現代的な安全性と快適性を実現しながら、ノスタルジックなデザインで人気急上昇中のゴッドブリンク(godblinc)の「ブレードランナー(Blade Runner)」。
ブレードランナーは「80年代から90年代に登場したバイクにマッチするデザインを」そんなテーマでZEALOTシリーズのフラッグシップとして登場したフルフェイスヘルメット。高速走行での快適性を高めるべくエアロダイナミクスを追求した帽体デザインは、最新のヘルメットのように流線型を描き、ベンチレーションも充実したモデルです。
代表の泉地さんは「テイスト・オブ・ツクバ」のように主に80年代から90年代の車両をベースにしたレースに出場するようなカスタムバイクに似合うヘルメットを作りたい、そんなコンセプトを抱いてブレードランナーの開発に着手したそう。
今回は、ゴッドブリンク代表の泉地さんとMotomeganeスタッフの岩井、そしてライターのツチヤマの3名がブレードランナーをかぶってツーリングへ。実際の使用感についてインプレッションを行いました。
集合地点は愛知県新城市の「道の駅 鳳来三河三石」
今回のツーリングは愛知県新城市の「道の駅 鳳来三河三石」に集合して、静岡県の浜名湖を目指すというショートツーリング。岩井と私ツチヤマは東京からそれぞれ新東名高速道路を使って現地へ向かい、3-4時間ほどかけて「道の駅 鳳来三河三石」に到着しました。
スタッフ岩井の愛車はスズキGSR750、ワタクシはBMW Rナインティ・アーバンGSです。そしてゴッドブリンク代表の泉地さんの愛車はカワサキZZR1100! 90年代を代表するハイスピードツアラーを愛機とする泉地さん。現在の愛車は90年代中頃のモデルで、ZZR1100好きの間では「C型」と呼ばれるモデルです。
カウル付き高速ツアラーのZZR1100、スポーツネイキッドのGSR750、ヘリテイジスタイルのアーバンGSとまったく異なるジャンルのバイクでツーリングへ出かけます。ライディングポジションはもちろん、カウルの有無、快適な巡航速度も異なる3台です。
こちらは泉地さんが使用するブレードランナーでカラーはホワイト。シールドには現在開発中のライトスモークシールドのプロトタイプを装着しています。
こちらはスタッフ岩井のブレードランナー。GSR750のカラーリングに合わせて、「GRAPHIC EURO MATT BLUE」というグラフィックモデルをチョイス。マットながら鮮やかな色合いが印象的です。
そして筆者はメタリック感あふれるソリッドシルバーのブレードランナーをチョイスしました。ここからは浜名湖を目指して走りながら、ブレードランナーの印象についてご紹介していきます。
ブレードランナーのここが良い!その①:軽いかぶり心地
集合場所まですでに3-4時間ほどかけて高速道路を走行してきた筆者。まずブレードランナーをかぶって最初に驚いたのはその「軽さ」です。普段使用するフルフェイスヘルメットはオフロード用で、その重量は約1.5kgほど。長時間の走行ではその重量や、バイザーによる空気抵抗などで走行後には首がしんどくなることも多いんです。実はいつもヘルメットをかぶる瞬間からそれなりの重量を感じたり……。
ではブレードランナーの重量は?
