安全で快適なライディングのために良好な視界は欠かせない。しかし、メガネを常用しているライダーは、必ずしも「バイク」と「メガネ」は相性が良くないものだと感じることが多いのではないだろうか?
具体的には
ヘルメットをかぶった状態でメガネが着用しづらい
ヘルメット内装に圧迫されて痛くなってくる
後方目視や前傾姿勢の際にメガネのフレームが邪魔
というような不満点はメガネライダーなら誰しも少なからず感じるところだろう。
老舗メガネ店がプロデュースしたライダー専用メガネ
大正時代から続く老舗メガネ店「Kaniya(カニヤ)」代表の可児さんも、そんな不満を抱えるライダーの一人だった。
ヘルメット着用時でもストレスの無いメガネを求めるため、イタリア製のフレームを見つけ出し、それをベースに日本人向けに独自に改良したものが多くのライダーの好評を得ることになる。
ところが、ある日そのフレームが廃盤となってしまった。それを契機に可児さんは、ライダーのためのオリジナルメガネフレームの開発に着手することを決めた。
可児さんの目指すライダーのためのフレームは、従来のメガネフレーム造りの常識とは異なるものだったため、生産を依頼した工場では戸惑いも多かったようだ。なかなか理想のものが形にならず、苦労した点も多々あったという。
何度も試作を繰り返し、ついにライダーのためのメガネ「バイカーズグラス」は完成した。
軽量かつ丈夫なチタンをベースにメガネの世界的産地である鯖江の工場で生産されたバイカーズグラスは、ライダーの間で評判を呼び、時には北海道や九州など遠方からも来店客があるほどだ。
また、ライダーのみならず戦闘機のパイロットなど、極限状態で視界確保が非常に重要なプロフェッショナルにも愛用者が多い。
まさにかけるライディングギアとも言うべき「バイカーズグラス」。その3種類のバリエーションを紹介していきたい。
3種類のチタニウムで「強靭」かつ「しなやか」なかけ心地を実現【バイカーズ・トリプルチタニウム】
メガネフレームとしては初となる3種類の異なるチタン合金を合体させた「トリプルチタニウム」。
「テンプル」と呼ばれるメガネの「腕」の部分は適度なしなりと形状記憶特性を有する「βチタン」を採用。強度を維持するしつつ、細めのシェイプとすることで、着脱のしやすさと長時間の快適なかけ心地を両立。長さの調整にも対応している。
「先セル」と呼ばれるメガネの耳あての部分のパーツはスリムなものから、しっかりしたかけ心地の太めのものまで、3種類の中から選ぶことができる。
タイトなフルフェイスヘルメットを被った状態で顔との隙間にメガネを差し入れるように押し込んでいくと、メガネフレームが歪んでしまうのではないかと不安に思うものだ。
バイカーズグラスでは、左右のレンズを繋ぐ「ブリッジ」と呼ばれる部分は剛性に優れたチタンキャストのパーツを使うことで歪みを防止。さらにシャープなフォルムにすることで、デザイン性を高めることに成功している。
3つめのチタン素材となるのがテンプル(腕)の付け根の部分に使われ、抜群のホールド感を生む「ゴムメタル・チタン」だ。サスペンションの様なしなやかさで、メガネとの一体感を高める。
上から見ると顔のラインに沿った形状で、側方に目線を移した際もフレームが視界に入らないのが特徴だ。
レンズ形状は、両端がシャープに立ち上がる「Aタイプ」(写真上)と天地幅の深いスタンダートな「Bタイプ」(写真下)をラインナップする。
また、トリプルチタニウムは、レンズの縦幅だけでなく横幅もサイズ変更に対応している。
バイカーズ・トリプルチタニウム
フレーム単体価格 | 2万7500円(税込) |
度付きレンズ付き完成一式価格 | 3万5750円(税込)〜 |
カラーバリエーション
フルリムバージョンでユーザーニーズに対応【バイカーズ・トリプルチタニウム Type F】
トリプルチタニウムの性能をそのままに、フルリムバージョンとした Type F。
デザインのバリエーションを拡大させると同時に、対応するレンズの厚みの自由度も高めることに成功している。
従来はコストやレンズ取り付けの作業性から、レンズの外側部分に設けられるフレームの繋ぎ目のビスだが、後方確認時に視界に入ってしまうため、Type Fではあえて内側に設ける拘りの設計。
バイカーズ・トリプルチタニウム Type F
フレーム単体価格 | 2万7500円(税込) |
度付きレンズ付き完成一式価格 | 3万5750円(税込)〜 |
カラーバリエーション
快適な着用感を実現するベーシックモデル【バイカーズ・ツインチタニウム】
2種類のチタニウムを素材とすることで、ソフトなかけ心地とヘルメットにメガネを差し込む時の剛性感を両立させた「ツインチタニウム」。
ブリッジの部分は他のモデル同様チタンキャスト製となる。異なるチタン素材の溶接部分の強度とフレーム全体の精度を求めるため、国産の鯖江工場製にこだわっている。
テンプル(腕)は「βチタン」を採用し、「先セル」も3種類の中から選ぶことができる。
レンズ形状は、両端がシャープに立ち上がる「Aタイプ」(写真上)と天地幅の深いスタンダートな「Bタイプ」(写真下)をラインナップする。
バイカーズ・ツインチタニウム
フレーム単体価格 | 2万3100円(税込) |
度付きレンズ付き完成一式価格 | 3万1350円(税込)〜 |
カラーバリエーション
バイカーズグラスを更に拡張する共通オプション!
