motomeganeでGSX250Rの試乗インプレッションをお届けしたが、同じエンジンを搭載したアドベンチャーバイクが存在する。Vストローム250である。
近年流行りのジャンルといえばフルカウルスポーツだが、徐々に人気を拡大しているのがアドベンチャーバイクだ。
アドベンチャーとはオンロードにオフロードの要素を追加したバイクのことをいう。車でいえばSUVのようなものだと思ってもらえればよい。
そう考えればオンロードバイクのGSX250Rにオフロードの要素を追加したのがVストローム250ということになる。
今回はいつものコースの他に取材で静岡県河津まで往復400キロ走行した。
更に雨男絶好調で走行した7時間の殆どが雨だったので、長距離の快適性や雨中の走破性なども少し話してみようと思う。
Vストローム250(V-strom250)の足つき
オンロードにオフロードバイクの要素を追加する。その配合をどれぐらいにするかでバイクの性格が決まってくる。
Vストロームに関しては限りなくオンロード寄りの性格に纏められているといってよい。そのためシート高は800mm。GSX250Rとの差は10mmだ。
実際に跨ってみるとサスペンションがしっかりと沈み込むのでシート高は数値よりも低く感じる。だが足をおろした際にちょうどステップが当たってしまうので少し後ろ側にずらす必要がある。
両足をつこうとするとつま先はしっかりと設置するが踵は浮いてしまう。片足ならばベッタリだ。車両重量181kgは取りまわしするにも苦労がなく、跨ったままでバイクを押しひきするのも難しくなかった。
燃費
Vストローム250のメーターは多くのインフォメーションが表示される。シフトポジションインジケーターや燃費計などだ。
試乗の際にできる限り同じルートを走って燃費を計測するようにしている。いつも通りのルートで走行した際の燃費は29km/hだった。
これはGSX250Rよりもわずかに悪い。また高速メインに静岡県河津まで走行した際の燃費は36km/Lだった。
燃料タンク容量は17Lと大容量なので連続航行距離はかなり長くなる。河津まで往復400km走行した際も途中での給油は必要なく、燃料系のメモリは三つ減った程度だった。
積載性に関して
Vストローム250にはリアキャリアが標準装備されている。アルミの鋳物で耐荷重は8.5kg。
一般的なアフターパーツメーカーのリアキャリア耐荷重が3~5kgなのを考えると積載できる量は多いといえる。
ただ一点残念なのはGIVIを体表とする一般的なリアボックスの汎用ベースが穴位置の関係で装着できない。
パーツメーカー勤務時代にVストローム250のリアキャリアに汎用ベースを装着するための金具を販売したら大ヒットした記憶がある。
ユーザーのニーズがあるので、次回マイナーチェンジの際には考慮してほしいポイントだ。
リアボックスベースこそ装着できないものの、剛性が高く耐荷重が高いうえに裏をみれば荷掛フックが4か所あるので荷物の積載はしやすい。
タンデムシートとリアキャリアは高さがあまり変わらないので長物を積載することも可能。
フェンダーレール部分が純正パニアケースを装着する設計になっている。
タンデムシートを使って荷物を積載する際にはこの部分に荷掛フックなどを付けることができそうだ。
ハンドルバーは一般的なバーハンドルなのでスマホホルダーなどは容易に装着可能だ。
またメーター左下部分にはDCソケットが純正採用されている。
そのためバッテリー消費が激しいナビアプリを使用しながら充電することが可能なのは嬉しい。
一般道、ワインディングでの走破性
GSX250RとVストローム250はエンジンこそ共通だがギア比のみ変更されている。
フロントスプロケットの丁数が変更されていて簡単にいえばVストローム250は加速重視のセッティングになっている。
GSX250Rと比べると少々重量増しているがギア比の変更によって重さを感じることはない。
このエンジンの良い点は街中での使い勝手の良さ。エンジンブレーキが緩く、低速低回転時にギクシャクしないのでエンストのリスクが少なく小回りがしやすい。
だがギア比の変更の為かGSX250Rと比べればVストロームの方がエンジンブレーキは効く印象だ。
取材の際には天城高原からループ橋を経由して河津まで下ったが途中細かいコーナーが続くルートとなっている。
下りのルートだったこともありエンジンブレーキの効きが良いのはリズミカルに走りやすく、加えて加速重視セッティングのギア比はワインディングにピタリとはまった。
雨天での走破性
筆者はyoutubeやツイッターなどのSNSをやっているが、フォロワーの方からGSX250RやVストローム250の純正指定タイヤは雨天時にグリップしにくいというコメントを頂いた。
なるほど、今回は実に検証しやすい環境だ。小雨が降りしきるワインディング。道はウェットで枯葉なども落ちている。
正直ドキドキしながら走行したが山を下るまで一度もタイヤがスリップすることなく走ることができた。純正指定タイヤのIRC面目躍如である。
高速・長距離走行の走破性は?
実は今回の試乗でGSX250RとVストロームの違いを顕著に感じたのが高速道路での走行だ。
さらにいえば100km/h巡行時に特に顕著に感じる結果になった。80km/h巡行ぐらいまではエンジン回転数に大きな差が出ないのだが10km/h巡行ではVストローム250の方が高くなってしまう。
そのため100km/h巡行するためにはアクセルを常に多めに開けていなければならない。80km/hが気持ちよく、100km/h巡行だと少し無理をして走っているような感じがするのだ。
更に言えばGSX250Rと比べると車体のフォルムによる風の抵抗も巡航速度が上がるほど違いが出てしまう点も小さくはない。
高速道路での100km/h巡行は弱点といえなくはない。
ただVストロームには直立に近い角度に装着されたスクリーン、ナックルガード、大きめのシートなどツーリングを快適にする装備が純正採用されている。
河津の取材では帰りの3時間半程度休憩なしで走行して自宅までの帰路を走った。ツーリング後半では疲れがでやすいものだが、休憩なしで帰宅することができたのはVストローム250だったからだ。
ウインドスクリーンとナックルガードは体に当たる風当たりを大幅に軽減し疲労軽減に役立ったのはもちろん、雨もかなり防ぐ効果があった。
更に広いシートが尻の痛みに効果があった。長時間走っていると後半は尻の痛みに悩まされるはずだ。
最近のストリートファイター系やフルカウルバイクだとお尻の位置が決まってしまう。Vストローム250のシートは大きいのでお尻の位置をずらすことができるのだ。
負荷がかかる位置をずらすことができるので、普段なら「尻が痛いから休憩するか」というタイミングではお尻をずらすだけで紛らわすことができるのだ。
このお値段でこの装備はお得なのは間違いない!
過去にはABSのある、なしを選択できたが現行車両はABS有り一択となった。
それでも価格は61万3800円。
他の250㏄車両と比べても安価でツーリングの為の装備が多数装備されていることを考えればお得といえる。
街中で気軽につかうことができ、長距離も快適なVストローム250は間違いなくお値段以上の一台だ。