではの高出力モーターと組み合わせる。特徴的な4リンク構造のリヤサスも自社で開発。ライディングモードを、なんと48タイプに細かく切り替え可能だという。日本では原付二種相当の出力とし、公道走行用の保安部品を装着した状態で、今年6月ごろに再びアナウンス予定とのこと。ボディをフラットな面構成として、足がひっかかるなどのリスクを低減するなど、バイクメーカーではないからこそ発想できた安全性を高める構造も評価したい。

【FELO(フェロー)
新世代の電動スポーツが本格発進!

中国の上海に本社を置くHYT Moto(エイチワイティーモト)社が手がけるのが、FELO(フェロー)のFW-06。2019年EICMA(ミラノショー)の発表以来、熟成を重ねてきた電動スポーツモーターサイクルだ。電動スクーターにありがちなコミューターとしての作りにとらわれず、新時代かつ電動モデルならではの楽しみを実現するべく製品化されている。発表当時から、その革新的なデザインが話題をさらったが、市場に投入されることなく開発が続けられ、15万km以上ものテスト走行により圧倒的な性能と信頼性を獲得している。

モータリストは、EICMAで初公開されて以来、フェローとコンタクトを取り続け、FW-06の熟成に協力してきた。日本で発売されるFW-06は、公道で乗るためには普通二輪免許が必要で、5~6時間の満充電時間と140kmの航続距離を持ち、最高速は110km/hに達する。ちなみにFELOは、Moto-Eのトップチームでもあるグレシーニ・レーシングをスポンサードしており、2023年にはマン島TTレース・TT ZEROクラスへの参戦を計画して車両も開発中だ。

【Royal Alloy(ロイヤルアロイ)
モータリストが手がけるもうひとつのクラシックスクーター

Royal Alloy(ロイヤルアロイ)は、1960~70年代クラシックスクーターの設計とデザインを現代によみがえらせることをテーマに創業された、イギリス中西部に位置するウィガンに本社を置くメーカー。代表のスティーブ・オリバー氏は、イギリスのインポーターとしてランブレッタをはじめとする多くのブランドをイギリスに紹介し、販売してきた経験を持つ。そして、かつて1950年代後半から1960年代にかけて流行したモッズカルチャーとともにスクーターが浸透していたイギリスで、あらためて美しいクラシックスクーターをよみがえらせたいとの強い想いから、ロイヤルアロイを作り上げてきた。

このブランドは「リアルクラシック」を標榜し、当時をほうふつとさせるフルスチールボディ(スペースフレーム+スチールカバー)が自慢。現在では、ボディ全体をスチールで構成する唯一のブランドだ。そのスタイリングは、1960~70年代の先達を3Dスキャニングすることからスタートする精密さであり、当時さながらの美しいフェンダーラインやレッグシールド、サイドカバーに至るまで、見事なプレスワークで再現されている。一方で、液晶メーターや現代のエンジンとCVT、走行安定性を考慮した前後12インチホイールなども採用し、単なるコピーではなく現代のスクーターとして成立させてある。モータリストが2022年春から取り扱いを開始したのは、GPシリーズとTGシリーズの2機種。GPはいわゆるクラシックランブレッタの「シリーズ3」、TGは「シリーズ2」をモチーフとするデザインだ。

【PANDO MOTO(パンドモト)
モータリストにはライディングウエアも!

ライディングを楽しむためには、安全性に優れたライディングウエアも必要……というわけで、モータリストは安全性と機能性とデザインを重視したヨーロッパ発の二輪アパレルブランドであるPANDO MOTO(パンドモト)も取り扱っている。欧州安全規格(EN 17092)を取得したライディングウエアは、転倒時にも破けにくい耐摩耗性に優れたハイテク生地の採用にこだわり、世界的なプロテクターブランドのKNOX(ノックス)社が開発した着脱式プロテクターを搭載する。シンプルで幅広い年齢層と性別と体型にマッチしやすく、バイクに乗っていないときにもスタイリッシュなデザインも魅力だ。

モータリストの骨格となるのはこの3ブランド

創業以来、次々に取り扱いブランドを増やし続けてきたモータリストだが、やっぱりその中心的な存在になっているのは、イタリアのFANTIC(ファンティック)とLambretta(ランブレッタ)だ。そして、これに台湾SYMを加えた3ブランドがあるからこそ、ユーザーや販売店はモータリストの活動を理解しやすいし、こう感じることができるのだ。「すでにファンティックとランブレッタという楽しいブランドをふたつも取り扱っていて、リーズナブルで高品質なSYMまで仲間にいるのに、さらにどんどんブランド数を増やすなんて、モータリストの人たちは楽しいバイクに対してどこまで“どん欲”なんだよ!」と。

とはいえモータリストは、闇雲にブランド数を増やしているわけではない。モータリストがバイクを届ける先には、販売店とユーザーがいる。バイクの品質やメンテナンスパーツの供給などに不安がある状態で取り扱えば、それは両者を困らせることになるからだ。だからモータリストは、十分なアフターサポートが可能かどうかも考慮しながら、楽しさやカッコよさなどを感じられるブランドだけを扱っているのだ。

最後に、モータリストを象徴してきたファンティックとランブレッタを紹介しよう。

【FANTIC(ファンティック)
2023年は世界選手権Moto2にも参戦

1968年、イタリア北部のバルザゴで創業されたのがFANTIC(ファンティック)。いわゆるスクランブラーモデルの生産から歴史を刻みはじめ、モトクロスやエンデューロやトライアルのジャンルに進出。競技にも積極的に参加し、そこで培った技術を市販車にフィードバックしつつ、高品質で高性能なバイクを開発してきた。トライアル世界選手権では1980年代に3度チャンピオンに輝き、1981年にISDE(インターナショナル・シックス・デイズ・エンデューロ)で最高位のワールドトロフィーを獲得するなど活躍。しかし会社経営を誤り、1995年に工場が閉鎖された。その後、2005年に復活して再びオフロードを舞台に活躍するも、2014年に再度倒産。イタリアの投資家グループによって救済され……と、紆余曲折の歴史を持つブランドだ。

現在、そんなファンティックの主力ラインアップとなっているのがキャバレロシリーズ。イタリアンデザインのスクランブラーやフラットトラッカー、専用のアルミスイングアームなどが与えられたラリー/エクスプローラー500もラインアップする。 その他、ピュアオフロードモデルのXEF250/125なども展開するが、共通するのはあくまでもストリートユースにフォーカスした、先鋭的になりすぎない設計思想。2023年にはロードレース世界選手権のMoto2クラスに参戦。新たなチャレンジをスタートしている。

【Lambretta(ランブレッタ)
モダンでスタイリッシュなイタリアンスクーター

ブランドが電撃復活するというニュースにバイク業界がざわついたのは、2017年秋のこと。Lambretta(ランブレッタ)はイタリア生まれのスクーターブランドで、1947年から1970年代にかけて国内外でスクーターを販売。一時期は同郷のヴェスパと人気を二分するほどの人気を博した。

しかし国内労働争議の影響などから1970年代に工場を閉鎖。それ以降、近年に至るまで“ニセモノ”が度々登場してきたのだが、2017年に立ち上げられた新生ランブレッタは、創業家のイノチェンティがオーストリアのKSRグループと共同設立した“ホンモノ”だ。そして、3タイプの排気量(50/125/200)があるVスペシャルというスクーターを展開。ルックスはレトロで、伝統的なスチールモノコックフレームを採用する一方で、LEDヘッドライトなどの現代的な装備も取り入れる。


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