約4mm可動式で視界を最適化する「スライドパッド」
ライディングポジションが前傾になるとレンズと目線が位置が変わり、フレーム上部が視界に入ってきてしまうため、顎を上げた不自然な姿勢になりがちだ。オプションのスライドパッドを装着することで約4mmのメガネの位置を上げることができ、前傾ポジションでも顎が上がらず理想的なライディングポジションを維持することができる。
スライドパッド
価格 | 1100円(税込) |
バイカーズグラス専用オプションのフリップアップサングラス
専用設計のフリップアップサングラスは、レンズを覆う形状でスマートなフォルムが特徴。写真のグレーレンズの他にも、夜間のライディングに最適なイエローレンズ、日中からトンネル内まで常時使用できる「ネオコントラストカラー」、素早い動きの視認性を向上させる「ハイコントラスト」など多彩なラインナップを誇る。
フリップアップサングラス
価格 | 8250 円(税込)〜 |
ネオクラシックモデルとのマッチングも良好な「風人 2nd」
今流行のネオクラシックモデルや、ビンテージバイクなどに乗る時に、チタン素材のバイカーズグラスは少しスポーティすぎるかもしれない。
そんなクラッシクファンにお勧めなのがやはりKaniyaオリジナルの「風人」だ。
アセテート(プラスチックフレーム)の弱点である重量の軽減に成功したフレームはフォルムやカラーもおしゃれで、バイクとコーディネイトしたいという人はもちろん、普段のカジュアルと合わせてもスタイリッシュに決めることができる。
中の金属芯をあらかじめ短めに設定してあるので、テンプルの末端をカットしてヘルメットに挿入しやすいようなカスタムにも対応できる。
あえて片側だけに入れられた「F」ロゴ。「風人・フウト」の頭文字というだけでなく、人が心地良いと感じる風速2メートルも表現している。
テンプルの幅を段付きとすることで軽量化している。
風人 2nd
フレーム単体価格 | 2万3320円(税込) |
度付きレンズ付き完成一式価格 | 3万1570円(税込)〜 |
ヘルメット持参で店舗を訪れることで最適なメガネ選びを
大正時代から現在の場所で店舗を構えている「Kaniya」。店内はまるで趣のあるカフェのような空間。ゆったりとメガネ選びができる。
店舗にはSS級認定眼鏡士を取得したスタッフが常駐し、視力のみならず両眼視検査や眼位測定、調節力検査等の精密視力検査に特化する。
拘りぬいたメガネフレーム「バイカーズグラス」をさらに見やすいメガネに仕上げられるよう個々人に最適なレンズを仕立て上げてくれる。できるだけ実店舗に足を運んでもらうことを推奨しているが、遠方で来店が困難な方には通販も対応しているので相談してみよう。
メガネに関する豊富な経験値と独創的なアイディアでバイカーズグラスを生み出した可児昌彦代表。スポーツメガネやサングラスのラインナップも豊富でプロアスリートからの信頼も厚い。
Text&Photo 丸山淳大
Kaniya
埼玉県 川越市 仲町 3番地24 大正浪漫夢通り
Phone 049-222-0509
営業時間:10:00 ~ 19:00
定休日:水曜・第3火曜