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プロのバイクメカニックがCB400SFで実演 燃調キットを使ったキャブオーバーホールとは?

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

【brand pickup】

1992年に登場したホンダCB400SFは2022年に生産終了となるまで30年近く販売されたロングセラーモデルである。

オーバーホール作業を行ったCB400SFは初年度登録96年で燃料計が装備された年式となる。

教習車やバイク便のバイクとして使われることも多く、たくさんの初心者ライダーを育てたホンダのベスト・オブ・スタンダードと呼ぶべき存在だ。非常に乗りやすく、かつ頑丈なのが特徴である。

そんなCB400SFも初期に近いキャブレターモデルは、調子を崩しているものも増えてきている。

目次

バイク便やフードデリバリーバイクの修理も得意とする「アトラクティブ」 

Attractive(アトラクティブ)

住所東京都新宿区原町2丁目5
営業時間11:00-20:00
定休日日曜日・祝日
電話03-6302-1719

新宿区の「 アトラクティブ」は、一般の中古車販売、修理はもちろん、バイク便やフードデリバリーなど「働くバイク」の修理も得意とするバイクショップだ。

同店のお客さんの中には最高83万km!を走ったCB400SFもいるし、現在も走行78万kmのCB400SFがバイク便として稼働を続けているそうだ。

普通に乗っていても40万kmは走るバイクです。非常に丈夫なので20万㎞くらい走ってもエンジン異音などもほとんど出ません。一般の人だと走行2万kmと20万kmのCB400SFを見分けるのは難しいかもしれないですね」と語るのはアトラクティブ代表の後田さん。

多くのCB400SFを見てきただけに、質の良い車両のみを厳選仕入れしているが、キャブレター車のCB400SFはオーバーホールを行わないと調子を取り戻すことができない個体も増えてきている。

キースター燃調キットでコストを抑えた仕上げが可能となる

アトラクティブでは、キャブレターオーバーホール作業の際に、たびたびキースターの燃調キットを使用している。

その理由はコストに優れる点と品質の確かさにある。

キャブレターのジェットが軽く詰まっている時や、フロートから少しガソリンがにじんでいるなど、軽度の不具合の修理の際は、悪い部分だけの部品交換で済むので純正部品を使うことも多いですが、例えばキャブレターをフルオーバーホールしてなるべく新品部品で仕上げたいとお客様の要望がある場合は、部品がすべてセットになっているキースターの燃調キットをおすすめしています

そうメカニックの今井さんが語るように、アトラクティブではキャブレターオーバーホールの費用を圧縮したい場合や、旧車などで純正部品が廃番になっている時に積極的にキースターの燃調キットを勧めている。

キースターの燃調キットとは

燃調キットとはキャブレターのオーバーホールやセッティングを行うのに必要になるジェット類やニードル、パッキン、Oリングなどセットになった車種別のキット。

ラインナップは純正部品が廃番になっていることの多い60年代車から比較的新しい2000年代の車両まで幅広い。

キャブレターは、ジェットの穴の大きさ(番手)を変えることで燃調を変化させることができるが、燃調キットはその名の通り、純正の番手以外にも複数の番手のジェットが同梱されており、オーバーホールだけでなく、セッティングもできるのが大きな特徴だ。

