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The Distinguished Gentleman’s Ride(ディスティングイッシュド・ジェントルマンズ・ライド 以降DGR)というチャリティイベントが、2024年5月19日(日)に世界中で一斉に開催される。
モトGPやダカールラリー、スーパーバイク世界選手権、そしてF1など様々なメジャーレースで戦うマシンにオイルを供給してきたELFも、2018年からこのDGRの活動に賛同してサポートを開始。世界各国のDGRに参加している。
お洒落なツイードジャケットを身にまといクラシカルなバイクにまたがったライダーたちが各国の各開催地に集結し、チャリティランを行なうというもの。ヒゲのアイコンが特徴的なので、見覚えのあるライダーもいるかも知れない。
このチャリティランの目的は『男性の健康』をサポートするためであり、具体的には『前立腺ガン』と『メンタルヘルス』の啓発と研究費を集めることが目的。
『前立腺ガン』は男性の罹患数で最も多いガンだが、一般的にガンとしてクローズアップされるのは胃ガン、肺ガン、大腸ガンといったたぐいのものが多い。
もう一方の『メンタルヘルス』は、大人の男性こそ注意が必要な項目だ。それは、男性はストレスを感じたときに誰かに相談したり、弱音をはくことが難しかったりするため、自殺者は女性の約2倍もあるからだ。これはなにも日本に限ったことではなく、世界各国の男性自殺者は女性の2〜3倍となっている。
今回はDGRの意義や参加条件、イベント当日の様子などを詳しく紹介していこう。
DGRへの参加が初めての方はもちろん、これまでに参加経験のあるライダーに関しても、DGRをより理解して参加することによって、クラシックバイクの上から見る景色はこれまでとは違ったものになるに違いない。
DGR(The Distinguished Gentleman’s Ride)が訴えているものとは?
バイクを愛するライダーとして、いつまでもバイクに乗っていたいと思う気持ちは全世界共通の認識であろう。しかし、そのためにはまず第一に健康であることが最も重要だ。
医療の発達によって平均寿命は伸びているものの、問題なのは健康寿命。いくら平均寿命が長くても、ベッドで寝たきりでは幸せとは言い難い……。
日本国内における平均寿命、健康寿命は以下のとおりだ。
平均寿命 | 健康寿命 | |
男性 | 81.41歳 | 72.68歳 |
女性 | 87.45歳 | 75.38歳 |
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-002
バイクに乗っているユーザーの平均年齢は54.2歳(2021年度二輪車市場動向調査)だから、この健康寿命の年齢はいまいちピンとこないかもしれないが、20年、30年はあっという間。
奇しくもバイク乗りの平均年齢である『50歳』というのがひとつの境目ともなっているのだ。
50歳からぐっと増える『前立腺がん』
日本人の死因はガンが第一位、というのは保険会社のCMなどでもよく言われていることなので知っている読者も多いはず。男性の死因第一位もガン※1だ。そのガンの中でもっとも罹患率が高いのは、胃ガンでも肺ガンでもなく『前立腺ガン』※2なのだ。
罹患率は最も高い前立腺ガンだが死亡率は低く、人口10万人に対し21.3人。しかし早期発見ができれば生存率は高いのが特徴だ。
※1:出典「国立研究法人国立がん研究センター」
https://ganjoho.jp/public/index.html
※2:出典「国立研究法人国立がん研究センター」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/20_prostate.html
メンタルヘルス(心の健康)は50歳台が崩れやすい
メンタルヘルス(心の健康)が崩れ最悪の場合は自殺を選んでしまう……。この自殺率は男性が圧倒的に多く、しかも年齢別にみると50歳台が最多。原因や動機は経済・生活問題、勤務問題の割合が大きい。
先にも述べたが、男性は悩みを相談する人がいなかったり、助けを求めることにためらいを感じる人が多いからだ。ジェンダー平等が声高く叫ばれ男女間の格差をなくそうという動きが広がるなか、無意識の偏見としての「男性らしさ」は深く根付いており、幼少期から「強さ」を求められているのはやはり男性だったりする。結果として男性は精神的に逃げ場を失いやすく、社会的に重責を担うようになる50歳台は世間から求められる「強さ」に道を塞がれメンタルを病んでしまうのだろう。
※3:出典「総務省」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/toukei/meetings/kihon_56/siryou_1n.pdf
『DGR』は、単なる正装してクラシックスタイルのバイクで走るツーリングイベントではない。チャリティが主目的!!
