豊富なデザインとリーズナブルなプライス。72JAMのデザイナーズジェットヘルメット
ライディングギアも、自分らしさを演出したいもの。特にこだわりたいのがヘルメット。スタイリッシュなグラフィックが施されたヘルメットは、個性を主張するマストアイテムだ。72JAMは”デザイナーズジェット”をコンセプトとする、ジェットヘルメットの専門ブランド。グラフィックモデルの豊富さが特徴で、そのバリエーションは膨大。コラボレーションモデルを含めると、150タイプを優に超える。
一般的なグラフィックヘルメットの作り方は、転写デカールを使用している。これは平たく言えば、カラーやデザインを印刷したシールを貼り付けているようなもの。全てをペイントで仕上げるのは余りに手間がかかり、その分コストが跳ね上がる。ヘルメットをカスタムペイントすると、かなり高めのプライスがついてしまうが、その値付けにはちゃんと理由があるのだ。
72JAMのグラフィックヘルメットには、デカール仕上げのモデルも存在するが、人気を集めているのは手塗り仕上げのモデル。しかも、手塗りでありながら18,000円(税別)という、驚きのプライスを実現している。ヘルメットだけの価格でも、ペイントだけの価格でもない。美しく塗りあがったヘルメットが、その金額で販売されているのだ。
左の”JJ-05 J&A”(9800円 税別)のグラフィックはデカール仕上げ、右の”JCP-12 RASH CROSS SV”(18,000円 税別)は手塗りペイント仕上げ。ラップ塗装が実に印象的だ。 しかし、このプライス、どれだけ人件費の安い海外で生産されているのかと思うだろう。さにあらず、72JAMの手塗りヘルメットは、日本国内で一流の技術を持つペインターが、一つ一つハンドメイドでペイントしているのだ。いったいどうしたら、このプライスが実現できるのだろう? その理由は、製造工程の徹底的な合理化にある。今回、特別に72JAMの製造現場を公開、その秘密の一端を紹介する。
72JAMのペイント技術は、創意工夫に満ち溢れている
まず、塗装前のヘルメットから違う。完成品のヘルメットは、縁のモールなどの付属品が取り付けられているが、そうした部品はペイント作業には不要というか邪魔になる。塗料が付着しないように、マスキングと呼ばれるカバー作業が必要になったり、場合によっては部品を取り外すこともある。実は、その作業がかなりの手間で時間がかかる。ペイント作業前のヘルメットを見て欲しい。
右は完成品で、左はペイント前のベース状態。ベース状態は、内装やモールが省かれているのがわかる。72JAMでは、ヘルメット生産を担当するメーカーと交渉し、ペイント作業で邪魔になる部品が外された状態で納入される体制を構築している。生産現場では「時間=コスト」だから、これだけでも多くのコストを削減できるのだという。とはいえ、不要な部分に塗料が付着させないためのマスキング作業は必須。ここでも、かなりの工夫が凝らされている。
マスキングで一番の手間なのが、装着時に頭が入るヘルメットの内側をカバーすること。72JAMでは、一体成型のマスキングツールを独自に開発。
ヘルメットに嵌め込み、縁をテープで密閉するだけなので、手慣れたスタッフの手にかかれば数分でマスキングが完了してしまう。
グラフィックのデザインはコンピュータ上で管理。指定した形状で、マスキングシートが自動的に切り出される。だが、同じ機械を揃えれば、72JAMと同じレベルのヘルメットがペイントできるわけではない。ヘルメットは曲面で構成される三次元形状。マスキングシートは平たいので、思ったようなデザインを三次元展開するのは至難の技だ。豊富な経験と、蓄積されたノウハウがあってこそなのだ。
切り出されたマスキングシートを、ヘルメット本体に貼り付ける。驚くべき手際の良さで作業が進むのだが、これこそプロでなければ不可能な作業スピードだ。
いよいよペイントに入る。製作中なのはアピアランス抜群の、ファイヤーパターンが鮮烈な”JCP-41 FLAMES RD”(18,000円 税別)。メタリックカラーのため、フレーク塗装済みのベースヘルメットを使用。これは、フレアを躍動的に見せるシャドウをペイントしているところ。ペイント作業の解説が目的ではないので、紹介するのは省いているが、マスキング作業の他にも丁寧な下地処理も行われている。作業には一切の手抜き無しだ。
ペイントが一工程終わるたび、塗料をしっかり乾燥させる。次の工程に入る前には、塗装面をチェック。色のハミ出しやホコリの付着を発見した場合は、その都度補修や修正を行う。品質に対するこだわりはスゴい。その上で、全ての作業がスピーディーなのだ。
カラーとグラフィックの塗装が済んだら、表面をコーティングするクリア塗装を行う。せっかくのグラフィックも、クリア塗装が甘ければ汚れや塗装剥がれを起こしてしまう。72JAMでは、クリア塗装専用の厳選した塗料を使用し、2コートで仕上げるため、塗膜は非常に強固。長い期間、高品質なペイントを楽しむことができる。
完成したヘルメットの塗装面。この色の深みとツヤが20,000円を切る価格とは驚くばかりだ。ペイント作業を駆け足で紹介しただけだが、それでも72JAMがどれだけ高い技術を持ち、どれほど工夫を凝らしているかは理解してもらえたのではないだろうか? それは全て、高品質なペイントのヘルメットを、気軽に楽しんでほしいという72JAMの想いによるものだ。
72JAMというネーミングには、「グラフィックのバリエーションを多く用意して、ユーザーに自由に選んでもらいたい。70種類くらいは作りたい」という想いが込められているという。
ユーザーの要望に応えていくうちに、70種類はとうに超えたが、これからもっと増えていきそうだ。また、自分だけのヘルメットが欲しいというオーダーにも対応。既存デザインのカラー変更であれば、追加料金無しで製作も可能だという。ただし、実現不可能なカラーもあるとのことなので、興味があるなら72JAMを展開するジャムテックジャパンに相談してみよう。
あらゆるシチュエーションで、クリアな視界を提供する。イエローシールドにも注目!
72JAMでは、ジェットヘルメット用の後付けシールドもラインナップ。人気のバブル形状やコンペ形状他バリエーションが多数用意され、シールドのカラーも豊富。中でも注目はニューアイテムのイエロー。
イエローシールドは、通過させる光の波長により夜間でも明るい視界が特徴。だが、従来は昼間に眩しすぎると言われていた。72JAMのイエローシールドは、特定の波長の光をカットする独自のカラーを採用。近年、多く採用されているLEDヘッドライトは非常に眩しく感じるが、このシールドは目が受ける刺激を大きく軽減してくれる。実際に使用してみたところ、夜間やトンネル内でも明るいのに、対向車の眩しさが弱まっているので驚いた。
写真は”JJ-04 SPEED SOUND”(9,800円 税別)に、フリップアップ可能な”コンビニエントバブルシールド”のイエロー(3,200円 税抜)