ブレードランナーの重量は約1.45kgで、自分が普段使いするメットとは実は大きな重量差がないのです。でもかぶった印象は明らかにブレードランナーが軽いんです……。おそらく、これはブレードランナーの帽体デザインによるものでしょう。同じような重量でなぜ軽さを感じるのか。それはヘルメットの重心位置が巧みに設定されているから。走り出してしばらくはその軽さに感動したほどです。
上は以前撮影したマットブラック。後頭部にウイングを設けてエアロダイナミクスを追求したブレードランナー。帽体の重心バランスも非常に優れていて、驚くべき軽いかぶり心地を実現しています。「ほんとに?」と思ったみなさん、ぜひ店頭で試着してみてください。
ブレードランナーのここが良い!その②:取り外しが超簡単なシールド
集合場所まで各自数時間の走行をしてたどり着いたこともあり、シールドは虫の汚れが多数…….。そこで、道の駅のトイレの水道を借りてシールドを掃除することに。この時体感したのが、シールドの取り外しやすさ!これまで4、5メーカーのヘルメットを使用してきましたが、ブレードランナーは間違いなくこれまでで一番シールドを外しやすいヘルメットです。
この操作性には筆者もスタッフ岩井もびっくり。「シールドが割れないかドキドキする……」なんて不安は一切ナシ! かと言って装着後にガタつきやすい、みたいなこともありません。特に高速道路を連続走行するようなツーリングでは、休憩時のシールドの掃除も必須ですが、ブレードランナーのワンタッチ機構なら掃除も気軽に行えます。
おっと、シールドを水道で洗う場合は流水をかけながら指の腹でやさしく汚れを取り去りましょう。間違ってもグローブやウエスでゴシゴシしてはいけません。基本は、濡らした状態で優しく汚れをさらうイメージ。こうするだけで極力シールドに傷をつけず、長く使用することができます。
新城のワインディングへ
浜名湖を目指して「道の駅 鳳来三河三石」を出発した一行は、新城のカントリーロードへ。5月ながら、最高気温は25度近い夏日だったこの日。ブレードランナーには前頭部と後頭部に開閉式ベンチレーションが備わっているし、サラサラとした肌触りが特徴の内装は、暑い日でも常にヘルメット内部を快適に保ってくれます。
泉地さん曰く、「ベンチレーション開閉時のクリック感も色々トライをしました。片手でも開けやすく、でも確かなクリック感が出るように、組み合わせる樹脂パーツの設計に苦労しました。チンガードのベンチレーションも開けやすさと閉じた時のシャッター性にこだわっています」とのこと。
ブレードランナーのここが良い!その③:高速走行時の空力性能
「浜松いなさIC」から浜名湖を目指し、快晴の新東名高速道路へ。「浜松いなさIC」から東名高速の「三日日JCT」へ出るまではほぼ直線的な道が続く区間です。フルフェイスヘルメットで気になるポイントのひとつが空力性能です。高速道路は巡航速度が高く、強風に見舞われることも多いので帽体の空力性能が良くないと、ヘルメットが横風で振られたり、速度域によっては走行風で小刻みにヘルメットが揺さぶられてしまうことだってあります。
スタッフ岩井のGSR750は小ぶりなメーターバイザーこそ装着していますが、ほぼカウルレスと言っても良いストリートファイタースタイルです。今回の3人の中で走行風に対しては最も不利な車両ですが、ブレードランナーをかぶった実際の走行ではどう感じたのでしょう?
「まず、軽さの恩恵を感じました。東京から新城まで3時間以上も同じ姿勢で走り続けても、首や肩の疲れが全然ないんですよ。さらに驚いたのは空力特性で、かなり優れていると感じました。というのも、新東名の120km/h区間など速度域も高くて、さらに場所によっては横風が強い場所でも常にヘルメットは安定していたんです。追い越しで振り向く時も、ヘルメットが後ろに持っていかれることが少なくて。まるで横を向いた状態で風を切っているように感じるほどでした」
ミニカウル付きのバイクとの相性は?