この健康寿命の延伸と平均寿命の差の縮小というのが重要なポイントとなっており、これはモトメガネ読者にとっても他人事ではない事実なのである。
前述したメンタルヘルス(心の健康)やガンの罹患など、男性は50代から健康を脅かすリスクが高くなるという傾向もあり、これは我々バイク乗りの平均年齢とも重なることで、ライダーにとっての脅威とも捉えることができる。
これら男性の健康を脅かす前立腺ガンの研究と男性のメンタルヘルスに対する資金と意識を高めるために活動しているのがDGRなのだ。
この活動をより広く知ってもらうため、ビンテージスタイルのライダーを結びつけ、正装したライダーが街中を走るチャリティイベントを行なうことで一般の方にも注目してもらうのがDGRの主目的。
クラシックなスタイルでバイクに乗って走る行為は、あくまでも手段に過ぎないのだ。
参加方法はとっても簡単
DGRへの参加方法はとっても簡単で、まずはDGR公式Webサイトにアクセスして、参加したい国を選択。すると各国の開催地が確認ができるので、自分の参加したい開催地を決めよう。
開催日程は全世界共通の2024年5月19日(日)となっている。
次に参加手順なのだが、DGRへの参加費用というものはなく、あくまで寄付という形式で参加となる。そして、個人参加の他にチームでの参加もできるというのがDGRの特徴で、どちらで寄付をした場合も参加条件などに違いはない。ただし、チームで参加したほうが楽しみは多いので、イベントをより満喫したいのならチームに登録したい。チームへの登録方法は後述するが、たった4ステップで完了する。
集合場所や走行ルートはシークレット
イベント当日の集合場所や走行ルートはシークレットになっている。チャリティの寄付をした参加者だけに知らされることになる。
ELFチームへ登録して参加しよう!
DGRの思想に共感し、支援をしているチームはメインスポンサーのトライアンフをはじめ数多くあるのだが、モータースポーツシーンで有名なELF Teamから参加することによって、MotoGP フランスGPに招待されるチャンスがあったりと、個人参加では得られない機会があるのもポイントだ。
①サポートから注目のチームを選択
②注目のチームのELFをクリック!
③チームへの参加をクリック!
あとは画面の内容に沿って必要事項を入力して登録を完了するだけ。
DGRへの参加登録や寄付はパソコンやスマホからWeb上で全て完結できるので、インターネット環境とクレジットカードでの決済が必要だが、非常に簡単。
DGRを正しく理解して、もっと楽しもう!
当日は世界各国の各開催地にジャケットで正装したお洒落なライダーとクラシックバイクが集まり、街中を駆け抜ける。
服装について決まりはないのだが、クラシックバイクに似合う粋な衣装を身に纏い、紳士淑女としてバイクに乗るのがDGRに参加する嗜みである。普段はライダースなどを着てバイクに乗っているかもしれないが、DGRでは仕立ての良いスーツなど、クラシックでスタイリッシュないでたちで、さっそうと走ってほしい。
クラシックバイクというルールについても、クラシックスタイルが好ましいが丸形ヘッドライトのバイクであれば現行モデルや国産車での参加もOK。
参加車両のスタイルガイドをDGRのサイトで紹介しているので参考にしてほしい。主な参加車両のスタイルは下記のカテゴリーが挙げられている。
開催地によっては特設の会場が設置されていたり、参加記念品の配布なども行っていたりと、DGRらしい雰囲気も楽しめる。
前立腺がんの研究および男性のメンタルヘルスに対する資金と意識を高めるためのイベントなのだが、参加ライダーは年齢・男女問わず、女性ライダーやカップルでの参加、子供を連れて家族での参加など、様々なライダーが集まるのもピースフルな光景だ。
メインイベントはやはり開催地から約1時間ほど走るパレードラン。場所やルートは開催地によって異なるのだが、大勢のDGRライダーが一斉に走り出す姿は圧巻で、街中では多くの人がリアクションをくれるのも素敵な瞬間である。
パレードランを終え、会場に戻ったら最後に記念撮影をしてイベントは終了となる。DGRは自分や自分の周りのライダーだけでなく、世界規模でたくさんのライダーと繋がり、前立腺がんの研究と男性のメンタルヘルスに対する支援と意識を高めることができるイベントだ。
春の陽気も見え隠れする昨今、世界中のライダーが1日でも多くバイクに乗れる日を伸ばすことのできる有意義なイベント『DGR』に今年こそ参加してみてはいかがだろうか。