DIABLO™ SUPER CORSA V4テクノロジー解説①
誕生!第4世代のDIABLO™ SUPER CORSA!
V1からの進化を振り返ってみましょう
スポーツ走行が大好きなライダー、さらにイベントレースにも出場するライダーにとってDIABLO™ SUPER CORSAがV3からV4に進化したのはとても大きな出来事に違いありません。
いまや最大のイベントレースになっている「テイスト・オブ・ツクバ(以下T.O.T.)」での約7割という装着率がDIABLO™ SUPER CORSAが実力・人気ともにほかのハイグリップタイヤに対し大きなアドバンテージを持っていることを証明しています。
それだけに、WSBK直系の最新のレーシングプロファイル、新しいトレッドパターン、さらにフロントにキャップ&ベース構造を新採用し(SP)、リヤにはDIABLO ROSSO™Ⅳ CORSAで新採用された外気温に依存しない、熱安定性に優れたABC(Adaptive Base Compound)というテクノロジーが用いられる(SP)など、3から4への進化は外観からはうかがわれないほど大きなもので、グリップからハンドリングまですべてのパフォーマンスが向上しています。
SUPER CORSA(英語でいうとスーパー・レーシング)という名称を最初に付けたのは、DIABLO™ SUPER CORSA の前身のDRAGON SUPER CORSAでした。
このDRAGON SUPER CORSAは2000年代のはじめ、ピレリのブランドであるメッツラーのハイグリップタイヤ、レンシュポルトがイベントレースで台頭。装着するだけでタイムアップするという評判を呼び、日本ではST600クラスを席巻していました。
そしてこのレンシュポルトをベースに開発されたのがDRAGON SUPER CORSAで、その進化版として2007年に登場したのが初代のDIABLO™ SUPER CORSA であるV1でした。
1から4でFLASH™グルーブもプロファイルも大きく変化
写真をご覧になると分かるように、トレッドパターンにDIABLO™ SUPER CORSA独自のFLASH™グルーブを採用し、当時の最新テクノロジーを満載した初代V1は、T.O.T.で参加ライダーから大絶賛されるようになり、SPをストリートでも使用するライダーが増え始めました。また、ST600クラスでもグリッドに並ぶバイクに装着されたタイヤはDIABLO™ SUPER CORSAばかりという状況になっていきました。
このV1からV4に至るまでの進化は随所に及んでいて、タイヤをたわませて接地面を作るためにトレッドに刻まれたFLASH™グルーブの形状も世代ごとにボイド/フィル比(溝比率、溝が少ないほど数字が小さい。スリックのボイド/フィル比は0)を減らす方向(つまり、スリック部分が増える)に進化していて、V4のFLASH™グルーブはさらに短く(同時に深く)なっているのがお分かりだと思います。
また、V3まではWSSレースが開発の舞台でしたが、WSSがスリックタイヤを使用するようになって以降はWSBKにその舞台が移行。V4は完全にWSBK由来と言ってもいいでしょう。
その進化の様子はプロファイルにもよく表れていて、おそらく登場当時は画期的に思われたV1から形状が変化して、時代に合ったものになっていきました。V1とV4を比べてみると一目瞭然で、現在はまた丸っこい形状に戻ってきています。
もちろんこれは、より軽快なハンドリングを実現するためで、スムーズな旋回性に大きく貢献しています。
目で見て分かる形状の変化に加え、内部構造、コンパウンドなどすべてが進化してきたDIABLO™ SUPER CORSAですが、V1からV4に至るまで不変のものがあります。それが、ラジアル+ベルト付き0度スチールベルトの採用です。
この構造を前後タイヤともに採用しているのはピレリ(とメッツラー)だけ。いわばピレリのテクノロジーの神髄と言っても過言ではないほどで、高い剛性としなやかな乗り味をこの基本骨格で実現し、そのうえで最新テクノロジーをトッピングしていくことで常に進化した最新タイヤをみなさんにお届けできているのです。
V1からV4への進化の歴史を知っていただいたあとは、DIABLO™ SUPER CORSA V4 SP&SCに採用された最新テクノロジーの数々を次回から詳細に解説していきます。