スタッフ岩井のコメントには、実は筆者もまったく同じ印象を持っています。筆者の愛車はミニカウル付きのアップハンモデルですが、ヘルメットの形状と走行する速度によっては、ミニカウルを通過した走行風がヘルメットに当たった時に乱流をおこしてしまうようで、ヘルメットが大きく振られることもあっりました。しかし、ブレードランナーではあらゆる速度域で安定した空力性能を体感できました。
ちなみに、今回の取材では往復600kmの道のりでテストをしています。それなりの距離を走行しましたが、空力性能に関しての不満は一切出なし! ブレードランナーはバイクのタイプやカウルの有無を問わず、快適な高速走行が楽しめるヘルメットと言えるでしょう。
一路浜名湖へ。
高速道路を降りた一行は一路浜名湖へ。ちょっとしたワインディングを楽しみながら、炎天下の中を1時間ほど走行。緩やかなコーナーが続く快走ルートは交通量も少なく、心地の良いペースで走り続けることができました。ベンチレーションは速度域を問わずすぐに効果を感じられる設計とあって、真夏日のこの日もヘルメット内部は常に快適です。
ブレードランナーは視界も広く、またスクリーンの歪みもほとんど感じないので視界は常にクリアです。この日、筆者は夜明け近い時間に自宅を出発。気温は10度前後と肌寒い中でスタートしましたが、信号待ちでできたスクリーンの曇りは、走りだすと一瞬で消え去りました。走行風を効果的に導くエアインテークによって、アンチフォグ性能も十分なものだと感じました。
ブレードランナーのチンガードを拡大したところ。中央が帽体内への外気の流入を司る開閉式ベンチレーションです。その左右に配置するスリットはノスタルジーなデザインを演出するためのダミーで、裏側から走行風の侵入をシャットアウトしています。風切り音対策のためにも有効な装備です
目的地の浜名湖へ到着
道の駅を出発して2時間足らずで一行は浜名湖へ到着! これ以上ないほどのツーリング日和とあって、浜名湖の美しい風景を堪能できました。
せっかくなので浜名湖が一望できる浜名湖大橋近くのパーキングにバイクを停めて、しばしバイク談義&ヘルメット談義に。
右が代表の泉地さん。ZZR1100オーナーはストックのスタイルを保つ極上美車! 左はスタッフの岩井も。愛機GSR750はカスタム済みで、もっぱら休日のツーリングに使用。
ブレードランナーのここが良い!その④:汗ばむ陽気でも快適な内装
ブレードランナーの内装は独自のナイロン素材によって構成されていますが、なんと言っても肌触りが最高! 汗ばむような陽気でも内装素材がスッと汗を吸収するので、肌に当たる部分は常にサラサラなのです。こうした内装も開発者の泉地さんのこだわりのひとつ。泉地さんは商品としてリリースした後も、さらに性能を高めるべく改良のポイントがないかを日々研究しているそう。
「たとえば、静粛性ひとつとっても、帽体の形状や突起がもたらす風切り音もあれば、内装から内部に風が侵入することによってうるさいと感じることもあります。ブレードランナーは今後、テイスト・オブ・ツクバや国内のレースに出場するライダーにも使用してもらうことを目標に開発をしています。僕のバイク仲間にも実際にかぶってもらって、製品に対する率直な感想を教えてもらうようにしています。ブレードランナーの内装も耳に回り込む走行風を改善するために、プロトタイプから何度も変更しています」
次期発売商品の開発と並行して、さまざまなバックボーンを持つライダーたちからフィードバックを受けて、現行ラインナップでも常に改善していく姿勢を持つ泉地さん。そんな真摯なモノづくりは、いま二輪以外の世界でも評価を受けているといいます。
「マリンスポーツの国内トップ選手がゴッドブリンクのオフロードヘルメットを使ってくれているんです。水上バイクでのスピード競技やアクロバットなど、ハードなスポーツですが、選手たちはその軽さを高く評価してくれているんですよ」
とは泉地さん。現在では選手へのサポートもスタートしているそう。
あらゆる乗り手の意見に耳を傾けて常にアップデートを続けるゴッドブリンクのヘルメット。今回日帰りのツーリングに使用して、ブレードランナーの持つすべての特徴は、数えきれないほどの試走を繰り返して完成したもの。つまり、すべてのディテールに誕生までのストーリーがあるのです。
ゴッドブリンクのヘルメットはライダーたちの声が生み出したヘルメット、そう言っても過言ではありません。