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旧車バイク乗り必見!くたびれたFCRキャブレターは「逆転蘇生キット」で性能を取り戻せ!

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

目次

レーシングキャブレターを装着するとエンジンの性格は激変する!

バイクのエンジン性能を高める手法のひとつに吸排気系のチューニングがある。排気はマフラーの交換で、吸気は現行モデルであればインジェクションコントローラーによってガソリンの吐出量を調整するが、キャブレター車の場合はノーマルよりも充填効率が高いレーシングキャブレターに交換するという手法がある。

絶版車のバトルが楽しめる「テイスト・オブ・ツクバ」に参戦しているGSX400Sカタナ(ZERO-4クラス・ライダー:原口選手)はタイムを削るためのチューニングが各部に施されている。
キャブレターは京浜製のFCR32。FCRとは、フラットバルブのCRキャブレターの意。後ろの数字は口径を表す。
ケイヒンFCR同様人気があるレーシングキャブレター、ミクニ製のTMRにヨシムラのパーツを組み込んだキャブレター。

レーシングキャブレターの効果は非常に高い。誰にでもどんな季節でも扱いやすく設定されているノーマルキャブレターに比べると、車種や季節にあわせたセッティングが必要だとか冷間時の始動にコツがいるなど制約はあるものの、セッティングが決まったときにはノーマルキャブレターを大幅に上回るレスポンスの良さとパワーアップが実現する。その変化具合はインジェクション車よりも大きいことが多い。
そこに魅力を感じているライダーが多いのは事実だ。

GSX400Sカタナのノーマルキャブレター。始動性、アクセル操作の軽さ、扱いやすいパワーフィール、燃費などトータルバランスに優れている。
70〜80年代のレースシーンで多く使われていたミクニ・CRキャブレター。ノーマルに比べると充填効率が高いが、アクセル操作が重くなったりセッティングなどの扱いが難しい。
CRキャブレターよりも吸気性能を高め、アクセル操作が重くなるなどの弱点をカバーしたのがFCRキャブレターだ。セッティングしやすさも向上している。

レーシングキャブの維持はノーマルキャブよりシビア

大幅なパワーアップが期待できる反面、セッティングやメンテナンスなど気を使うことが多いレーシングキャブレター。レースでは頻繁に整備するので問題ないが、ストリートで使う場合は定期的なメンテナンスが必要となる。それもキャブレターに詳しい専門家にやってもらうことが望ましい。年間通して気軽に使い続けられるノーマルキャブレターとは根本的に違うモノである。
パワーアップの代償でもあるので致し方がない話ではあるが、これから導入を考えている人は意識したほうがよいことだろう。

実はFCRキャブレターには長期間使っていると発生する弱点がある。それはキャブレター本体の中でアクセルワイヤーによって上下に動く浮動バルブ(スライドバルブ)の構造に由来するもの。
浮動バルブの横には負圧(空気の流れ)によって本体の溝に張り付く(スムーズに動かなくなる)ことを防ぐローラーが4個付いている。

時間が経つとそのローラーが本体の溝部分に凹みを作ってしまうのだ。
もちろん数年、数千キロ走った程度ではびくともしない。しかし十数年とか、何万kmといった長期間使い続けると写真のような凹みができてしまう。

こうなるとその凹みに浮動バルブが引っかかってスムーズに動かなくなる。するとアイドリングが不安定になったり、アクセル操作が部分的に重くなったり、レスポンスが悪くなって息をついてしまうなどの悪い現象が起きてしまう。構造上の持病のようなもので、こうなると本体を交換する=新品に買い換えるしかなくなってしまう。

レーシングキャブレターはその名の通りレース用に開発されたものなので、定期的に専門家がメンテナンスし、不具合が出たら交換するというスタンス。ストリートで長期に渡って使った場合の耐久性までは考慮されていないと考えてもいい。そのあたりはノーマルキャブレターの方に分がある(もちろんノーマルキャブでも摩耗する部品はあるが、はるかに長期間安定したパフォーマンスを維持するし、部品交換もしやすく設計されていることが多い)。

しかしレーシングキャブレターの高性能を一度味わってしまうとそれを手放すのは惜しくなる。だが不調のまま使い続けたくはないし、もう一度新品を買うのはコスト的にも厳しい…。
オーナーとしては悩ましいところだ。

くたびれたFCRを復活させるキットがある!

