ヒョースンの原付二種クルーザー「GV125Sボバー」が日本でも発売された。原付二種にあたる125ccという排気量ながら、そのフォルムは本格的なボバースタイルを採用。さらに搭載されるエンジンはV型2気筒と聞けば気にならないはずがない。今回はこのGV125Sボバーを試乗し、じっくりチェックしてみたのでレポートしていこう。
堂々とした風格、フォルムはワンクラス上に匹敵する
GV125Sボバーは、スチール製セミダブルクレードルフレームに水冷60度Vツインを搭載する。全長は2080㎜、ホイールベースは1425㎜なのでボリュームあるデザインながら取り回しに苦労することはない。重量は165kgあるが、ワンクラス上のボリュームとクオリティ、そしてV型2気筒を搭載しているということを考慮すれば、納得の数値だ。
【ヒョースン GV125S BOBBER】●全長2080㎜/全幅750㎜/全高1050㎜/ホイールベース1425㎜/シート高710㎜ ●車重165kg ●水冷4サイクルV型2気筒SOHC3バルブ 124.7cc 13.5ps[9.9kW]/10250rpm 1.037kg-m[10.17Nm]/9250rpm 変速機5段リターン 燃料タンク容量12.5ℓ ●ブレーキF/R=ディスク ●タイヤF=120/80-16 R=150/80-15 ●ボディカラー:マットブラック ●価格:53万9000円
細部まで追求されたクオリティの高さが所有する満足感を高める
60度VツインのエンジンはSOHC3バルブで13.5馬力を発生。前後シリンダーのバンク角は従来エンジンの75度から60度に狭め、バルブシステムはDOHCに変えてコンパクトなSOHCを選択、1気筒あたり3バルブ(吸気2バルブ&排気1バルブ)を採用。冷却フィンを設けダークシルバーに塗装されたシリンダーヘッドの造形美が、Vツインの存在感を際立たせている。また、新技術としてシリンダーにはMONOブロック(メッキレス高シリコン含有アルミ剤使用)を採用。冷却性向上による出力アップ、耐久性向上、排ガス抑止などの効果を実現している。なお、新排ガス規制EURO5に適合している。
軽快な走りを提供するシャシーと足回りを備える
メインフレームは剛性の高いセミダプルクレードルタイプ、テールフレームはメンテナンス性の良いセパレート式を採用。ラジエターはボディーデザインを崩すことのないよう、フレームラインに収まるように配置されている。
フォークブーツを標準装備した正立フォークと、ブラックアウトされたツインショックが組み合わされたサスペンションが安定した直進性と、低重心を活かした素直なハンドリングを両立。フロント16インチ、リア15インチのホイールには、ファットタイヤを装着している。
コントロール性に優れた前後ディスクのブレーキシステムには、リアブレーキペダルの操作に連動してフロントブレーキも同時作動するCBSを装備している。
ボバースタイルを演出するライト類やシートを装備する
ヘッドライトはオーソドックスなバルブだが、それが逆にクラシカルなムードを高めている。リヤコンビランプにはLEDを採用している。
シートは座面にスエード調生地を使用しクラシカルな雰囲気に仕上げた上質なダブルシート。前方がスリムで低いシートによって足つき性を高めている。
また、オプションでボバースタイルを極めるソロ(シングル)シートに交換が可能。ハンドルバーについては、剛性が高くかつ適度なしなりが振動低減にも効果のあるアルミテーパーバー(φ28.6mm)を使用している。
一般道を走るには必要十分なパワーと軽快なハンドリング
クラスを超えた存在感やクオリティは見た目で実感できたが、では肝心のGV125Sの走りはどうだったのだろうか。結論から言うと一般道を走るには十分以上のポテンシャルを備えているとレポートしておきたい。
肝となるVツインエンジンは、適度なパルス感を伴ったサウンドで、振動もシングルに比べて小さめ。レッドゾーンの始まる1万rpmまでストレスなく回ってくれる。もちろん車重が165kgと少し重めなので、速い!と感じる加速ではないが、周りの交通をリードできるレベルの加速は十分にこなしてくれる。
ハンドリングも納得の仕上がりだ。ボリュームある前後タイヤと動きのいいサスペンション、しなやかなフレームによって乗り心地はいい。フロントが16インチと大きいが、ハンドリングは癖がなく、ニュートラルな味付け。急に切れ込んだりするような素振りもなかった。
タイヤの銘柄はティムソンで前後ともにしっかりグリップ感を伝えてくれるので、安心して走ることができた。
ブレーキは前後連動のCBSブレーキを装備。普通に前後ブレーキを操作しても自然なフィーリングで止まることができるし、不意にリアブレーキを操作しても安定して止まれるのがこのCBSブレーキの特徴だ。
シート高は710㎜と低い。ライダーの身長は173㎝で両足がベッタリと着く。さらに膝が曲がる余裕があるぐらいだ。小柄な女性でも足着きを心配することはないだろう。ペダルの位置は自然に足を置ける位置に配置されている。
カラーは3種類を設定している
ボディカラーは今回試乗した「マットブラック」の他に2色がラインナップされている。
まさに唯一無二の存在。気軽に乗れるアメリカンとしてオススメの1台
今回試乗したGV125Sは、125ccでV型2気筒エンジンを搭載するという唯一無二の存在であることは間違いない。レオンアートからリリースされたデイトナという並列2気筒エンジンを積んだモデルはあるが、アメリカンモデルの代名詞でもあるVツインエンジンを搭載しているのはGV125Sのみだ。ホンダのレブル250が大人気という現状を見てもアメリカンモデルが市場から求められていることが分かるが、そこに125ccというランニングコストに優れ、取り回しがしやすく気軽に乗れるサイズ感。そして手頃な価格設定というメリットを持って登場したのがGV125Sである。
ハンターカブが人気のように今や125ccはかつてのビジネスバイクのイメージが強いクラスでは無くなりつつある。高速道路にこそ乗れないが、ツーリングを楽しむことだって十分にできる。所有感を満たしてくれる堂々としたフォルムと上質さを持ち、十分以上の走りを楽しめるGV125Sは、選択肢の一つとしてオススメできる1台と言えるだろう。
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