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【続編】モンキーにカブのエンジンを合体だ! 組み合わせるキャブはCB50Jの純正品

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

【Brand PR】
2ヶ月前、同じようなタイトルで記事を投稿している。
タイトルどおり、CB50Jのキャブレターをオーバーホールするという内容だった。

そして今回お届けするのは、モンキー(Z50J)とカブ70のエンジンを合体させ、キャブレターのセッティングを行なう…という記事である。
「なんのこと?」という人は、まずは前回の記事を読んでほしい。

目次

キースター燃調キットでオーバーホールした結果

サブロー

こんにちは! ライターのサブローです。
前回に続き、中古キャブのセッティングに挑戦します!

使用するキャブはホンダ・CB50J純正の中古品で「PC18」と呼ばれるモノ。
なお、前回の記事ではPC16と表記していたが、ベンチュリー径がφ18だったのでPC18であることが分かった(現在は記事内表記をPC16→PC18に訂正済み)。

このPC18はネットオークションで購入したモノ

オーバーホールは大成功。
キック1発で始動するしアイドリングも良好。異音やガソリン臭もない。
ただ、セッティングがCB50Jの49cc用になっているので、カブ70の72cc用に合わせる必要がある。

というわけで今回の本題は、キースター燃調キットを使ってキャブレターが性能を100%発揮できるようにセッティングすることだ。

※キースター燃調キットは500種のキャブレターに対応。「希望の車種に対応する燃調キットが見つからない場合は、問い合わせフォームまたは電話にてご連絡ください。可能な限り対応させていただきます」とのこと

モンキーとカブのエンジンを合体

話題が前後するが、キャブセッティングの前にエンジンの解説を少し。
49→72cc化についてだ。

モンキーの4速リターンミッションは残しつつ、カブ70のピストン、シリンダー、ヘッドを移植して72cc化する

実はこれ、モンキー愛好家から絶大な支持を得ている「原付板(げんつきばん)」というサイトを参考にしたものである。
転載・引用なんでもOKとのことなので、お言葉に甘えて紹介させてもらった。
エンジンの仕様はそのサイトに掲載されている。

中古カブ70のエンジンを購入

中古エンジンをネットオークションで買うのはさすがに心配だったため、地元のバイクショップから購入。右のタバコと灰皿は謎

ここで問題点がひとつ。
原付板にはカブ70の純正シリンダーブロックやピストン、ヘッド、ダックス70のクラッチなどを新品で購入するように書いてある。当時だと総額は7~8万円とのこと。ただ、それは20年前の話。

今そんなことをしたら10万円以上、下手をすると当時の倍以上の金額がかかってしまう。

サブロー

そもそも純正部品が欠品していて
新品が買えないパーツが多いんですよね…

仕方がないのでバイクショップから中古のカブ70エンジンを売ってもらうことにした。

手前がカブ70のエンジン。87年式とかなり古く、見た目は悪いが内部の状態は良好だった

腰上はカブ70、腰下はモンキー

エンジン仕様をイチから解説すると本題(キャブのオーバーホール)からどんどんズレていくので簡潔にまとめると…

・エアクリーナー→モンキー純正改 + デイトナ ターボフィルター
・キャブレター →CB50Jキースター燃調キット
・マニホールド →キタコ
・エンジン腰上 →カブ70
・エンジン腰下 →モンキー
・マフラー   →ミニモト
・クラッチ   →早矢仕 単板強化クラッチ

エアクリーナーはモンキー純正を改造。
吸気口の面積をDIYで約50%拡大した
モンキーにPCキャブを装着するには社外マニホールド必須。今回はキタコを選択
マフラーはミニモト。125ccまで対応する大径マフラーだが音量は控えめだ
左が49cc用ピストンでφ39。右が72cc用ピストンでφ47だ。拡大率は約47%
早矢仕の単板クラッチ+強化スプリング。人情あふれる手書きのマニュアルだ
キャブオーバーホール&セッティングにキースター燃調キットを使用

こんな感じでエンジンを組んである。

メインテーマとして「ホンダの3大名車を合体させて珠玉の1台を作ろう!」があるため(前回参照)、なるべくホンダ純正品でまとめてみた。

なお原付板ではPC18ではなくPB16(カブ70純正キャブ)を使用。
エアクリーナーもキタコのパワーフィルターを推奨しているが、ここはオリジナリティを優先して上記の組み合わせ
にした。

CB、カブ、モンキーこそがホンダの3大名車だ(と思う)

ちなみに、純正を加工したエアクリーナーはパワーフィルターと同等の吸気効率を達成しつつ、消音性も確保している。
需要はないと思うが、もし詳細を知りたい人がいればコメント欄へ。

セッティング開始

なにしろ3車種のキャブと腰上と腰下を合体させた奇っ怪なエンジンである。
参考になる情報がほとんどないので手探りでキャブセッティングをするしかない。

ひとまずCB50Jのノーマルセッティングからスタートした。

キースター燃調キットに救われる

キースター燃調キットのいいところは、キャブのリペア&セッティングをひとつのキットで可能にしていること。

そしてセッティングパーツの種類が非常に多いこと。
このことが今回のセッティングで救われる要因になった。

メインジェット6種類、スロージェット3種類

引用:ヤマハ発動機「YZ125取扱説明書」より
キースター燃調キットの同梱されているパーツ一覧

まずはジェット類。数字は上記イラストを参照。
⑦メインジェットはアクセル開度3/4~全開の燃調を、
②スロージェットはアクセル開度全閉~1/2の燃調を
つかさどるパーツだ。
※上記イラストの「2.パイロットジェット」はスロージェットのこと

