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全日本モトクロスライダーに聞く、エアクリーナーメンテナンスの仕方

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

エンジン内に砂ぼこり等のゴミの進入を防ぐのがエアフィルター。天候によって砂ぼこりが立っていたり、泥の中を走ったり、ライダーにとってもバイクにとっても過酷な環境を走るモトクロスにおいて、エンジンを守る重要な役割を果たしています。

しかし、何度も乗っているとエアフィルターに汚れが詰まり、エンジンの不調やマシン全体のトラブルに繋がることも。常にマシンのパワーを最大限に生かすためには、エアフィルターのこまめな点検とメンテナンスが必要となります。

いつエアフィルターを交換すれば良いのか? どうすれば綺麗に保てるのか? 今回、全日本モトクロス選手権でIA2クラスを走る根岸瑞生選手にそのポイントを取材をしてきました。

根岸瑞生選手は、元ホンダHRC契約ライダーの東福寺保雄さんが監督を務めるチーム「T.E.SPORT」より全日本モトクロス選手権IA2クラスに参戦。2022年でIA2クラス3年目となります。自身のマシンは全て自分でメンテナンス。全日本モトクロス選手権で挑戦を続ける中、「T.E.SPORT」主催のライディングスクールではインストラクターとしても活動しています。

目次

エアフィルターを洗う

AirTec  エアフィルターのメンテナンスの手順は4つ。洗う→乾かす→オイルをつける→取り付ける。これが基本となります。

まずは、汚れたエアフィルターを洗います。

根岸選手が普段メンテナンス時に使用しているのは AirTec(エアテック)のバイオシリーズです。クリーナーとオイルともに手に取りやすい価格。さらに、クリーナーは少量の使用で汚れが十分に落ち、オイルも伸びが良いためコスパの良さが魅力だそう。

エアテック バイオエアフィルタークリーナー(写真右)

¥3,080(税込)

エアテック バイオエアフィルターオイル(写真左)

¥3,630(税込)

マシンの特性にもよりますが、エアフィルターは数回走ると写真のように砂ぼこりなどの汚れが目立ってきます。放置していると吸気性が落ち、エンジンが上手くかからなくなることもあるため、こまめにエアフィルターの汚れ具合をチェックし、茶色くなっていたり、表面の色が変わっていたら交換のタイミングです。

汚れが溜まっている場合は、クリーナーを使う前に一度水またはお湯で汚れを流します。夏場よりも寒い冬場の方が汚れがこびりつきやすく、落としにくくなるため、その場合はお湯を使用すると汚れがよく落ちますよ。水で汚れを落としておくことで、クリーナーの使用量も減らすことができます。

水洗いを終えたらバケツやTWINAIR クリーニングタブなどにエアフィルターを入れて、バイオエアフィルタークリーナーをまんべんなく振りかけていきます。目分量としては1つのエアフィルター全体にかかるくらい。この量で4〜5個一緒に洗っても綺麗に汚れが落ちるくらいの洗浄力なので、エアフィルターを複数持っている人は、1回につき1個洗うのではなく、1回に複数個まとめて洗うのも良いでしょう。

また、つけ置きをしなくても汚れが綺麗に落ちるとのことですが、特に汚れが落ちない場合は、クリーナーをかけた後、お湯に浸して10分から15分つけ置きをすると汚れが綺麗に落ちます。汚れが気になる場合はつけ置きがおすすめ。

洗剤をかけた後はエアフィルターが浸るくらいに水またはお湯を入れ、もみ洗いをしていきます。この時の動作は米研ぎをしているようなイメージ。押して握って、押して握ってを繰り返していきます。

水の汚れが溜まってきたら、水を捨ててエアフィルターをすすいでいきます。なお、バイオエアフィルタークリーナーは、生分解に対応しているため洗浄液を生活排水として流すことが可能。自宅のシンクやお風呂場で洗うことができるのは嬉しいポイントです。

すすいだ後は一旦水気を切ります。ここで注意すべきは「絞る」のではなく「握る」ということ。モトクロスのAirTec エアフィルターはスポンジのため、左右を持ってひねるように絞るとちぎれてしまう可能性があります。ちぎれてしまうと、その部分から砂ぼこり等がマシン内に入ってしまい故障の原因に。優しく、傷めないように、「握る」ことを意識して水気を切りましょう。

1度洗って汚れが気になる方には2度洗いをおすすめします。2度洗いした後見てみると、最初の状態と比べてとても綺麗になりました。これで洗う作業は完了です。

エアフィルターを乾かす

洗った後はエアフィルターを乾かします。洗濯物と同じように、洗濯ばさみで挟んで乾くのを待ちます。その間は片付けをしたり、整備をしたり、休憩したり、次の練習のイメージトレーニングをしても良いですね。

オイルを付ける

エアフィルターが乾いたらオイルを付けていきます。オイルによってフィルターに粘着力が出て、汚れを吸着。マシン内に砂ぼこり等の進入を防ぎます。

フィルターオイルの容器は口が大きいため、そのままエアフィルターにオイルをつけようとするとこぼしてしまう危険性も。口が狭い容器に移し替えると扱いやすくなります。根岸選手はソースを入れる容器を使用。100円均一などで売っているので、1つ持っておくと便利です。

使用量は写真の通り。フィルター上にまばらにつけていきます。なお、オイルを付け始める場所は人によって異なりますが、根岸選手は色の薄い表面から塗っていきます。色が薄い分染みこんだ範囲がわかりやすいのでムラ無く塗ることが可能になるとのこと。

次に、オイルを馴染ませていきます。これもエアフィルターを傷めないように「握る」ことを意識。オイルの伸びが良いので、表面につけた量でふちまで伸ばすことができます。なお、エアクリーナーの接着面(ふちの裏側部分)に専用のグリスを塗るという方法もあります。TWINAIR バイオシールグリスという専用グリスもラインナップされています。根岸選手はAirTecのバイオエアフィルターオイルのみで十分ほこりを防げるとのことで、グリスを使用していないそう。

表面と同じように裏面にもオイルをつけて馴染ませていきます。全体にムラ無く馴染ませることができたらOK。なお、オイルの塗り方にムラがあるまま装着してしまうと、走った時にムラのある部分から砂ぼこり等が通過てしまうので注意が必要です。

サラサラなオイルは乾くと粘り気が出て、汚れの吸着力を高めます。効果を十分に発揮させるため、オイルが馴染んだ後すぐにマシンに装着するのではなく、半日から1日置いておくことが大切。練習やレースの当日にメンテナンスするのではなく、前日にメンテナンスしておくことをルーティーンにしておくとベストです。

エアフィルターを取り付ける

最後はエアフィルターを取り付けて完了! エアフィルターメンテナンスの作業時間は乾かす時間を含めなければ30分程。さらに、今回は250ccバイクのエアフィルターをメンテナンスしていきますが、異なる排気量のものでも手順は変わりません。4つのシンプルな工程のため、今回ご紹介したメンテナンス製品と方法を参考に、自分なりのメンテナンス方法を見つけてみてください。

text&photo RIDE-HUCK

RIDE-HUCK掲載日:2022年9月30日

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