スポーツバイクはパワフルな走りとスタイリッシュなデザインでバイク好きにはたまらない1台ですが、スポーツバイクをより速く便利にする装備が「クイックシフター」です。スポーツバイクに興味を持っている方なら一度は耳にしたことがあるかもしれません。
この装備、実はスポーツバイクの操作感を一段階上のレベルに引き上げる便利なシステムなんです。名前からは少し専門的な印象を受けるかもしれませんが、その仕組みや効果を知れば、「なるほど、これはすごい！」ときっと思えるはず。今回はクイックシフターの仕組みやメリットについてご紹介します。
クイックシフターとは
クイックシフターはバイクの装備として最近普及し始めた装備で、通常のバイクをカスタマイズする上級装備にあたります。クイックシフターはバイクのシフト操作に関する機能で、通常のバイクに追加で装備します。
バイクの走行時にはシフトアップおよびシフトダウンで適切なギア段数を選択しますが、シフト切り替えにはクラッチレバーの操作でクラッチを一時的に切る必要があります。クラッチ操作のタイミングとシフト操作のタイミングを習得するのがスムーズにバイクを走行させるコツですが、クイックシフターはこの操作をオートでおこなってくれる機能です。
クイックシフターが装備されているとシフトアップ、ダウンをおこなうシフトペダルを操作するだけで自動的にシフトが完了し、クラッチ操作をおこなう必要がなくなります。バイクの発進時及び停止時には従来どおりクラッチ操作をしなければエンストしますが、それ以外の走行時に一切のクラッチ操作が無くなるのでバイクの操作が楽になります。
この数年で少しずつスポーツバイク向けに採用が始まっており、まだまだめずらしい機能です。
クイックシフターのメリット
クイックシフターにはスポーツ走行向けのメリットがあり、バイクをよりスムーズに速く走行させることができます。クイックシフターは元々レース用のカスタムパーツとして開発され、MOTO GPなどのレーシングバイクに幅広く採用されています。
クイックシフターによってクラッチ操作が不要となるので走行中の操作が シンプルになり、ライダーが運転に集中できるようになります。
またクラッチペダル操作とシフトペダルの連動操作にはコンマ数秒のタイムラグがあるのですが、クイックシフターを使用していればタイムラグが無くなるので、レースでは周回タイムを縮める効果が期待できます。
一般のバイクではタイムは特に関係ありませんが、バイクの走行中の操作が減るのは一般道でもメリットとなります。特にロングツーリング中に細かなクラッチ操作が無くなることで疲労軽減につながるため、クイックシフターを使用するとその効果がよくわかります。
クイックシフターの楽さに慣れると手放せないものになるようで、ユーザーからは評価の高い機能になっています。
クイックシフターを標準装備している車種
クイックシフターは以前はカスタムパーツ扱いで後付が基本でしたが、クイックシフターの人気が高まったことで標準装備するバイクも出てきています。2024年12月現在では国内の主要バイクメーカーであるホンダ、カワサキ、スズキ、ヤマハがそれぞれ一部の車種にクイックシフターを標準装備しています。
また海外の輸入バイクにも徐々に標準装備化が進んでおり、DUCATIやApriliaのバイクにも採用されています。バイク全体から見るとクイックシフターの装備は一部のバイクにとどまりますが、確実に採用は広がっています。
クイックシフターの後付けはできるのか
クイックシフターにはシフトペダルに連動するロッドや、エンジンの操作をおこなう電子装置が備わっています。クイックシフターは、もともと後付が前提のカスタムパーツであり、現在さまざまな後付キットが販売されています。
バイクのメーカーや車種ごとに専用のキットがラインナップされており、バイクの構造に合わせたキットであればスムーズに取り付けが可能です。その他にも、汎用の後付クイックシフターも存在しますが、取り付けにはバイクに合わせた調整が必要なので、すべてのバイクに対応できるわけではありません。
いずれにしてもクイックシフターの取り付けには専門知識が必要となりますので、バイク販売店や修理工場などで対応してくれるところを探しましょう。
なお費用としてはクイックシフター自体の値段には開きがあり、1万円台のものから6万円〜7万円を超えるものもありますので機能や対応するバイクで大きく変わってきます。
新車購入時にオプションでつける場合の相場
クイックシフターは新車購入時にオプション装備として取り付けられるバイクがあり、オプション費用をプラスすることでクイックシフターが使えるようになります。オプションを選べるバイクもまだまだ限られている状況ですが、一方でオプションが標準装備化されるモデルも増えてきています。
また限定的ですが、販売促進のキャンペーンなどでオプション装備を追加費用なしで装着できる場合もありますが、取り付け工賃などが別途発生することもありますので注意しましょう。
オプション取付時には新車費用にプラスして費用が必要です。費用の相場はバイクによって変わってきますが、国産バイクの主要車種ではオプション費用として3万円前後が相場であり、社外品のクイックシフターと同程度の費用で装着できます。
まとめ
バイクのクイックシフターはバイクの操作を簡単にしてくれる最新装備で、ライダーの負担を軽減してくれる確かな効果のあるものです。すべてのバイクに必須な機能ではないものの、一度使ってみるとその便利さにクセになる方も少なくありません。国内のバイクには標準装備化が徐々に進んでいるので、今後ますます期待できる装備と言えるでしょう。
