【brand pickup】
耐久レースで鍛え抜かれたシールチェーンをそのまま市販車に
バイクレースは車両メーカーだけでなく、パーツメーカーにとっても技術の開発&テスト現場としての役目を持っている。
これまで、サーキットで生まれてきた新技術は枚挙にいとまがなく、それが今日のバイクの高性能化へとつながってきた。
しかし、レーシングマシンとそのまま同じパーツが市販車用として販売されるのはレアケースだ。
サーキットを走るレーシングマシンと公道を走る市販車とでは、速度域やエンジン回転域が違うし、レース用パーツはコストが高い傾向があり、量産市販車向けとしては適さないのである。
だが、RKの市販車向けシールチェーン「XXW Series」は、FIM世界耐久選手権を戦うレーシングマシンにも同じものが使われているのだ。
FIM世界耐久選手権に参戦するCBR1000RR-Rに採用されるRKチェーン
FIM世界耐久選手権(EWC: Endurance World Championship)は、最高峰の耐久レースで、全4戦が行われるシリーズ戦となっており、鈴鹿8耐もそのひとつに含まれている。
レースは8時間もしくは24時間で行われる過酷なもので、マシンに対して「速さ」はもちろんのこと「耐久性」が強く求められるレースだ。
そんなFIM世界耐久選手権において、2022年のシリーズチャンピオン、今シーズンも現在ポイントランキングトップに君臨しているのが「F.C.C. TSR Honda France」であり、同チームのマシンであるCBR1000RR-Rに使われているのが市販品と同じ「XXWチェーン」なのである。
24時間レースでは3500kmを走破!ハイパワーを後輪に伝え続けたRKのチェーン
24時間の耐久レースでは3500km以上を走り、レース中にチェーンの交換は行われないため、1本のチェーンで走り切る必要がある。
公道を走る市販車と比べれば少ない走行距離に思えるかもしれないが、レースでは常に全開走行であり、マシンはハイパワーな1000ccクラスのスーパースポーツである。
コーナーのたびにエンジンブレーキによる負荷と、フル加速の駆動力を受け止め続けなければならず、チェーンの破断はレースリタイヤに直結するため、絶対に起こってはならない事態だ。
レース中は一般公道を走る市販車のように注油が行われることがほぼ無いため、グリスがシールされていないローラーとブッシュの外径の消耗が特に顕著になる。
また、レースではエンジン出力のロスをできるだけ抑えることが耐久性と同時に求められるのだ。
そうした耐久性と低フリクション性を併せ持つのがXWリングを採用したXXWチェーンなのである。
8耐のレースマシンには520サイズを採用するチームも
100分の1秒を争うレースの世界では、極限までマシンの軽量化が求められる。耐久レースでは多くのチームが525サイズを採用するが、24時間耐久では530サイズをチョイスするチームもあるそうだ。
ただし、チェーンのサイズを抑えることができれば、バネ下重量の軽減にも繋がるため、8耐参戦マシンの中には520サイズを使うチームもあるという。
そうしたサイズダウンのコンバートが可能になるのも、RKチェーンの耐久性や強度に対する信頼性があってこそなのだ。
サーキットで鍛え上げられてきたRKチェーン
スムーズな動きとグリスの保持力、そして耐久性を同時に実現する鍵となるのがRKのXWシールリングである。
この形状もサーキットを実験の場として十分なテストが行われ、市販品へとフィードバックされた歴史を持つ。
その他にも社内で十分な評価が行われた後にレースへと投入され、テストされた後に市販品へとフィードバックされている新技術は少なくないそうだ。
そんなRKには“From the Circuit to the Street”というコーポレートコピーがあり、“製品開発の最前線は世界最高峰のレースにある”との考えからレースで蓄積されてきた技術を惜しみなく市販向けチェーンに投入している。
様々なバイクレースで活躍するマシンを支えるRKのチェーン
RKのチェーンは耐久レースだけではなく、世界最高峰のスプリントレースであるMotoGPマシンにも採用されている。
Repsol Honda TeamやRed Bull KTM Factory Racing MotoGPの車両を含め、MotoGPでは、チェーンの耐久性よりも軽量であることが求められるため、専用に開発されたチェーンが使われている。
また、FIM MXGPやFIM Hard EnduroなどオフロードレースでもRKのチェーンが活躍している。
レースと歩んできたRKの歴史
1977年にフランスで開催されたボルドー24時間レースで表彰台を独占したホンダRCB1100は無敵艦隊と呼ばれ、圧倒的な強さを見せた。
そのRCB1100に採用されていたのがRKのシールチェーンだったのである。
それまでのノンシールチェーンは耐久レースを走り切るのに3本の交換が必要とされていたところ、RKのシールチェーンは、1本で走り切るという驚異の耐久性を発揮し、ホンダの勝利に大きく貢献したのである。
その耐久性がレースによって証明されたことで、シールチェーンは市販車向けの製品や純正採用品として大きく広まっていくことになる。
現在につながるXWリングもレースから生まれた
砂漠を走る区間が長く続くダカールラリー。マシンにとってもチェーンにとっても過酷なレースに参戦するホンダワークスのために開発されたのが、フリクションを抑えつつ、異物の侵入を防ぐトリプルバリア構造のXWリングだった。
このXWリングを採用したチェーンでホンダは1986~1989年までダカールラリー4連覇を果たすことになる。
そしてこのレースから生まれたXWリングこそ、今に続く高性能なRKのチェーンの代名詞となっているのだ。
シールリングについては、是非こちらの記事もチェックして欲しい。
高耐久と低フリクションを実現したXXWシリーズ
FIM世界耐久選手権(EWC)や鈴鹿8時間耐久ロードレースのトップチームにも採用されているチェーンと同じ品質で同じ耐久性を持った「XXW Series」は、大排気量のハイパワー向けとしてRK最高峰に位置づけられている。
ラインナップは520、525、530で、表面仕上はスチール、シルバー、ゴールド、ブラックの4種類。
世界耐久の舞台で戦うレーシングマシンと同じチェーンを自分の愛車にも装着してみてはいかがだろうか?