コロナ禍や半導体不足の中にあって、2022年の二輪車の新車販売は概ね堅調な販売状況であった。特に人気車は生産、納車が追いつかないほどの状況だったのは記憶に新しい。ここではそんな2022年の人気車を、125㏄以下、126㏄〜250㏄、251㏄〜400㏄、そして401㏄以上の4つのクラスに分け、それぞれのクラスの人気モデルのランキングを紹介していきたい。
※ランキングは二輪車新聞の2022年の新車出荷台数(125cc以下)/販売台数(126cc以上)の推定値のデータに基づいています。
〜125ccクラス
大人気のCT125 ハンターカブを抑え、PCXが1位を奪取
まず125㏄以下・原付二種クラスのランキングトップだが、上半期は発売以降大人気のモデル、「ホンダ・CT125 ハンターカブ」が1位となっていた。ハンターカブの人気の理由は、AT小型限定普通二輪免許で乗れる気軽さに加え、アウトドアブームにタフな外観と使い勝手がマッチしたことだろう。しかし、2022年7月から受注停止となったことで、2位のPCXが追い越すこととなった。2023年はハンターカブがモデルチェンジを行い、受注も再開されたので、販売台数が伸びることが予想される。
1位 Honda PCX
デビュー以来好調な販売を続けているPCX。125cc版に搭載されるeSP+エンジンは、4バルブ化や各部のフリクション低減により高出力化と良好な燃費など高い環境性能を実現し、トラクションコントロールも装備している。2023年1月26日に一部改良が行われ、令和2年排出ガス規制に適合させるとともに、ニューカラーを追加している。価格:363,000円(税込)
2位 Honda CT125 ハンターカブ
CT125ハンターカブは、往年のCTシリーズのDNAを受け継ぐスタイルだけでなく、トレールモデルとしての本格的な造りや高い走破性が受け、大ヒットモデルとなった。2022年10月にモデルチェンジを実施。大きな変更は行っていないものの、最新の排出ガス規制に対応したエンジンを搭載。最高出力の向上も図っている。またリアサスペンションに5段階のスプリング初期荷重が調整可能なプリロードアジャスターを追加するなど足回りも改良が施されている。価格:440,000円(税込)
3位 YAMAHA シグナス グリファス
可変バルブ採用の水冷ブルーコアエンジンを搭載し、アグレッシブなLED2眼ヘッドライトやフルデジタルメーター、容量約28Lのシート下スペースなどを備えるスポーティな原付二種スクーターが「シグナス グリファス」だ。価格:357,500円(税込)
126cc〜250ccクラス
昨年に続き、圧倒的な人気があったHonda レブル250
2022年は2位に倍以上の差をつけて圧倒的な数字を残したのがレブル250だ。コロナ禍による部品納入の遅れや11月からの令和2年排出ガス規制導入などにより、夏ごろから受注を一時停止されていたが、それでも1万501台を販売したのだからその人気ぶりが伺える。2位は同じくホンダのPCX160(5603台)、3位はスズキのVストローム250(4007台)と続いている。
1位 Honda レブル250
2017年に発売されたレブル250。トルクフルな水冷単気筒エンジンを鋼管ダイヤモンドフレームに搭載し、シンプルなボバースタイルで人気を得た。2020年にマイナーチェンジしてLED×4灯の個性的なフェイスとなった。同時にビキニカウルなどを装備したSエディションもラインナップされた。2022年12月22日に新型を発売。スタンダード、Sエディションともにニューカラーに切り替わり、最新の排出ガス規制に適合している。価格:610,500円(税込)
2位 Honda PCX160
PCXの160ccバージョン。「eSP+」エンジンは4バルブヘッドを採用。ボア径を拡大して圧縮比をアップ、パワーを向上させている。
3位 SUZUKI Vストローム250
Vストローム250が搭載する水冷2気筒エンジンはGSX250R系のものを採用し、GSR250ベースのシャーシに搭載。いかにもアドベンチャーモデルを感じさせるフォルムに加え、防風性の高いスクリーン/ナックルカバー/DCソケットなどを標準装備。ツーリングに便利な大型のアルミ製リヤキャリアも備えている。価格:613,800円(税込)
251cc〜400ccクラス
2021年に登場したHonda GB350が爆売れだった!
