バイクには減速のためにブレーキ装置が備わっていますが、ブレーキをかけた時や、ふとした時に「キーキー」という異音が発生することがあります。特に初めて経験する場合、「故障なの?」「安全に影響はない?」と不安になる方も多いでしょう。実は、このブレーキ音にはさまざまな原因があり、放置すると音が大きくなったり、ブレーキ性能に影響を与えたりすることもあるため、早めの対策が大切です。今回はバイクのブレーキの異音対策についてご紹介します。
バイクのブレーキの音鳴きは、メンテナンス必要性を知らせるサイン
バイクのブレーキは2輪のホイールにそれぞれ1つずつあるのが標準的な構造で、安全な運行には安全なブレーキが欠かせません。十分にメンテナンスされた正常なブレーキは必要なときにしっかり制動力が発揮でき、走行中や制動中には異常な音や振動もしないものです。ですがバイクに乗り続けているとブレーキから異音が発生することがあり、制動中のキーキーという異音が多いです。
またその他にもガリガリ音やシャーシャー音が聞こえることもあり、これらの異音が出たときはブレーキのメンテナンスが必要というサインです。バイクのブレーキを外から見ただけでは異音の原因はわからないので、原因究明と異音解消のために、バイク販売店や修理工場に持ち込んでチェックしてもらいましょう。
なおバイクのブレーキはディスクブレーキとドラムブレーキの2種類に大別されますが、それぞれで異音の原因が違うため詳しくご説明します。
ディスクブレーキから音がなる原因、直し方
ディスクブレーキは前後のホイールの内側に装着した金属ディスク(ディスクローター)をブレーキパッドで挟んで制動するブレーキで、近年のバイクは多くがディスクブレーキです。
ディスクブレーキは以前はスポーツバイクや大型バイク向けの性能の高いブレーキでしたが、安全性の高さから中、小型バイクにも採用が増えてきています。
なおディスクブレーキの異音には主に次のような種類があり、それぞれ原因となる箇所が変わります。
キーキー音
・ブレーキパッドが新品で馴染んでいない
・ディスクローターのキズ
ガリガリ音
・ブレーキパッドの残量減少
・シャーシャー音(制動時)
・ディスクローターの歪み
シャーシャー音(走行時)
・ディスクローターとブレーキパッドが常時接触している
メンテナンスの必要な異音
ディスクブレーキの異音で多いのはキーキーという金切り音ですが、この異音はブレーキのパッド交換後に発生しやすい傾向があります。ブレーキパッドは消耗品なので定期的に交換が必要ですが、交換直後のブレーキパッドはディスクローターとの馴染みが弱いことで異音が発生します。この場合はある程度走行を続けていけば異音が解消することが多いですが、もし解消しなければ再度のメンテナンスが必要です。
またディスクローターにキズが付いているとキーキー音が発生したり、ローターの歪みによるシャーシャー音が出ることがありますが、この場合もメンテナンスによって正常なローターに修理しましょう。
もしブレーキを使わずに普通に走行していても異音がブレーキから出るのであれば、調整不足によってブレーキローターとブレーキパッドが常時接触している可能性が高く、この場合は油圧システムの再調整を行いましょう。
ブレーキパッド交換時期を知らせる異音
ブレーキからガリガリという激しい接触音が聞こえてきた場合には、ブレーキパッドが限界まで消耗しているかもしれません。ブレーキパッドはブレーキローターとの接触によって少しずつ厚みが減少するため、パッドの厚みが規定値以下になった場合には即座に交換が必要です。
しかしメンテナンスを怠ってブレーキパッドの消耗が更に進んだ場合でも、ライダーに限界を知らせるために異音が発生するように設計されています。
ガリガリの異音は多くの場合このサインですので、バイク修理店などでブレーキパッドの状態を確認してもらい、この箇所であれば即座に交換をおこないましょう。
ドラムブレーキから音がなる原因、直し方
バイクのブレーキにはドラムブレーキという種類があり、こちらは低コストの小型バイクに主に採用されます。ドラムブレーキはディスクブレーキに対してコストパフォーマンスがよく以前はブレーキの主流でしたが、ブレーキフェードが起こりやすいデメリットがあり、ディスクブレーキに置き換わりが進んでいます。
しかし現在でもドラムブレーキを採用するバイクも数多くあり、ドラムブレーキには別の異音が発生することがあります。
キーキー音
・ブレーキシューが新品で馴染んでいない
・ブレーキダストの堆積
・ブレーキ内部が水で濡れている
シャリシャリ音
・ブレーキシューの減少
・ガリガリ音
・ブレーキシューが減って干渉している
メンテナンスが必要な異音
ドラムブレーキの場合は構造がシンプルなため部品の歪みなどで異音は起こりませんが、異音の大半は内部で接触して制動力を発揮するブレーキシューにあります。ブレーキシューも定期的に交換の必要な消耗品ですが、ブレーキローターの内部にあるのでディスクブレーキほど確認が行いづらく、見落としがちになります。
もしキーキーやシャリシャリという異音がドラムブレーキから聞こえてきたらブレーキシューが減少している合図であり、ブレーキシューの削りカスであるブレーキダストの堆積も原因になります。
ガリガリ音まで聞こえてきたら、ブレーキシューがほぼなくなって内部の金属部品どうした接触していることもあります。こういった異音はメンテナンスや部品交換で修理できるので、即座に点検に出しましょう。
メンテナンス不要の異音
ドラムブレーキでの異音には一時的な現象として発生するものがあり、キーキー音が自然に解消する場合もあります。
ドラムブレーキは奥まった部分にブレーキシューが入っており、雨の日に走行するとドラムブレーキ内部に多少水が侵入します。その水の影響で制動時にキーキー音が発生するのですが、時間とともにブレーキ内部の水は蒸発するので自然に解消します。
もし雨の日の前後でキーキー音が発生したら、一度晴れた日にある程度走行してみて自然解消するかどうかを確認し、異音が続くようならば前述のメンテナンスを行いましょう。
まとめ
バイクのブレーキは安全な制動のために重要で、ブレーキの摩擦材は使うと消耗するので定期的なメンテナンスが必須です。
ブレーキからの異音は消耗状態やその他のブレーキの不具合をドライバーに知らせてくれる重要な情報で、異音が発生したらすみやかに点検や修理を行ってブレーキを万全に保ちましょう。