DIABLO™ SUPER CORSA V4テクノロジー解説②
サーキットでのパフォーマンスを大幅に向上させた
DIABLO™ SUPER CORSA は、レースタイヤを装着してストリートを楽しみたい、サーキット走行を楽しみたいというライダーに向けたハイグリップ・スポーツタイヤです。
その開発コンセプトは初代のV1から最新のV4まで一貫していて、V4はグリップ、ハンドリング、ウエット性能、ラップタイムのすべての項目でV3を大きく凌駕する性能を実現しています。
ではまず、それを可能にしたV4SPに採用された最新テクノロジーを具体的に解説していきましょう(SCについては別途解説します)。
まず、V3とV4のトレッドパターンをよく比較してみると、FLASH™グルーブがV3の直線的に長いものから半分程度の長さの短く、太いタイプに変更されました。また、1本1本の溝もV3より深いものになっています。V3よりもDIABLO ROSSO™Ⅳ CORSAに似た感じです(この部分はSCも同様)。
最新ハイグリップ・スポーツタイヤであるDIABLO ROSSO™Ⅳ CORSAで採用された短く太いFLASH™グルーブを、V4ではさらに進化させて、グルーブの本数を減らすことでボイド/フィル比(溝比率)をさらに低減。よりスリックライクな表情を見せています。
とくにショルダー部分は、横溝の量を減らすことでミッドリーンとフルリーンの際により多くのゴムが路面に接地して、非常に高いグリップ力を生んでくれます。
また、FLASH™グルーブのテール部の方向は、サーキット特有の横方向と縦方向の傾いた力の方向に沿っていて、規則的な摩耗、パフォーマンスの一貫性、素早いウォームアップを提供します。
グリップに加えて、最低限の排水性も確保するために、溝を深くしたのに加えて、FLASHグルーブのヘッド部分が直立時の水切れ、中央部のフットプリントの拡大に寄与しています。
フロントにキャップ&ベース、リヤにABCを採用した最新コンパウンド
そしてV3から最も大きく進化したと言えるのがコンパウンドです。
まずフロントには、エッジグリップ強化と正確なハンドリングの実現のためにショルダー部に耐久性が高く、温度依存度の少ないフルカーボンブラックのSC3コンパウンド(下図の白い部分)を配置。
センター(わずか2㎝幅)とベースコンパウンド(下図の赤い部分)には、フルシリカコンパウンドを採用することで、高速安定性と高い耐ストレス性、熱安定性を向上させています。
このキャップ&ベース構造によって、冷間時でも温まりやすいフルシリカコンパウンドが発生した熱が、ショルダーのSC3コンパウンドを素早く機能させ、粘りのあるコーナリンググリップを発揮するのです。
さらに、リヤにはDIABLO ROSSO™Ⅳ CORSAに採用されているABC(Adaptive Base Compound=アダプティブ・ベース・コンパウンド)というテクノロジーが用いられています。
これは、フルカーボンの特別なベースラバーコンパウンド(図のオレンジ色部分)を下層に配置することにより熱安定性と接地感を高めるもので、温度が高いときはサイドコンパウンドに近い柔軟性に変化してエッジグリップを安定させ、温度が低いときはセンターコンパウンドに近い柔軟性に変化して、センターコンパウンドの熱をサイドに配分する役目を果たし、低温時のウォームアップをサポートするというものです。
つまり、タイヤ温度が低いときでも高いときでも、常にタイヤ全体に安定した熱配分を行って、タイヤが持つ本来の性能をフルに発揮させるのです。
そのうえで、センターには広い温度範囲で効果的に働くように最適化されたフルカーボンブラックコンパウンドを配置して、高速安定性と耐久性、あらゆる条件下での高いケミカルグリップと素早いウォームアップ性能を実現しています。
そしてよりワイドになったショルダー部には、フルカーボンブラックのSC3コンパウンドを配置。コーナー出口での高いトラクション効果を実現しています。
こうしてみると、V4はV3で採用されていたコンパウンドを完全に一新。DIABLO ROSSO™Ⅳ CORSAが採用した新コンパウンド構成をさらに進化させているのが分かります。
次回は、プロファイルと構造を解説します。次の公開をお待ちください。