規制緩和や実証実験などで何かと話題の電動キックボード。二輪系のメディアでは取り上げられることも増えてきましたが、内容が難しくないですか?
二輪ジャーナリストとして活動しているからには取り上げないわけにはいかない乗り物ですが、色々な人の「大人の事情」が複雑化させているような印象を受けます。
これはあくまで僕の考えになりますが、背景としては「金」が大きなキーワードになっているように思います。何やら産業協力強化法とかいうのがあって、日本企業が金を稼ぐ力を規制緩和などによって強化することが盛り込まれているそうです。
まぁコロナ対策でめちゃくちゃ金を使っちゃってるので、リスクをとっても稼がないとダメということなんじゃないでしょうか?
この辺りに関しての知見に明るいわけではないので、議論するつもりはありません。今回の記事では現在とこれから、キックボードが出せるスピードで実際に走行して、感想をお伝えしたいと思います。
キーワードは、
- 時速6キロ
- 時速15キロ
- 時速20キロ
- 時速30キロ
です。
時速6キロ
規制が緩和されると時速6キロ以下に制御できる場合には歩道も走行できるのだとか。時速6キロというとおじいちゃん、おばあちゃんが乗っているセニアカーと同じ規制となります。
大人が少し速足で歩くぐらいのスピードなので、歩道を走行しても特段危険性はないように思います。
時速15キロ
現在電動キックボードの安全性を検証するための、実証実験が東京都内で行われています。この条件が時速は15キロとするというもの。ヘルメットなどの着用義務がなく、ほとんど自転車と同じ扱いになります。
東京都内を走ると「電動キックボードは免許がいります」「電動キックボードはナンバー登録が必要です」と電光掲示板に表示されることがありますが、こんな実証実験されたら取り締まりは難しいでしょうね。
筆者は健康のために週2~3回ほど4、5キロの距離を走りますがランニングアプリの記録を見たところ、ジョギングくらいのペースで時速10キロ程度。大人が全力で走ると15キロぐらいになるでしょう。
時速20キロ
電動キックボードの規制緩和が認められれば免許が不要になり、運転者は16歳以上。ヘルメットは任意となり、ミラーやライトなどの保安部品も緩和される見通しです。
筆者はクロスバイクという、ちょっとスピードの出る自転車に乗っていますが、頑張って漕いだ時に時速20キロぐらいは出ます。車両重量が重い電動キックボードで時速20キロで人にぶつかったら致命傷になる気がします。ただ新しい規制では自賠責保険の義務がないようです。大丈夫なんでしょうか?
時速30キロ
現在ナンバー登録して使われている電動キックボードは原付と同じ扱いなので、時速30キロまで出すことができます。ヘルメットの着用義務、ナンバー登録、保安部品の装着、自賠責保険への加入など条件は厳しいですが、時速30キロとなると、スピードの出るロードバイク(自転車)で頑張って漕いだ時ぐらいとなります。
とまぁ、こんな感じで規制緩和に関しては正直不安しかない・・・というのが僕の視点になります。電動キックボードを規制緩和するなら、原付の二段階右折や時速30キロ制限を先に緩和してくれ!とも思います。
ただこれはあくまで僕の主観。実際に都内と神奈川県内を電動キックボードで走行して検証してみました。
時速15、25、35キロで走ってみた
時速15キロの世界
大人が全力ダッシュと表現すると意外と早いような気がします。実際に河原などで練習走行してみると「以外に早いな」と感じます。
ですが実際に公道を走ってみると、周りの車のスピードに比べて遥かに遅いので、道幅が狭い道路などでは車の流れを停滞させる印象でした。
制限速度30キロの道路を走行してみましたが、後ろを走る車は追い抜きやすいスピードのようです。黄色の実線センターラインは追い抜きのためのはみ出し通行禁止ですが、15キロ走行だとはみ出さずに追い越ししてくれる車もありました。
時速25キロの世界
制限速度30キロ、40キロの道路を走行してみました。このぐらいのスピードになるとはみ出しての追い越し禁止の黄色ラインの道路でも車はガンガンはみ出して追い抜いていきます。
ミラーを見ると後ろの車がギリギリまで寄せてくるので、本来は走行してはいけない路肩や自転車専用道路の方まで車体を寄せないと恐怖を感じます。
時速35キロの世界
制限速度30キロ~60キロまでの道を走行してみました。こちらもそれなりにスピードが出ているので、追い越しの際に車は多めにアクセルを開けています。ぴたりと後ろについたかと思うと回転が上がったエンジンの音とともに強烈に追い抜かれるので、かなり怖い印象です。
50キロ制限の産業道路を走行しましたが、トラックが多く走行しているため道がうねっています。道路の左端を走ろうとすると凹凸があるので、かなり突き上げがある印象です。
今回は前後サスペンションと10インチタイヤを装備したeXs2で走行したので良かったですが、一般的な電動キックボードの装備だと恐怖を感じるはず。eXs2の車格と装備がないと30km/h前後の走行は厳しそうな印象です。
60キロの道路は車線の数も多いので、意外とスムーズに走行することができました。ただ走行車線上に駐車している車がいると、右車線に行かなくてはならず、60キロ走行の車がビュンビュン走っている車線に一瞬でも入るのはかなり怖かったです。
制限速度ピッタリで走る車はまれ、ミラー無しは絶対にダメだと思う
今回色々なシチュエーションで走行してみてわかったのは、制限速度ピッタリで走る車は稀だということ。そのため30キロ規制道路で35キロ走行していると車の流れを妨げてしまう結果に。
残念ながら今回の検証では制限速度30/40キロの道路で35キロ巡行していて、追い抜かずに後ろを走り続けてくれる車は皆無でした。車が電動キックボードを追い抜きしようとしていることを確認するためにミラーは必須だと思いました。
規制緩和によってミラーやヘッドライトなどの一部保安部品の装備義務がなくなるようですが、少なくともミラー無しは恐怖でしかないように思います。
そもそも車やバイクの免許を持っている方はミラーを見る癖があると思いますが、免許なしで運転できるということはミラーを確認しない可能性もあるんじゃないでしょうか?
様々な規制が緩和されることは大歓迎ですが、規制の緩和をしようとしている人は実際にその内容で運転してみたの?と不安になる結果となりました。
ちなみに電動キックボード自体は、ちょっとした移動に便利なコミューターだと感じました。地元の商店街など近場の買い物にはいいんじゃないでしょうか?個人的には買い物用の籠と盗難防止用のハンドルロック機構、ヘルメットホルダーが欲しい!
今回の記事が電動キックボードというコミューターと規制緩和に関して、みなさんが考えるきっかけになればと思います。