セッティングの結果、メインジェット・スロージェットともにCB50Jのノーマル状態から以下のように1段ずつ濃くするのがベストだった。

メインジェット:♯85→88
スロージェット:♯38→43

サブロー

ただ、このセッティングにたどりつくまで
30回くらいキャブ分解→テスト試走しています…。

その理由は以下。

【ココが重要→】ジェットニードルが4種類

4本並んだ針状のパーツがジェットニードル。
ストレート部分の太さ、先端部分の角度がわずかに異なる
シルエットだとストレート径と先端の角度(テーパー角度)の違いがわかりやすい。太い方が薄いセッティングになる

難航したのはジェットニードルのセッティング。
これは先述のイラストだと③アクセル開度1/4~1/2の燃調をつかさどるパーツだ。

ニードルは4種類。しかし迷わずノーマルと同形状(同じストレート径)のモノを選択した。
過去に4回キースター燃調キットを使っていて、すべてノーマル形状でセッティングが出たからだ。

サブロー

岸田精密工業には申し訳ないけど、太さが違うニードルを用意してくれても自分には宝の持ち腐れだったんですよね…。


…と思っていたが、今回はノーマル形状のニードルだと、どの位置にクリップを合わせてもセッティングが出ない!

そのため、今回初めてストレート径を変えてみることに。
すると症状が改善され、クリップの位置を試行錯誤することでベストセッティングが出せた
のだ。

もしも手元にノーマルのニードルしかなかったら、どうあがいても濃い状態。
セッティングが出せずにお手上げだった。

キャブを組む→テスト走行の繰り返し。
大変だがいろんな発見があって面白い
スロットル開度を確認するため、即席の目盛りをグリップに書き入れている
セッティングノートは必須。データを残しておかないと一気に泥沼化する

結果はストレート径がもっとも太く(燃調が薄い)、クリップは上から5段目(もっとも薄い)状態。
つまりニードルを最大限に薄くして、やっとベストのセッティングにたどりつけた
のだ。

ただし、今回のように「ジェット濃い/ニードル薄い」という真逆のセッティングは一般的ではない。
セオリーはジェットを濃くすればニードルも濃くする…のように方向性を合わせたセッティングになる。

そうしたイレギュラーもあって30回もセッティングをやり直すことになったが、ニードルが複数用意されていたことで救われる結果となった。

キースター燃調キットのココがすごい!

今回で5台目となったキースター燃調キットによるキャブレターセッティング。
過去4台はノーマルエンジンノーマルキャブの組み合わせだったおかげかカンタンに作業ができた。

しかし今回は腰上・腰下・キャブがバラバラの車種というキメラ的エンジンだったためかセッティングが難しく、「今回はさすがにムリか…」と何度もあきらめかけたが、トライ&エラーを繰り返してなんとか95点くらいの状態に持っていけた。

これはキースター燃調キットのおかげといっても過言ではないだろう。

バラつきのない『精度』と純正品の『再現性』

ジェットやニードルは1/1000mmの差で性能が変わってしまうほど緻密なパーツ。
岸田精密工業によると「何百個何千個製作してもどれも正確に再現できる製作体制をとっています。」とのこと。

もし、この精度&再現性がいい加減だったらセッティングどころではない。
キャブ不調の原因がどこなのか分からず泥沼化、もしくは失敗していたハズだ。

形状の違うジェットニードルを複数用意

キャブレターのセッティングキットは他社からも販売されているが、ニードルのサイズ違いまでセッティングの幅を広げているのは岸田精密工業が世界初

繰り返しになるが、今回はそのおかげでベストのセッティングを出すことができて非常に感謝している。

まとめ

インジェクションモデルが主流の現代だが、まだまだキャブレター愛好家は多い。
その理由は、手を加えることで違いをハッキリと感じられる楽しさがあるからだろう。
調子がよくなれば喜びが大きいし、構造がシンプルなのでプラモデル感覚でイジることができる

排気量UP&セッティングしたモンキーはまるで別モノのように速くなった。
幹線道路でもクルマの流れに乗れるようになってひと安心だ

実を言うと自分はキャブレターメンテを覚えて1年くらいのビギナーで、それ以前は愛好家の気持ちなど1ミリも理解できていなかったが、実際に作業するようになってからはこの世界にどハマり。
とくに今回は苦労しただけあって喜びが大きく、愛好家たちの気持ちも少しわかるようになってきた。

この記事を読んで、もし興味がわいた人はぜひキャブレター車とキースター燃調キットを手に入れて、この魅惑の世界を体験してはどうだろうか。
バイクの楽しみ方の幅が大きく広がり、見える世界も変わってくるハズだ。

※キースター燃調キットは500種のキャブレターに対応。「希望の車種に対応する燃調キットが見つからない場合は、問い合わせフォームまたは電話にてご連絡ください。可能な限り対応させていただきます」とのこと

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