6月を迎え、どんよりとした曇り空や雨の日が増えてくる今日この頃だが、それでも晴れた日には関東でも25度近くまで気温が上がることも珍しくなく、これから迎える夏本番はバイクで走っていてもぬるい風を切るだけで渋滞時には全身から汗が止まらない、あの季節がやってくる…
そんなこれからの暑い時期にぜひオススメしたいのが、昨年RSタイチから登場したLIQUIDWIND(リキッドウインド)。専用の冷却水を腰に装備した送水ポンプによって専用インナーから供給することで、清涼感を任意にコントロールできるという画期的なシステムになっており、発売以降一躍話題となったアイテムだ。
今回はそんなLIQUIDWINDが今年さらに魅力を増してアップデートされたので紹介していこう。
【RS TAICHI(アールエスタイチ) / LIQUIDWIND : impression】
涼しさは自分でコントロールする時代
LIQUIDWINDの装着は非常に簡単。まずは専用のインナーを着て、首元や左肩、左脇に設置されたループに冷却水を送水するためのチューブを通していく。首元のチューブ部には等間隔に穴が空いており、ここから冷却水が拡散される仕組みになっているのだ。インナーにチューブを通したら、あらかじめ冷却水を入れたボトルをウエストに装着していく。
専用の保冷ボトル専用バッグはウエストベルト部、ベルトとバッグの装着部ともに操作しやすい大きめのバックルとなっているので、グローブをつけたままでも操作しやすい。最後にチューブをボトルの接続部にワンタッチで軽く押し込むだけで準備は完了だ。
※使用上の注意として、下着やシャツなどへ色移りする恐れがあるため、あらかじめ目立たない箇所で変色・変質がないことを確認してから使用しよう。念の為、専用インナーや新品の下着、シャツなどは一度洗っておくのが吉。
実際に送水レバーをワンプッシュしてみると、ひんやりと清涼感のある冷却水が首元から広がっていく。これは最近多く見かける汗に反応して冷たさを感じる冷感インナーのそれと似ており、これなら外気がどれだけ暑くてもワンプッシュするだけで強制的に涼しさを感じることができるのだ。さらに走っていると走行風も相まって、公式で発表している気化冷却実験の数値(-5℃)以上に涼しくなっているように感じる。
また、インナーが濡れたまま乾いてしまうと生乾きの臭いも気になってくるものだが、これはさすが清涼研究に強みを持つ株式会社マンダムと共同開発した冷却水「ギャツビー リキッドウインドウォーター」なだけあり、乾いた後のニオイも全くにならない。左ウエストに装備したボトルについても乗車姿勢をとっても邪魔にならず、送水レバーも従来のスプレーボトルのように操作しやすく、これなら信号待ちなどの一時的な停車時でもサッと操作できるだろう。
さらに魅力を増してアップデート
今年リリースしたLIQUIDWINDの大きな変更点といえば、まずは平たい樹脂製のボトルから筒状となったボトル。違いはその形状だけでなく、真空耐熱構造により外気温の影響を受けにくく、冷却水の冷たさを長時間キープすることでさらなる冷却効果を発揮するのだとか。これはビジュアル的にもかなりスマートになっており、ボトルを収納しておくバッグについてもボトルに合わせてアップデートされている。
さらに専用インナーに加えて、走行風の循環と移染防止のため同時着用が推奨されているエアフローベスト(別売り)についても機能はそのままに、要望の多かったブラックが新色として追加された。
(写真のインナーは新色のブラック、エアフローベストは従来のグレーを着用)
専用インナー以外のアイテム(ボトル・送水チューブ・ベルト&ポーチ・冷却水)がセットになった「リキッドウインド スターターキット」が、冷却水を除く「リキッドウインド 保冷ボトルキット」となって登場した他、ボトルやインナー、バッグ単品での販売も行っているので、LIQUIDWINDを既に持っている方でも新型ボトルや新色インナー、エアフローベストのみの購入も可能となっている。
これまでの長い間に渡って、暑さ対策といえばそのほとんどがメッシュジャケットや冷感インナーによる「できるだけ涼しい装備」での対策しかなかったが、時を経て、清涼感が欲しい時には自分で涼しさをコントロールできる時代となったのだ。
こうした言わば発明的なアイテムは試みとしては非常に面白い反面、メーカーとしてはかなり勇気がいることだろう。そんなアイテムだからこそ、LIQUIDWINDの登場は夏場のコンディションを楽しむ全てのライダーにとって革命的なアイテムとなり、これまで暑さがネックになり夏のライディングが苦手になっていたライダーにとっても新しい楽しみ方や新しい発見、バイクライフにまでも変化を与えてくれるに違いない。
そして、10年前は考えられなかったバイク用のインカムが今や常識となっているように、LIQUIDWINDが今後の暑さ対策の新常識となる日もそう遠くはないはずだ。