【Brand Pickup】
バイクの車両インプレや、用品のインプレでよく耳にする〝精度〟や〝剛性〟。
バイクの走りを左右する非常に重要な要素だ。
「そんな高いスピード域で走らないから……」
「バイクビギナーだから、自分とは無縁」
そう思っているユーザーもいるかもしれない。
勘違いしてほしくないのは、精度や剛性は、なにもエキスパートライダーだけが感じられるような特別のものじゃないということ。
例えば美味しいと評判のレストランへ行き、多くの人が絶賛しているメニューを頼めば、味にこだわりのある人はもちろん、大多数の人がそのメニューは美味しいと感じるもの。
精度や剛性も同じで、人それぞれが感じとる感覚は違えど、そのパーツによってバイクが変わっていることには大体のライダーが気づけるようなものなのだ。しかもその精度の向上や剛性の強化でバイクはキビキビ走るようになり、よりライダーの意思を忠実に反映してくれる。
今回紹介するAELLAは、元全日本ロードレース250ccクラスチャンピオンの糟野雅治(かすの まさはる)氏が設立したショップ『カスノモーターサイクル』のパーツブランド。
糟野氏は漫画・バリバリ伝説の中で〝雨の糟野〟としても描かれている往年の名ライダーだ。
メカニックが作り上げた一切妥協のないレーシングマシンで戦っていた彼にとって、市販のバイクについているパーツの精度や操作性の低さにもどかしさを感じるものだった。
あらゆる製品やサービスは、品質とコストのバランスをどこでとるか、が重要なポイントになっている。それはバイクも例外ではない。
昔のバイクに比べ、今のバイクは全体的にコストが掛かるようになったことから排気量を問わず高額化している。
そうなれば、コストを抑えるために精度や剛性に多少目を瞑って作られているパーツも当然出てくる。
アフターパーツとして販売されているパーツも市場にはあったが、糟野氏にとっては到底納得できる製品ではなかったのだ。
「自分の納得するパーツがなければ造ればいい」
自社で設計・開発・製造しているパーツは、精度、剛性、使い心地、デザインなど全てにおいて糟野氏の思想が詰め込まれた逸品だ。
AELLAがリリースしているシフトホルダー、アクスルシャフト、可変ハンドル、ステップキットが具体的にバイクをどう変えるのかを紹介していこう。
シフト操作がカチッとはまって気持ちいい!
シフトホルダー
『シフトホルダー』は比較的最近出てきたパーツで、シフトシャフト部分を支えるパーツのこと。
なぜシフトペダルのついているシャフトをパーツによって支える必要があるのだろうか?
シフトチェンジする場合、足でシフトペダルを上下に動かす。その動きがシフトロッド(アームともいう)を介してシフトシャフトに伝わる。
この時のシフトロッドの前後の動きが、シフトシャフトを前後に曲げる力も生んでしまうのだ。特にシフトシャフトが長い車両であればあるほど、前後に曲げる力の影響は受けやすくなる。するとシフトチェンジ時のシフトフィールがぼやけた〝グニッ〟とした操作感になってしまう。
この〝グニッ〟とした操作感を〝カチッ〟としたものに変えてくれるのがシフトホルダーなのだ。
他社にはない2ピース構造が
スムーズな動きを約束!
一般的なシフトホルダーはワンピース構造(一つのパーツで構成されている)ものがほとんどだ。
しかし、AELLAのシフトホルダーは2ピース構造を採用している。
バイクをはじめとした工業製品は基準値をもとに許容される範囲内で、あらゆるパーツには公差が設けられている。
この公差によって車両ごとに差異が生じるのだ。
シフトシャフト、シフトロッド、ステップなどの位置もほんのわずかだが車両ごとに位置が変わっていたりする。
操作感を高める剛性感を高めるシフトホルダーだからこそ、できるだけきっちりと作りたい。
しかし1ピース構造だと差異に対応できず、むしろ抵抗を生んでしまうことも考えられる。
車両ごとの差異に対応しつつ、フィット感を高める答えが2ピースだったのだ。
ドライブッシュで抵抗を軽減
シフトロッドの動きを妨げないため、シフトロッドの周囲にはドライブッシュを使い抵抗を軽減している。
一見してシンプルなパーツだが、細かいところにこだわった作りが、他メーカーにない高い剛性感と〝カチッ〟とした上質なシフトフィールを実現しているのだ。
シャキッとしたハンドリングで街角を曲がるのも楽しくなる!
