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最近流行りのオフロード。でも通勤通学に使う日常の足はマストだし、そもそもオフロードバイクを買えたとしても置き場所がないんだよね……。そんな悩めるあなたに朗報! 原付二種クラスで公道走行が可能なニコット・PT125ならそんなあなたの希望が両方叶ってしまう! しかも、そんな夢のバイクライフが税込30万円以下で手に入る!?
試乗・文:谷田貝 洋暁
写真:武田 大祐
税込29万5900円の軽量オフロードバイクのニコット・PT125
現在、通勤通学に50ccスクーターや125ccスクーターを活用しているという方も多いだろう。その理由は、当然本体価格が安くて維持費も抑えられる……そんな切実な状況から渋々スクーターを選んでいる人が大半じゃなかろうか? でも、もし税込価格で30万円を切る125ccのオフロードバイクがあると言ったらとても気になるんじゃないだろうか?
そんなありそうでなかった都合のいい話を具現化してくれるのが、(株)アライブプラスが中国・重慶市にある大手バイクメーカー『CHONGQING NICOT INDUSTRY AND TRADE CO., LTD 』から輸入しているニコット・PT125。原付二種スクーターと同じような値段で買えるオフロードバイクが実はあったのだ。
<SPEC>
●全長1940㎜/全幅760㎜/全高1170㎜
●ホイールベース1320㎜
●シート高875㎜
●乾燥車重89㎏
●空冷4サイクル単気筒SOHC2バルブ 124㏄、7.6PS、8.5Nm
●ボトムニュートラル4速
●燃料タンク容量8ℓ
●ブレーキF=ディスク/R=ディスク
●タイヤF=70/100-19 R=90/100-16
●ボディカラー:オレンジ/イエロー
●価格:295,900円(税込)
●(株)アライブプラス ●https://www.alive-plus.jp/nicotpt125/ ●072-703-1974
「いくら値段の安い中華製バイクだってそんなウマイ話があるわけないじゃん!?」なんて思っていたのだが、実車を目の前にしてみると意外にちゃんとしている(失礼!)のである。
オフロードバイクらしい派手なデカールやフロント19インチ&リヤ16インチのブロックパターンタイヤはもちろんなのだが、細部をみるとクラッチの握り幅の調整機構が付いていたり、ホイールにビードストッパーが入っていたり、単なるカタチを真似ただけのバイクではなく、キチンとオフロードバイクに乗ってわかっている人間が設計しているのがよくわかる。
何より驚いたのはその最低地上高でなんと310mmもある。スーパーカブのような横型エンジンを搭載したオフロードバイクと聞いていまいちピンと来てなかったのだが、現車を目の前にすると予想以上に大きな最低地上高にびっくりである。
ちなみにオフロードバイク界のYZF-R1と呼ばれるヤマハのWR250Rでもその最低地上高は300mmである。それよりも10mmも大きいのだから、どんな段差も越えていけそうである。ただ、こうなると気になるのは足つき性だが?
乾燥重量89kgの超軽量オフロードバイクのニコット・PT125は支えやすい
実際にニコット・PT125に触れてみてびっくりしたのは乾燥重量で89kgという軽さ。ガソリンやオイル込みならおそらく100kgくらい。車体はモトクロッサーやエンデューロマシンなどの競技用モデルよりも軽い。シート高は875mmとかなり高めだが軽さのおかげで不安がなく、しかも車体が自転車のようにスリムなおかげで踵が3~4cmほど浮く足着きとなった。この軽さがあれば、押し歩きや取り回しはもちろん、少々シートが高くても不安になることはないだろう。
ニコット・PT125に乗って河川敷に遊びに行ってみた!
