【Brand PR】
アッと驚くようなグラフィックのヘルメットを量産している72Jam。ハンドメイドのような暖かさや緻密さを誇る個性的なジェットヘルメットがどのように作られているのか、発売元であるJam Tec Japanを訪ねて生み出される工程を取材させてもらった。
TEXT・PHOTO…横田和彦
ハイクオリティでリーズナブル。Tシャツのように気軽に使えるジェットヘルメットシリーズ
モトメガネでも過去に何度も取り上げているので、72Jamのブランド名を知る読者も多いかと思う。
クオリティが高いグラフィックのジェットヘルメットをリーズナブルな価格でリリースしていることで有名で、以前取り上げたメッキ調のヘルメットは、まさに眩しい仕上がりだった。
そのJam72が今年に入って発表したジェットヘルメットのデザインも他社とは一線を画す仕上がり。さまざまなフォントやイラストが入り混じった「ラテンクォーター」は、年代やバイクを選ばない絶妙なセンスが売り。ブラック系の微妙な色味の違いでロゴやラインを浮き立たせる「ニュークロス」はオトナな雰囲気。マーブル模様をイメージした「リップ」はポップだし、ブラシワークで着色したような「タイダイ」はその名の通り絞り染めをモチーフにしている。
これだけバラエティに富んだカラーリングの製品をリーズナブルな価格で量産している72Jam。今回は新しく加わったジェットヘルメットが生まれる舞台裏を見せてもらった。
アナログからデジタルに落とし込む独自の手法を採用
現在発売されている多くの量産ヘルメットの複雑なグラフィックは、水転写シートが主流となっている。今回の72Jamの新作もその手法を使っている。しかしよく考えてみると、平面のシートを球体に貼るのだ。素人目でみても、かなり難易度が高い作業だと想像できる。なにより曲面に施したデザインを平面化するというのはどうやったらできるのだろうか。そのあたりを発売元であるJam Tec Japanの飯野氏に聞いてみた。
「まず曲面にデザインすること自体が難しいです。当社は他メーカーのプロトモデルなどを作ることもあるんですが、平面に書いてあるデザインの3面図などが、立体にすると成立しないなんてことも珍しくありません」
しかしそこは多くの製品を製作してきたノウハウがあるJam Tec Japanが得意とするところ。平面と曲面へのフィッティングを何度も繰り返して、立体化していくという。
「大手のメーカーでは3Dソフトを使うなど進化しているところもありますが、ウチは基本アナログで落とし込みます」
その後の大量生産のことも考えて、作り手目線でデザインすることができるのも、ヘルメット生産工場と直結しているJam Tec Japanならでは。そのためプロトタイプと量産品の誤差が少ないのだ。
それでは具体的にどうやって新作が生まれてきたのかという工程を見せてもらおう。
さまざまなデザインのフォントが楽しい・ラテンクォーター
ヘルメット全体にさまざまなフォントで書かれた文字やイラストが踊るジェットヘルメット「ラテンクォーター」は、まず文字を起こすところから始まる。真っ白な紙に筆ペンを使い文字を作成。納得がいくまで何パターンも書くという。
できあがった手書きの文字やイラストをスキャンし、PC上で清書する。同時にPCのフォントも使ってバリエーションを作っていく。このときも単に文字を打つわけではなく、サイズの大小や並び方、飾りつけなどをデザイン。それをプリントアウトする。
ここからは手作業となる。ベースのヘルメットに切り抜いた文字をバランスよく貼っていき、ヘルメット全体をデザインしていく。センスが必要な工程ともいえるだろう。
文字の位置、サイズが決まったら、それを元に正式な原稿として仕上げる。この原稿をベースに水転写シートを作成し、量産に移るのだ。
ブラック系統でシックにまとめられた渋派手ヘルメット・ニュークロス
頭頂部に大きく入ったロゴとサイドのクロス柄の間を縫うように走るファイヤーパターンが特徴。その原版作りはかなりアナログである。
上部を覆うロゴとサイドのクロス柄は、今までに72Jamが多くのデザインを手掛けて蓄積してきた膨大なデータをもとに、曲面にフィットするようPC上で制作。問題はファイヤーパターンだ。これは平面上で決めることはできない。そこでヘルメットに直接ラインテープを使ってデザインしていく。
ラインが決まったらそれをマスキングテープで覆い、テープの上にペンで写し取っていく。
なぞったラインが消えないよう、さらに上からマスキングテープを貼り、はがすと…
曲面に描いたファイヤーパターンが写し取れる。これを元に清書してベースとなる原版を作成していく。
ブラックのヘルメットに黒系統でまとめられた水転写ステッカーを貼り、クリアーを吹くと微妙な色味の違いが明確になる。そのためのテストは繰り返し行って決定している。
フリーハンド風の曲線と鮮やかなカラーの組み合わせが美しい・リップ
まずは多くのマーブル柄を参考にして、ヘルメットに落とし込んだデザイン画を作成。最初のデザインではかなりラインが細いことに注目だ。
このデザイン画を元に、ヘルメットにラインを入れていく。このときに意識したのは「ラインの単純化と、単純にしすぎないバランス」だったという。
興味深いのは、PC上で描いたラインをそのままヘルメットに落とし込むと画一的になりすぎたり、不自然になってしまうということ。やはり最終的にはフリーハンドで決めていくことがベストだという結論に至っったという。
こちらも実物のヘルメット上で決めたラインを写し取り、スキャニングしてPC上で清書していく。
実際に出来上がった水転写シートの原版がこちらだ。かなり複雑なラインを描いている。完成品と見比べると1色少ないように見えるが、それはヘルメットのベース色によるもの。この複雑なシートを曲面にあわせて貼り込み、クリアーで表面をペイントすると完成品となる。
ブラシワークで塗り上げたようなグラデーションが美しい・タイダイ
これが量産されているヘルメットなのか!? と驚くようなグラフィックのジェットヘルメットがタイダイだ。タイダイとは「絞り染め」のことで、硬質なヘルメットに暖かみを感じさせてくれる。
こちらもまずはPC上でデザイン画を作成。
ここからは職人の技が光る。デザイン画を参考にして、エアブラシを駆使しヘルメットに直接ペイントしていくのだ。これもアナログじゃないとできないこと。
ペイントが完成したところでグラフィックを平面に落とし込んでいくのだが、その手法を問うと飯野氏は「企業秘密」だと笑う。しかし話の端々からアナログとデジタルを巧みに組み合わせた方法だということが感じられた。
多くのヘルメットを手掛けてきたブランドだからこそ生み出せる逸品
72Jamがリリースする個性的なヘルメット。それらはアナログとデジタルを融合させた、独創的かつ合理的な手法で試作・量産されていることがわかった。
しかも単にグラフィックが美しいだけではない。SG規格・PSCマークを取得しているので安全性も確保されている。アパレル感覚で選ぶことができるジェットヘルメットは、安全性も確保されているのだ。
バイクライフをより楽しいものにしてくれる72Jamのジェットヘルメット。ぜひ一度現物を手に通って、そのクオリティを自分の目で確認してもらいたい。