バイクはさまざまなパーツをカスタマイズ可能で自分だけの1台を作りやすい乗り物ですが、バイク好きの間でひそかに憧れの的となっているのが「手曲げマフラー」です。その名前を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?「普通のマフラーと何が違うの?」と疑問に思うかもしれませんが、手曲げマフラーはまさに職人技が光る高級カスタムパーツとして知られています。
一つひとつ職人の手で形作られるこのマフラーは、美しいフォルムと独特の存在感が特徴。さらに、性能面や音質へのこだわりも強く、ただの装飾品ではない奥深さも魅力です。今回はそんな手曲げマフラーの特徴などについてご紹介します。
バイクのマフラーは、定番カスタム箇所
マフラーカスタムはバイクのカスタマイズの中では定番メニューの一つで、マフラー全体やサイレンサー部分などをカスタムパーツに交換します。マフラーはエキゾーストマフラーとも言われ、バイクのエンジンから排出される排気ガスを外部へ導くためのパーツで、主に次のような役割があります。
・排気ガス温度の低下
・排気音の低減
・触媒による排気ガスの清浄化
バイクのマフラーは比較的シンプルな金属製パイプを連結したパーツとなっており、マフラーの全長や形状、触媒の仕様によって性能が変化しますが、マフラーをカスタマイズした際の大きな変化は排気音にあり、エンジンサウンドの一部として好みの音に仕上げるためにカスタムする場合があります。
またバイクのマフラーは外から目立つ位置にあるパーツなので、マフラー自体の形状や色、装着されるエンブレムなどで自分好みの見た目にカスタマイズできるパーツでもあります。マフラーのカスタマイズパーツはバイクの車種ごとに専用のパーツであり、人気のバイクにはさまざまなカスタムメーカーがカスタムマフラーを販売しています。
なおマフラーはカスタムによって排気音が規定値以上になったり排気ガスの清浄性能が低下してはいけないので、法規対応したカスタムパーツを選びましょう。
マフラーの加工方法は、「手曲げ」「機械曲げ」の2種類
マフラーのカスタムパーツには形状や性能で色々な種類がありますが、加工方法によって「手曲げ」と「機械曲げ」に大別されます。この加工方法というのはマフラーのパイプ部分の加工を指しており、機械曲げマフラーはマフラーの標準的な加工方法です。
マフラーのパイプ加工にパイプベンダーという機械式の曲げ機を使用しており、効率的にマフラーを生産するためには欠かせません。純正マフラーはほぼ全て機械曲げの仕様ですし、カスタムマフラーにしてもほとんどが機械曲げのマフラーとなります。
これに対して手曲げマフラーは主に手動でパイプを曲げているマフラーで、手曲げマフラーはカスタムマフラーの中でも高級な製品となります。機械曲げと違って職人が一本一本手動で加工しているので、希少価値が高く手間もかかるマフラーです。
なお、手曲げマフラーの最大の特徴はパイプ形状のなめらかさにあり、機械曲げでは実現できない自由なパイプ形状を作れます。機械曲げではパイプ曲げ部のRが型で決められているため自由度が少なく、加えて曲げと曲げの間は基本的に直線で繋がっています。
機械曲げのパイプ形状でも曲げ回数を増やせばそこそこ複雑な形状は作れますが、パイプベンダーの制約によって限界があるため自由な形状になりません。
これに対して手曲げマフラーは職人の手によって曲げRの大きさや曲げる方向を調整できるため、美しい曲線を描く素敵なマフラーにできます。
手曲げマフラーも加工時には曲げ型を使ってパイプを曲げますが、その際にパイプが潰れないよう中に砂などを入れた状態で曲げるなど手間がかかっており、職人技の必要な高級マフラーになっています。
ちなみに手曲げマフラーは職人技が必要なので、機械曲げマフラーより製造しているメーカーが少ないですが、その中で有名メーカーと言えるのが「ヨシムラ」です。ヨシムラはバイク用カスタムパーツメーカーの大手であり、バイクのチューニングやカスタムパーツの開発など幅広くを手がけています。
特にヨシムラのマフラーと言えば世界的にも有名で、一般市場からレース用の専用製品まで開発しており、国内の主要バイクメーカーとも強固なつながりがあります。
カスタムマフラーについても数多くの車種に対応したパーツを販売しており、手曲げマフラーについても随一の製品ラインナップを持っています。またヨシムラの手曲げマフラーは公道用であれば法規対応もしっかりクリアーしており、安心して装着できる製品に仕上がっています。
また手曲げマフラーはヨシムラの他にも大小様々なメーカーが販売しており、職人技の光るオリジナルカスタムマフラーはとても面白いカスタマイズです。
ただ製品によっては対応する車種が少なかったり、排気音や排気ガス規制に対応できていない製品などもありますので、特に公道を走行するバイクに対しては法規対応を注意して製品を選びましょう。
まとめ
バイクのマフラーカスタマイズはデザイン的に目立つ箇所のパーツであり、パイプの形状や色、曲げなどが見た目に影響します。
手曲げマフラーは数あるカスタムマフラーの中でもなめらかな形状を実現できるため、一般的な機械曲げマフラーよりもクオリティの高い製品になっています。
価格も比較的高いカスタムマフラーになりますが、装着すれば満足度の高い1台に仕上がるでしょう。