早速ニコット・PT125で走り出してみる。ちなみにエンジンはスーパーカブスタイルの横型エンジンと説明したが、自動遠心クラッチではなくギヤチェンジにはクラッチ操作が必要で、ギヤの配列はスーパーカブと同じボトムニュートラル式ではあるのだが、すぐに慣れるだろう。
排気量124ccの4速エンジンとのことで最高速はそこそこなんだろうな? と思っていたのだが意外と速い。法定速度の60km/hはもちろん、少なくとも交通社会の中で車より遅くて怖い思いをするなんてことはなく、むしろ低速トルクが強くスタートダッシュが鋭いおかげで他車をリードできるくらいの力を持っている。これなら通勤通学の足としても申し分なしだ。
ダートセクションのインプレッションにあたって、まずは締め固められた河川敷によくあるフラットダートを軽く流してみる。際立つのはやはり軽さからくる扱いやすさ。このニコット・PT125、乾燥重量で89kgとかなり軽量なことは先にも触れたが、どうやら秘密はメインフレームにありそうだ。
重量が軽いのはもちろんなのだが、横方向の動きがしなやかなおかげで路面へのグリップ感がとても強い。正直、サスペンションなどの足回り装備は約30万円のお値段なりといったところなのだが、この軽い車重と軽量なフレームのしなやかさがそれをしっかり補っている感じなのだ。
それにやはり際立つのが310mmの最低地上高だ。このエンデューロレーサーのような競技車両に迫るグランドクリアランスのおかげで岩や段差を恐れず進んで行ける。河川敷のヤブの中を走っていると思いがけない大岩やギャップで腹打ち! なんてことがよくあるものだが、このニコット・PT125に乗っていればそんなブッシュ探索もなんのその。
河川敷ダートでの走行フィーリングに気を良くしたところで、大きな起伏のあるミニオフロードコース的なセクションにもニコット・PT125を持ち込んでみる。というのもニコット・PT125が搭載するゾンシェン製のエンジンは低回転域のトルクが強く、スロットルに対するレスポンスもいい。スロットル一つでリヤタイヤをズバッと空転させることができたりするので、コース走行しても楽しそうなのだ。
“アクセルターンができる”、これはオフロードバイクでは普通のことだが、125ccクラスのナンバー付きモデルとなると話は別だ。近年の排出ガス規制のあおりを受けて、この125ccクラスのナンバー付きモデルは、フロントアップどころかアクセルターンもしにくいような非力なモデルが多い。
ところがこのニコット・PT125が搭載する横型エンジンは意外にもパワフルでアクセルターンも楽々キマる。また軽量な車体のおかげでマシンコントロールもしやすく、ちょっとしたギャップにアクセルワークを合わせてフロントアップ! なんてことも可能だ。
河川敷遊びからミニコースレベルのコース走行なら十分楽しめることがわかったニコット・PT125。聞けば2022JNCCwexWest朽木スキーリゾートで90テーピングFLでコトイライダーがPT125で1位入賞という結果を残しているというからびっくりである。
JNCC出場にあたっては、オプションで用意されているアルミスイングアームやサスペンションを交換したりと、相当カスタマイズしているそうだが、それでもそこまでの成績を残せるということはニコット・PT125がそれだけのポテンシャルを持っているということだ。
最後にもう一度繰り返させてもらうが、このニコット・PT125はなんと税込29万5900円で、しかも原付二種で公道走行も可能。同排気量帯のスクーターを買って通勤通学だけに使うより、ニコット・PT125買って河川敷で遊んだ方がなんだか面白そうな気がしない?
ニコット・PT125のディティール
車両協力 PRIMARIDE
アライブプラスが輸入する125ccオフロードバイクのニコット・PT125は、全国約60ヶ所の販売協力店で購入可能。ちなみに今回試乗車両をお借りしたのは、神奈川県相模原市にあるプリマライド(株式会社カーター)。同社では、アライブプラスが扱うニコット・PT125やYAMASAKI YM125-Ⅲの販売のほか、アライブプラスから3人乗車が可能なチョイ乗り系トライク「APtrikes125」事業を引き継ぎ全国に卸販売している。
●PRIMARIDE(株式会社カーター) ●https://www.aptrikes.jp ●042-814-8760