そんなFCRキャブレターの持病を解消するキットがキースターから発売されている。
「FCRキャブレター逆転蘇生キット」である。

キットにはステンレス製のレールとそれにあわせたベアリング、ローラー、そして浮動バルブから元のベアリングを外す工具と圧入する工具などが一式入っている。

これは単気筒用のキット
4気筒用はステンレス製のレールやベアリング、樹脂ローラーなどが4セット入っている。

凹みができてしまった本体の溝にステンレスのレールを組み込み、浮動バルブにはそれにあわせたサイズの樹脂ローラーを装着することでスムーズな動きを回復させると同時に、耐久性も大幅に高めるというもの。
まさにアイディア商品である。

ステンレス製のレールを本体にインストール

それではキースターの「FCRキャブレター逆転蘇生キット」取り付けの流れを紹介しよう。
まずは完全にバラした本体を用意。本体は鋳造品なので長い期間使っていると左右の溝の部分にローラーによって凹みができてしまうのも仕方がない。

そこにステンレス製のレールを組み込む。

レールの裏面についている両面テープの剥離紙をはがし

本体の溝にはめ込む。わかりやすいようにカットモデルで作業しているが、実際には本体は分割ができないので1枚目の写真の開口部から差し込むことになる。

少し浮かせた状態で溝とステンレスレールの位置を正確にあわせる。

位置決めができたら付属のヒノキ棒を使ってレールを壁面に押し付けて密着させる。

すき間なく貼り付けることができればレールの再生は完了。
凹みがなくなるだけじゃなく、ステンレス製なので耐久性も高まる。

浮動バルブの樹脂ローラー&ベアリングを交換

次に浮動バルブの樹脂ローラーとベアリングをステンレスレールにあうサイズのものに交換する。
まず元のローラーをドライバーなどを使って外す。

続いて元のベアリングを外す。
ベアリングは圧入されているので、キットに付属している「特製プーラー」を使う。

横から「特製プーラー」を差し込んでセンターにあわせ、レンチで抑えて上のハンドルを回す。
するとベアリングが浮き上がってきて外れる。

次にキットに付属している新しいベアリングをセットし「スロットル固定治具」を使って圧入する。

元は4つのローラーのうちベアリングが入っているのは3つだが、逆転蘇生キットでは4つともベアリングが入るため、さらにスムーズな可動が期待できる。

ベアリングに樹脂ローラーを押しこんだら浮動バルブの再生は終了となる。

以上の流れはYou Tubeの<KEYSTERチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCeszhEYIOg-bvSdazDxKtag)>でも見ることができる。

アクセルの操作性やパワーフィーリングが復活!

本体に浮動バルブをセットしスムーズに動けばキースターの逆転蘇生キットの組み込みは終了となる。キャブレターを元通りに組み立てたら、アクセル操作の軽さやスムーズさはほぼ新品と同じ状態に戻っているはず。これでレーシングキャブレターの高いパフォーマンスを再び手にすることができる。

また現在FCRを使っていて「調子が良い」という人も導入を検討してほしい製品でもある。
というのも早めにこのキットを導入することで本体に凹みができる不安を解消し、好調さを長期間、維持することができるからだ。「延命キット」的な面も持っている製品なのである。

新車がほぼすべてインジェクション車になったとはいえ、中古車ではまだまだキャブレターのバイクを手に入れることはできる。
ジェット類の交換によるセッティングなど、インジェクションとは異なるキャブレターならではのアナログ感あふれるエンジン・チューニングをじっくりと楽しみたい。

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