クロモリアクスルシャフト
アクスルシャフトは、車輪を支えホイールを回転させる重要な部品だ。
一見するとただの棒だが、ホイールの回転、フロントサスペンションの動き、操舵に大きな影響を与えるパーツでもある。
しかしシンプルなパーツだけに、ノーマル車両ではコストダウンされがち……。
AELLAのクロモリアクスルシャフトは表面の精度をミクロン単位で調整。限りなく真円でまっすぐなシャフトは、ノーマルと見違えるハンドリングを見せてくれる。
クロモリに特殊な焼き入れを施し剛性を高めつつしなやかさも実現。剛性が高まったことによりフロントサスペンションがよりしっかりと動き、それがハンドリングにダイレクト感を生むのだ。
だから街角を曲がる何気ない普段の走りでも、シャキッとしたハンドリングを楽しめるというわけだ。
ユーザーの体型にジャストフィット!ハンドル選びの沼から脱出!!
アルミ削り出し可変ハンドル
ライダーの体型や身長はバラバラなのに、バイクにはその体型や身長に合わせる調整機能は残念ながら持ち合わせていない……。
すると、ライダーによっては自然なライディングポジションが取れないことで自然なハンドリングを妨げてしまい、本来のコーナリング性能を引き出せないことになる。
当然無理な姿勢を強いられることで、ライディング時の疲れも増加する。
だからこそ様々なハンドルが各社からリリースされているわけだ。
「あと数センチ手前に引けたら……」
「もう少し絞れていれば楽なのに」
ハンドルを変えてもしっくりこず、ハンドル選びの〝沼〟にはまってしまいがちだ。
このハンドル選びの終着地となる製品が『アルミ削り出し可変ハンドル』だ。
純正の絞り角21°固定に対して、AELLAは19°/21°/23°の3つから選ぶことができる。わずか2度とはいえ、バーエンドで約10mm程度動くためその違いはかなり大きい。
幅を最大で40mm狭くすることができ、純正より高さを約20mm低くできる。
日本人の体型によりフィットするライディングポジションを作れるのだ。
AELLAのこのハンドルを装着した車両に跨ったユーザーからは、
「ライポジが自然に決まる」
「すごく乗りやすくなった」
という反響が多い。
可変ハンドルだから転倒時に簡単に曲がってしまうのではないか?という心配は無用。
破壊検査も実施し、安全性にもしっかりと配慮されている。車検対応品。
ハンドル沼から脱却したいライダーには特にオススメしたい逸品だ。
AELLAの真骨頂!最適なポジショニングと操作性を向上
ライディングステップキット
AELLAで一番最初に開発されたパーツがステップキットだ。
当時他のメーカーから発売されている商品は、後ろにステップ位置をずらしただけで、剛性や操作感などはあまり考慮されてなかった。
そこで糟野氏が「市場にないのであれば自分のところで納得のできるものを造ろう」とAELLAブランドを立ち上げたのだ。
まず重視したのは精度の高さだ。
稼働部にはベアリングを用い、最適な剛性を求めるため、各部のパーツの厚みは絶妙に調整され軽量化も施されている。
シフトペダルとブレーキペダルのゴムの硬さも、それぞれ最適な硬さのものがチョイスされているのだ。
全てはダイレクトな操作感と、正確なステップワークを実現するため。
ポジションは後10mm/20mm、上10mm/20mmと計4ポジションから選択できる。
AELLAの真髄がこのステップキットに宿っているのだ。