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【おとなの社会見学】教えて中の人! バイクの燃調キットのキースターに7つの質問を聞いてみた

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

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兵庫に本社を構える岸田精密工業が手がけるキースター燃調キット
すでに過去の装置となったキャブレターを現代でも楽しめるのは、このキットのおかげだと語るショップやサンデーメカニックは数多い。

キャブレターは構成部品が非常に小さく、100分の1㎜の違いで性能が変わるという。

そんなデリケートな部品を作り出すメーカー・岸田精密工業はどんな企業なのか?
細かいパーツを正確に製造するためにどんな技術を駆使しているのか?

同社の広報部長・藤原広基さんに7つの質問に答えてもらった。

岸田精密工業で広報部長を務める藤原広基さん

Q.1 キースター燃調キットの役割って

藤原広基さん(以下:藤原):「大きく分けて二つあります。一つは『新品の状態に戻すこと』。使い込まれて調子が落ちたキャブレターを元の状態に戻す作業です。適切な空燃比を調整してやれば、新車のような走りが蘇ります。」

—— もう一つは?

エンジンや吸排気カスタムをした場合、燃料の供給量(=燃調)を適切にする必要がある

藤原:「『チューンナップすること』ですね。これはバイクをより楽しい乗り物にするための調整です。対象はカスタム車。たとえば、エアフィルターやマフラーを交換したり、エンジンをボアアップしたりすると、それに合った燃調が必要になります。我々の仕事は、ライダーが求める理想のバイク作りをサポートすることです。」


Q.2 純正パーツを1/100mm単位で再現できるのはどうして?

職人:「まず純正パーツの採寸を行います。この作業は正確な測定器があれば問題ありません。次の旋盤加工が重要で、わが社では1/100mm単位で削り出せる旋盤加工機を導入し、純正パーツと同じ寸法を入力して数個~数千個規模で、まったく同じ精度の部品を作ります。」

—— その精度を維持するために、とくに気をつけていることは?

藤原:「ピンゲージや治具を使って、製造したジェットの穴径やサイズを細かくチェックしています。最初、中間、最後の製品を確認し、すべて同じ精度で作られているかを確認するんです。ただ、公差(許容範囲の誤差)から外れるパーツはほとんど出ませんね。」


Q3.「新しい製品を作ってよ!」とお客さんから頼まれたら?

藤原:「キースター燃調キットは現在500車種以上に対応していますが、もちろん未対応の車種もまだまだあります。『この車種のキャブパーツを作ってほしい』という要望を受けた場合、お客様が使っているキャブを送ってもらいます。それをもとに採寸し、試作品を作るという流れですね。」

—— 試作品がそのまま製品化される?

藤原:「送ってくださったキャブが正常で、パーツを再現できる状態であれば試作品を製品化しますが、残念ながらお蔵入りになるケースもあります。市場のニーズや製造コストを考えると、どうしても採算が取れないものもありますから。」

—— お客さんが送ってくれた中古キャブは摩耗しているから新品同様の採寸ができないのでは?

藤原:「摩耗していても純正品であれば問題ありません。キャブパーツには摩耗するパターンがありますから、我々のノウハウをもとに逆算して新品時の寸法を割り出して再現できます。」


Q.4 キースター燃調キットで販売数が最も多い車種は?

藤原:「カワサキのゼファー/ゼファーΧ(400)です。以前はレーシングキャブに交換する人が多かった車種ですが、最近は『純正の状態で乗りたい』というライダーが増えています。30年以上経った今でも、多くの人がこのバイクに乗り続けられることは素直にうれしいですね。」

—— 旧車ショップや旧車オーナーから、キースター燃調キットは必需品という声を聞いています。

カワサキ・ゼファーΧ
キースター燃調キットを使う旧車ショップは数多い

藤原:「そう言っていただけることは本当にありがたいです。たしかに『このキットがあるから旧車に乗り続けられる』という声をいただくこともあります。我々が提供しているのは単なる部品ではなく、旧車を愛するライダーたちの“バイクライフ”なんです。」

Q.5 キャブレター内部でとくに重要度が高いパーツは?

藤原:「ニードルジェットですね。乗り味に大きく影響する超重要なパーツです。このパーツはニードルとこすれ合う部分ですから、長く使っていると片減りを起こすんです。楕円を描くように減っていき、目視できないレベルで摩耗していきます。しかも摩耗のスピードが遅いため、変化に気づきにくいんです。

ジェットニードル(針)が上下することで燃料の供給量が変わる。それを支える筒がニードルジェットだ

—— ニードルジェットが摩耗するとどうなる?

藤原:「燃料の通路が広がるわけですから、濃い症状が出てしまいます。しかもニードルジェットはアクセル中開度域を担当するパーツです。つまり街乗りやツーリングでもっとも多用する領域に影響を及ぼしてしまうんです。気づかずにメインジェットなどでセッティングを出そうとして沼にハマってしまうライダーの声をよく聞きますね。

—— ニードルジェットを新品にすると?

藤原:「スムーズに吹け上るようになったと感激されるお客さんが多いです。ただ、このパーツの存在を知らない方もいらっしゃいます。多くのキャブレターはニードルジェットを取り外せますが、それを知らず古いまま使ってしまうケースもあるようです。キースター燃調キットにはもちろん新品のニードルジェットが入っていますので(※)、古いキャブレター車に乗っている方はぜひお試しください。
※ニードルジェットが取り外せる車種に限る


Q.6 「あの鳥」は何者?

—— ホームページや説明書に出てくる鳥のキャラクターについて教えてください。

藤原:「あれは創業者が考えたキャラクターです。もともと燃調キットの展開図面(説明書)にキャブレターのイラストを一つ一つ描いていたんですよ。ただ、その作業が大変でやめてしまったんですね。そうするとイラストのスペースが空いてしまう。そこで創業者が『キャブの形って鳥に似てるな』と思い、あの鳥のイラストを描いたことが始まりです笑。つまりあの鳥は、キャブレターの擬人(鳥)化キャラとして生まれたんです。」

—— どこにも情報がなくて、いったい何者なんだろうと不思議でした。

チャットGPTもわからないという
Grok 3は「鳥」であることさえ疑問視する回答だった

藤原:「そうでしたか笑。ちなみに正式名称は『キャブバード』。愛称は『バードちゃん』です。実は、かつて燃調キットにはキャブバードのステッカーを封入していたんですが、やめた途端に『なんで最近入ってないの? 欲しいんだけど!』という問い合わせが来て…。まさかアレを欲しがる人がいるとは…。今でもたまに問い合わせがあるので、意外と愛されているキャラなんだなと実感しました。」

—— そのステッカーはもう手に入らないんですか?

藤原:「新たに作ることはありませんが、昔に作った在庫が20枚ほど残っています。この記事を読んで欲しい』と思った方は公式サイトのお問い合わせフォームまでご連絡ください。


Q.7 インジェクション時代にキャブパーツを作り続ける理由は?

藤原:「キャブレター車を長く大切に乗りたいと望むお客様がいらっしゃるからです。ありがたいことに全国各地から注文をいただいています。我々の技術が必要とされている限り、精度の高いパーツを作り続けますよ。」

—— 最後に、旧車ライダーにメッセージをお願いします。

藤原:「旧車は手間がかかりますが、それがまた魅力ですよね。もし調子が悪くなったら、キャブレターを疑ってみてください。正しく整備すれば、まだまだ走れます。これからも旧車ライフを楽しんでください!

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