夏と言えばツーリング、ツーリングと言えば北海道。その中でもニセコエリアは人気のコースです。今回は札幌から羊蹄山麓を通りぬけて、ニセコパノラマラインから日本海を目指すツーリングを3回に分けて紹介します。Vol.2は、開発が進む「ニセコ町・倶知安町」の中にある「変わらないよさ」を紹介します。
開発と破壊が背中合わせの世界的リゾート「ニセコ町」
ニセコ町のカントリーサインには、スキーがデザインされています。町内には「ニセコアンヌプリ国際スキー場」や、「ニセコビレッヂ」などがあり、パウダースノーを求めて世界中から大勢の人が押しかける国際的リゾートです。そのおかげでカネゴンたちは気分上昇、地価も上昇。宿泊も食事も高く、金を持っていない人は立ち入れない雰囲気です。昔はのんびりした町だったんですけどね~。
庶民に優しいニセコの隠れ家的飲食店
ニセコ市街地にある「お食事処じいじ」は、そんな状況に「てやんでー、ばーろー、ちくしょー!」と一石を投じてくれるお店です。メインストリートから離れた場所にあり、隠れているつもりはないのに隠れ家的。説明してもどこかわからないと思いますので、「本通92-1」とだけ言っておきましょう。
店名の通り、年配のご主人がワンオペでやっている店です。この日のワンプレートランチ「豚の竜田揚げ」は、メロンも付いて650円。ガス釜で炊き上げる蘭越産の米が最高です。ライダーズカフェのようにバイクを眺めながら食事をしました。
小鉢の刺身は、北海道名物「タコの頭」です。タコ足は人気で本州でも高値が付きますが、頭は不人気のため地産地消されています。店主の思いやりを感じられる料理に満腹になりました。
お食事処じいじ
住所:北海道虻田郡ニセコ町本通92-1
電話:0136-44-2822
営業時間:11:30~15:00(L.O.14:30) 17:30~20:00(L.O.19:30)
※変更されている場合があるので必ず確認してください。
定休日:月曜日
羊蹄山とダチョウがシュール「ニセコ第2有島だちょう牧場」
食後のデザートを求めて「ニセコ第2有島だちょう牧場」へ移動しました。1912年に小説家の有島武郎が農場を小作人たちに無償で分け与えたのが始まりです。しかし農場の大部分が勾配の急な斜面、岩だらけの土地で離農する人が多く、一時は原野のようになりました。
農地に目を付けた一人の男性が、約30年前にダチョウの飼育を開始。しかし飼育開始から20年が過ぎても採算的に厳しい状況が続きました。試行錯誤を繰り返し、現在は創設者の孫が経営しています。ようやくダチョウ製品も軌道に乗り始め、ニセコの特産品の一つに数えられています。
牧場内のショップでは、ダチョウ肉の加工食品や卵を使ったスイーツを販売しています。ダチョウを眺めながら食べるダチョウのタマゴを使ったプリンは最高。あっさりしながらも力強く、大地を踏みしめているような味がしました。
ニセコ第2有島だちょう牧場
住所:北海道虻田郡ニセコ町豊里239-2
電話:090-8273-8324
高騰激しく庶民を寄せ付けなくなった国際的リゾート地「倶知安町」
倶知安町のカントリーサインは、「スキーをするジャガ太くん」です。この地域のスキーの歴史は昭和初期の山岳スキーから始まり、昭和37年にひらふスキー場を会場に第40回全日本スキー選手権大会アルペン競技会開催され、その後のスキー場開発が急速に進みました。2000年代に入ると外国人が訪れるようになり開発が加速。ニセコ同様、土地高騰や環境破壊など多くの問題が発生しています。
倶知安町は「観光客を中心とした交流人口を増加させ、魅力あるまちづくりを展開するための施策を実現する財源」と言い訳して、2019年11月1日から「宿泊税」を導入しました。リフト券も年々高くなっています。庶民にはまったくもっていい迷惑です。
小説「駅に泊まろう!」の舞台になった駅舎の民宿
JR比羅夫駅は、すっかり様変わりしたヒラフエリアの中で、昔ながらの面影を残しています。1982年に無人駅になりましたが、1987年頃にJR北海道から駅舎を借り受けて「駅の宿ひらふ」としてリニューアルしました。ホームの上で食べるBBQが人気。北海道新幹線開業に伴い、長万部~小樽間の廃止が決定しているので、駅としての役割を終える日が近づいています。旅好きなら一度は泊まりたいですね。
この宿は小説「駅に泊まろう!」の舞台になっています。宿泊体験記や物語と現実を融合させた記事も発表されています。いずれも私の執筆ですので、よろしければご覧ください。
北海道新幹線札幌延伸でどうなる? 函館本線・山線の旅(5)
駅のホームに宿がある!? 小説『駅に泊まろう!』をたどる北海道旅
駅の宿ひらふ
住所:北海道虻田郡倶知安町比羅夫594-4
電話:080-5582-5241
ツーリングはまだまだ続きます。Vol.3はニセコパノラマラインを走り抜けて岩内町へ。旅のラストは予約が困難な温泉宿で締めくくります。引き続き宜しくお願いします。