安価で安全性が高いコミネのヘルメット
筆者にとってコミネのイメージは安価で安全性が高い用品メーカーというものです。
コスパに優れたライディングウエアを揃えていたら、全身コミネになってしまうことを「コミネマン」なんて呼ぶ事も。
ユーザーが手にしやすい価格帯で安全な製品を供給するコミネですが、ヘルメットを販売していることをご存じでしょうか?
1967年に埼玉にヘルメット専用工場を新設して以来、コミネはヘルメットの製造、販売を行っています。
ですが、コミネがヘルメットを販売していることを知らないという人は多いのではないでしょうか?
実はバイク業界12年目の筆者も知りませんでした。コミネヘルメットの性能が気になったので最新のジェットヘルメット「HK-172FL」をお借りしてみました。
HK-172FLの付属品
箱から出してみると、付属品はヘルメットの持ち運び用袋とクロスが入っています。
袋はいざという時に三角板として使えるようになっています。高速道路や有料道路で車両を停止させる場合には三角板の表示が義務付けられていますが、バイクで持ち歩いているという人は少ないはず。
アマゾンで探してみたところ、単品売りもしていました。
HK-172FLの見ため
見ためはベーシックなスポーツジェットですが、3次元的な造形になっていて、後ろはトップに比べてギュッと絞り込まれています。
額部分にはお馴染みのコミネロゴが入っていますが、左側にちょっと変わったコミネロゴ、後ろ側にはKのロゴが入っています。
カラーは定番の艶消し黒、ホワイト、ガンメタの他に流行りのグレー、そしてミリタリー感のあるオリーブがラインナップされています。
後ろ側にはHK-172という文字が入っていますが、ミリタリーっぽいフォントが使われていて、オリーブを選べばミリタリー感がマシマシに。
シールドベースにカーボン柄プリント、チークパッドの下部分に赤い糸が使われるなど、目に入る部分に配慮されているのも嬉しいポイントです。
HK-172FLの機能性
機能面での最大の特徴は、国際特許を取得しているドイツのFIDLOCK社製マグネットバックルを日本メーカーとして初めて採用している点。
マグネットバックルだと転倒時に不意に外れてしまうのでは?と思いましたが、顎ひもを引っ張っても外れることはなく、先端の赤いひもを引っ張らないと外れない仕組みになっています。
実際に被ってみると、マグネットが合わさった際に「カチ」と節度のある音がします。はまった状態では左右に多少遊びがあるものの外れるリスクはなさそう。
バイザーとインナーバイザーはどちらもUVカット加工がされており紫外線をカットします。
バイザーの出し入れはシールド横にあるので、インカムを装着する際などに邪魔になることがありません。
頭頂部には大きめのベンチレーションが配置されています。
HK-172FLの内装
内装はチークパッド左右とトップ内装が脱着可能。顎紐についているクッションは外すことができません。
内装を外したヘルメットを見てみると、ボタンに赤が使われていて鮮やか。インカム用のスピーカーホールも用意されていて深さは十分です。
トップ内装を見てみると、クッション性のある素材が採用されていますが、内側にメッシュが貼られており、通気性を良くしてべたつきを抑えてくれそうです。
チークパッドは厚めで弾力のある素材が採用されているので、人によっては少々きつく感じるかもしれません。
交換用内装は3点セットで3300円(税込み)と安価なので、チークパッドだけワンサイズアップを使っても良いかもしれません。
またチークパッド下部にはヘッドライトの光を反射するリフレクトパイピングが採用されています。さすが安全性のコミネといった感じです。
HK-172FLの重さ
HK-172FLの重さを計測してみると、1391gでした。
インナーバイザーや、顎紐の脱着を簡単にするラチェットバックルを採用したスポーツジェットヘルメットは1500g程度が一般的です。
100gの差は大きいので、軽量なヘルメットが欲しいという方にはぴったりです。
HK-172FLを被って走行してみた
HK-172FLを被ったファーストインプレッションは「きつい」と「軽い」でした。
筆者は国内主要ヘルメットメーカー、海外メーカー製品共にMサイズでピッタリの頭です。
コミネのHK-172FLもピッタリなのですが、チークパッドが少しきつく感じました。
フルフェイスのように頬全体が潰れはしないので、インカムの通話やモトブログ撮影で喋りながら走る際にも違和感はないのですが、耳の下から頬にかけての圧迫感があります。
反面フィット感があるので、数値以上に軽さを感じます。
そもそも多機能なスポーツジェット中では規格外の軽さなのですが、フィット感に優れているので頭と顔全体でヘルメットを保持する形になり首や肩への負担は少なめ。
また耳回りは内装がしっかりとフィットしているので、フルフェイスヘルメットよりも風切り音が大きくなりがちなスポーツジェットヘルメットながら静粛性はなかなかのもの。
インカム通話用にスピーカーホールが用意されていますが、使用しない際に埋めるクッションが付属されていないのが少し残念です。
※風切り音や静粛性に関わるため。
風洞実験によるエアロダイナミクスや空気抵抗の解析を行っているというだけあり、空力も不満がありません。
また筆者はラチェットバックルも装着する際にはグローブを外さないとできませんが、マグネットバックルは慣れれば問題なし。装着後は顎紐を引っ張っても外れる気配がなく、ラチェットバックルよりもパーツ点数が少ないので軽量です。
インナーバイザーの出し入れ操作は、多少慣れるまで位置を把握しにくいですが、数度出し入れすれば場所の感覚はつかめます。
長さは鼻の頭ギリギリまですっぽりなので、視界は下を見なければ全体的にスモークになります。
走行して頭が蒸れてきたころに頭頂部のベンチレーションを開けてみましたが、低速時でも頭の上を風が抜けていく感覚があり、蒸れることがなさそう。
加えてジェットヘルメットなので顎下から多少風が入って涼しく夏には最適です。
動画でHK-172FLのインプレッションを見たい方はこちら
日常使いするスポーツジェットして最高のコスパ製品
普段からフルフェイスヘルメットを愛用していると、空力や静粛性が物足りないと感じることはありますが、視界が広いので開放感があり、フルフェイスに比べて涼しいので夏にはぴったり。
加えて多機能なヘルメットながら規格外の軽さなので、通勤、通学で毎日バイクに乗るという人は肩や首への負担が軽減されます。
筆者はフルフェイスとスポーツジェットどちらも愛用していますが、シチュエーションによって使い分けると快適性がグッとアップします。
実勢価格では17,000円~18000円程度とコスパ最強なので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか?
写真/文章:相京雅行