キースター燃調キットを使ったキャブレターオーバーホール手順

今回はアトラクティブにて実際にキースターの燃調キットを使ったキャブレターオーバーホール作業の実例を見せていただいた。

オーバーホールを行うのは中古販売車両として入荷したばかりのCB400SFで、走行は2万kmの後半。

エンジンはかかるが吹き上がりのスムーズさに欠けるので、キャブレターの作業を実施することになった。

四気筒エンジンの証となる四連キャブレターの脱着は短気筒や2気筒と比べると作業はかなり煩雑になる。

キャブレターが単体となったら分解前にフロートチャンバーのガソリンを抜いておく。

今回はガソリン連結パイプからガソリン漏れもなかったので、キャブレターは4連の状態でオーバーホールを行うことに。

燃調キットには各キャブレターを繋ぐ連結パイプ部分のOリングも付属しているので、各キャブを分割したオーバーホールにも対応している。

部品の状態を確認しながら分解を進める。

CB400SFのキャブレターは市販モデルの多くが採用するCV式で、スロットルの操作ではなく、エンジンの負圧に応じてバキュームピストンを上下動させている。

スロットルレスポンスは人間の感覚に合った自然なものなので、そのフィーリングを好ましく思うライダーは多い。

バキュームピストンのゴムのダイヤフラムに穴が開いていないか光に透かして確認する。

続いてエアクリーナー側のマニホールドを分解する。ここに空気の通路が集約されている。

フロートチャンバーを分解する。ここを見れば、キャブレターのジェットが詰まっているか? ガソリンタンク内は錆びていないか?などが判断できる。

4つのうち1つのパッキン部に液体ガスケットが塗られていた。おそらくガソリンの滲みを応急処置をしたものと思われる。

キャブレターに入る燃料の量を調節する「フロート(浮き)」を取り外す。

低速域の燃料の量を調節するパイロットジェットを取り外す。長期不動車は詰まりやすい。

アイドリング時の混合気の量を調整するパイロットスクリューを取り外す。外す前に戻し回転数を記録しておく。

パイロットスクリュー先端部には非常に小さなOリングとワッシャーが組み込まれている。キャブレターボディに残ってしまうこともあるので、確実に取り外す。

手際よく作業が進んであっというまに4連キャブレターの分解が終了。

外側と内側でジェットの番手が違うこともあるので、外した部品はどのキャブレターのものなのかしっかり分別してある。

ここからキャブレターボディの清掃を行う。キャブレターオーバーホールの肝は、徹底した洗浄にある。

キャブレターボディのすべての通路にキャブレタークリーナーを吹き付けて念入りに洗浄する。

フロートチャンバー内のゴミや腐って固形化したガソリンもキャブレタークリーナーを吹いて浸け置きして確実に除去しておく。

キャブレターの汚れがきれいになったら、パーツクリーナーでキャブクリーナーを洗い流して、コンプレッサーのエアーですべての通路を吹いて乾燥させておく。

キースター燃調キットを使ったCB400SFキャブレターの組み立て

燃調キットにはマニュアルが付属し、ノーマルのキャブレターの番手やパーツリストが記されているので、それを参考に組み立てる。

すべてのジェットを新品に交換して好調なキャブレターを目指す

パイロットスクリュ、ワッシャー、Oリング(左上)。ジェットニードル(右上)。ドレンスクリュ(左下)。ニードルバルブ(右下)は、全て燃調キットに同梱されている。

メインジェット、パイロットジェットは純正の番手で組み上げた。

古いジェットはガソリンのゴミで穴が詰まったり、狭まったりすることでセッティングが狂ってくることがある。

また、詰まりを無理に針などで清掃すると、穴が拡大してしまい、やはりセッティング不良要因となる。

サイズの合ったドライバーを使用し、適正なトルクで締め付ける。柔らかい真鍮製のジェットは、締めすぎるとかんたんに嘗めてしまう。

ニードルジェット、メインジェット、パイロットジェットが新品になり、見た目にもリフレッシュしているのがわかる。

フロートに燃調キット付属のニードルバルブを組み付ける。ニードルバルブ先端が段付き摩耗したり、ゴミが挟まったりすることでオーバーフローの原因となるが、新品になればその不安も低減される

ただし、燃料タンクが錆びていると、錆がキャブレターまで流れてきてオーバーフローを引き起こしてしまうので、長期不動車は燃料タンク内をよく確認する。

フロートチャンバーの合わせ目もガソリンが漏れやすい部分。永年の使用で潰れてしまったパッキンを燃調キットの新品に交換することで、しっかりガソリンをシールすることができる

パイロットスクリューは外した時と同じ戻し回転数で復元して、最終的にエンジンを始動した状態で調整を行う。

バキュームピストンに燃調キットのジェットニードルとOリングを組み付ける。

バキュームピストンはゴムの部分を折り返して写真の状態で組み付けると、キャップを締め付ける際に挟みにくい。

ドレンスクリューをしっかり締め付ける。キャブレターが組み上がったら車体に復元する。

今回のオーバーホールで交換した部品。これだけの数が新品になるので、キャブレターは機能を大きく回復することができる。

CB400SFのキャブレター復元とエンジン再始動

オーバーホールが終わったキャブレターを車体に復元する。

スロットルワイヤーをキャブレターに接続して、車体左からエンジンとエアクリーナーの隙間にキャブレターをスライドさせるように挿入する。

燃料タンクは後で古いガソリンを入れ替えるなどの処置を行うので、ガソリンボトル(通称:点滴)で暫定的にエンジン始動を行った。

数秒セルを回すと、エンジンは力強くアイドリングを始めた。エンジン異音も無くスムーズに吹き上がる。セッティングも良いところに来ているので、このまますぐに走り出せそうだ。

この後、必要に応じて同調調整やパイロット調整を実施する。

キャブレター車を愛するライダーの救世主「キースター燃調キット」

セル一発ですぐに走り出せるインジェクションのオートバイは素晴らしいものだ。

一方で、アナログ制御のキャブレター車は、特別な診断機を使わずに不調診断や修理ができるのは利点である。また、負圧式かキャブレターのおおらかなフィーリングはインジェクション車ではなかなか得難いものだ。

時を経るごとに減少していく貴重なキャブレターモデルを楽しみたいという根強いファンは少なくない。

そうしたユーザーがキャブレターの補修部品やコストの心配をせずにバイクライフを楽しむことができる心強い味方となるのがキースターの燃調キットである。

これからキャブレター車の購入を考えていたり、現在キャブレターの不調を感じてリフレッシュを考えている場合や、マフラーやエアクリーナーなどを交換してキャブレターセッティングをしたいなら、ぜひ、キースター燃調キットを使ってみてはいかがだろうか。

取材協力

東京新宿区のアトラクティブ

店舗の裏手は昭和テイストのレトロ看板となっており、通りかかりのライダーが愛車のバックに撮影していることもあるそう。

バイク便の過走行車のメンテナンス経験も豊富なアトラクティブは、CB400SFに関するノウハウも豊富。写真左が後田(あとだ)代表で、写真右がキャブレターオーバーホールの手順を見せていただいたメカニックの今井さん。

キャブレターメンテナンスはもちろん、バイクの修理で困ったらぜひ、アトラクティブに相談してみはいかがだろうか?

今井メカは、プライベートでカタナ750のボアアップカスタム車所有しており、キャブレターはGSX-R750純正のTMXに換装しているが、そのセッティングに燃調キットを使っているそうだ。

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