251㏄〜400㏄クラスは、2021年4月に発売された「ホンダ・GB350」がトップとなった。シンプルなデザインに扱いやすい空冷単気筒エンジンを搭載し、存在感のあるスタイリングと図太いサウンド、そして55万円~という価格が幅広い年齢層のユーザーをとらえたことが理由だろう。それに続いたのが長年のベスセラーモデルであったホンダ・CB400スーパーフォア/スーパーボルドールだ。残念ながら2022年10月に販売終了となったが、駆け込み需要で販売が伸びたと思われる。3位はカワサキ・ニンジャ400/Z400シリーズとなった。
1位 Honda GB350/S
インドで2020年に発売されたハイネスCB350をベースに開発され、日本国内では熊本製作所で生産を行い、STDが2021年4月、Sが7月にデビュー。空冷シングルという現在では貴重なエンジンを搭載。シーソー式チェンジペダル(STD)やスチールパイプ製グラブバーなどを装備。Sは専用のライディングポジション/サイドカバー/タックロール風シートなどを備えている。価格:550,000円(税込)
2位 Honda CB400スーパーフォア/スーパーボルドール
1992年のデビュー以来、400ccクラスの代表モデルとなってきたのが、伝統的ネイキッドスタイルで水冷並列4気筒エンジンを鋼管製フレームに搭載し、リヤツインショックを持つCB400スーパーフォア(SF)だ。これをベースに、フレームマウントのハーフカウル仕様としたのがCB400スーパーボルドール(SB)。エンジンはスロットル開度やギヤ段数を加味した制御により回転数に応じてバルブ駆動数が切り替わる「HYPER VTEC Revo」を採用。惜しまれつつもSF、SBともに2022年10月末で生産終了となった。
3位 KAWASAKI ニンジャ400シリーズ/Z400
250と共通化された車体であり大幅な軽量コンパクト化を達成。ニンジャ、Zともに現代のカワサキらしいシャープなデザインを採用している。搭載するエンジンは2気筒ながらトルクフルで軽快な走りを実現している。2022年9月には令和2年排出ガス規制に適合したモデルチェンジが行われた。価格(ニンジャ400):726,000円(税込)
401cc〜クラス
Z900RSが前年と変わらず根強い人気だった!
最後に401㏄以上クラスだが、上半期のみで5510台という圧倒的な台数を販売した「カワサキ・Z900RS」だ。名車Z1をモチーフとしたそのスタイルは“これぞバイク”というもので幅広い層に受け入れられた。これぞカワサキ4発というエンジンを搭載し、その豪快なサウンドなどともにこの車両の魅力を高めている。
それに続いたのがホンダ・レブル1100/DCT。堂々としたクルーザーフォルムに扱いやすいエンジンを搭載。足付き性も良いというのが理由で人気を得たと思われる。3位にはハーレーダビッドソンのソフテイルシリーズ/ツーリングシリーズなどが続いている。
1位 KAWASAKI Z900RS/カフェ/SE/50thアニバーサリー
クラシカルな雰囲気のスタイルに現代のクラフトマンシップを融合。エンジンはカワサキ伝統の並列4気筒を搭載。低中回転域でのトルクを重視した特性でパワーと扱いやすさを高い次元で両立している。サスペンションには倒立フロントフォークとホリゾンタルバックリンクリヤサスペンションを装備。高いスポーツ性と快適性を獲得。さらに電子制御やマルチファンクション液晶パネル、LEDヘッドライトなど先進のテクノロジーや高性能な装備を多数採用している。またZシリーズ50周年を祝う記念モデルとして登場。専用のカラーリングや装備は往年のZ1を彷彿とさせる。
実際に乗って見ると、パワーの出方も穏やかで街乗りはもちろんのこと、ツーリングの相棒にも最適な味付けと言えるだろう。価格:1,496,000円(税込)
2位 Honda レブル1100/DCT
CRF1100Lアフリカツインに使われている水冷パラレルツインエンジンに低中回転域重視の変更を加え、専用の鋼管フレームに搭載。日本では2021年3月にDCT、同年5月にMTがデビューした。洗練されたボバースタイルに低いシート高を採用。バンク角は35度を実現し、スポーティなライディングも可能としている。4タイプのライディングモードを備え、クルーズコントロールとグリップヒーターとETC2.0車載器も標準装備している。価格:(MT):1,100,000円(税込)
3位 HARLEY-DAVIDSON ソフテイルシリーズ/ツーリングシリーズ
ハーレーダビッドソンはソフテイルファミリーやツーリングファミリーをひとつの機種として合計で3位となった。中核を担うのがソフテイルファミリーだが現在は「クルーザー」という名称になった。エンジンは1745ccと1868ccがある。いずれも空冷Vツインだ。
売れてる車種の人気の理由は豊富なカスタマイズパーツにある?
今回のランキングで共通しているのが、「カスタマイズ」のベースとなる車種が多いという点。もちろん売れているからカスタマイズパーツも数多く出るという見方もあるが、魅力的な車種でなければ売れないし、カスタマイズもされない。
2023年以降も人気車のカスタマイズはますます熱くなることは間違いないだろう。
こちらは2022年の東京モーターサイクルショーに出展された「GB350 デイトナ・カスタマイズ仕様」。まるで別モデルに生まれ変わっている。デイトナからは人気のGB350をクラシカルな雰囲気に仕立て上げるパーツが数多くリリースされている。