筆者が高校生の頃。今から20年ほど前だ。
ネイキッドバイクは今のように、ストリートファイターなんてオシャレな言い方をしなかった時代だ。
バイクにリアキャリアを装着する、ボックスを装着する事は=ダサいという印象があった。
アドベンチャーバイクならまだしも、ネイキッドやフルカウルバイクに装着するなんて、思いもしなかった時代だ。
今やリアキャリアやボックスを装着するのは当たり前の時代になった。筆者も原付二種スクーターに装着して日常的に使っている。
便利には違いないのだが、リアボックス自体は格好いいとは思えない。だが実はリアボックス=ださい世代の筆者でも「かっちょぇぇ・・・」と羨望のまなざしを送る製品がある。
SHADのTR48B TERRA トップケース ブラックである。
SHADとは?
SHADはスペイン・バルセロナで誕生したブランドである。はじめからトップケースを生産していたわけではなく、自国のモーターサイクルメーカー向けにOEMシートを提供していた。
転機を迎えたのはBMWなどのグローバルモーターサイクルメーカーのデザイン・機能性にこだわったトップケース開発がスタートした事だ。
樹脂製品の製作には金型など特殊な技術が必要になるが、そこにシート生産の経験が役に立っているのは言うまでもない。シートのスポンジを作るには同じく金型が必要になるからだ。
自国向けのシート製造メーカーだったSHADは今やホンダやヤマハ、スズキなど私たちが良く知るメーカーのリアボックスの製造にも携わっている。
デザイン賞を受賞したアルミケース TR48B TERRA
SHADのアルミケースTERRAシリーズは世界三大デザイン賞のうち二つを受賞した唯一のバイク用トップケース。
素人目にも格好いいと思わせるTERRAは、デザインのプロも評価する製品だったわけだ。
今回ハンターカブに装着する機会に恵まれたが、送られたきたTERRAはブラックシリーズだった。
箱から出してみると、なんと黒の部分は梨地に処理されている。化学処理かサンドブラスト加工の上からアルマイトされているように見える。表面処理にかなり手間をかけているのは間違いない。
次に気が付いたのはアルミケース特有のリベット打ちされた箇所が極端に少ないことだ。アルミケースは一般的には沢山のリベットが打ち付けられ、鍵の部分は出っ張る設計になることが多い。
だがTERRAはフラットなのだ。全体的にデコボコが少ない。一般的なアルミケースとは一線を画すデザインなのがプロにも認められる理由なのだろう。
装着してみる
今回はSHAD国内総代理店の株式会社カスタムジャパンからTERRAをお借りしたが、実際にバイクに着けて使ってみて良い。というので装着してみた。
車両は最近人気のハンターカブだ。
純正のリアキャリアはオプションのボックスを装着する設計になっているが、SHADのような汎用のリアボックスを装着する前提にはなっていない。
だが代理店のカスタムジャパンのオリジナルパーツブランド、Optimum(オプティマム)よりSHADトップケース専用 スペシャルフィッティングキットが販売されている。
取り付けは純正のボルトを2本外してフィッティングキット付属のボルトで固定するだけなので難しくない。
スペシャルフィッティングキットの上にベースプレートを装着する。
ベースプレートは別売りとなるので注意して頂きたい。アルミと樹脂製のどちらかを選択できるが、キット自体が樹脂製専用なので今回はこちらを装着した。
フィッティングキットにボルト4本で固定するだけなので、整備に慣れていない方でも難しくないだろう。
ベースプレート前側に TR48B TERRAの爪を引っかけて鍵の下にあるステンレスパーツを操作することで固定することができる。取り付けの工程は10分程で完了した。
眺めてみる
うん、かっこいい。
今すぐ原稿を書くのをやめて旅に出たい。
キャンプ用品を積載してみる
アルミトップケースには旅感を感じずにはいられない。
まずはキャンプ道具をありったけ突っ込んでみた。
内容物はこんな感じだ。
正直借り物なので遠慮したが、詰めれば更に入るのは間違いない。かなりの大容量だ。
だがキャンプツーリングを想定すれば最低限必要なのはテント、マット、寝袋である。長尺のマットとテントは残念ながら入らない。
TR48B TERRAの蓋にはフックがついているので、蓋の上に乗せてネットで固定する方法もあるが、更にスマートな方法を提案したい。
蓋に防水バッグを装着する
荷物をネットやロープで固定するのが不安な方もいるはずだ。そんな方にはSHADの防水ソフトバッグをセットで使う事をお勧めしたい。
蓋のフック4か所にマジックテープでハーネスを装着し、バッグのアルミクリップで固定するだけなので脱着は1分程度で可能だ。
ロールトップなのでサイズ変更ができるが、テントやマットを入れてもかなり余裕があった。防水なので雨でも安心して使えるのが心強いポイントだ。
ポイントはこちらの防水バッグは完全防水である点だ。生地は堅ろうな420Dナイロンの両面にPVCコーティングを施し「完全防水生地」としている。
水が浸入しやすい生地の合わせ部分は縫い合わせるのではなく溶着している。ファスナーではなくロールトップにしているのも完全防水にするための設計といえる。
更にバイクからおろした後はリュックとして使う事もできる。ショルダーハーネスはクッション性充分でチェストストラップがついているので、バイク運転中に背負っていたとしても、ずれることがなく集中できる。
大容量のメイン以外にも細かい収納がついているので、普段使いするのにも便利だ。完全防水はデジタルガジェットを持ち歩くにも非常に心強い。
日用品の買い出しに使ってみる
旅感溢れるアルミトップケース。中にはやはり旅を感じるものを納めたい。
だが正直、日常的にバイクを使うとしたら旅感あふれるものを納めるケースなんて1割もないだろう。
実際にはスーパーやコンビニで買ったものを納めることが多いはずだ。そこで日用品がどれぐらい入るか、私の普段の買い物で試してみた
スーパーの買い物かご2/3といったところだろうか?内容としては以下のとおりだ。
ハイライトは長ネギが収まるかどうか・・・
収まりました!
ライバル商品より少しお値打ちなのも魅力
自分で撮影した写真だが、これを見るとキャンプツーリングに行きたくなる。
やはりアルミトップケースはアドベンチャーの香りがするアイテムだ。だが樹脂製のトップケースに比べるとアルミトップケースは製法の難しさや素材自体が高いので販売価格は高くなりがち。
だがSHADの製品はライバル製品と比べて2割から3割程度値段が安いのも魅力的だ。
それでいで、デザイン性や拡張性などライバル製品よりも秀でているポイントも多いのがスゴイ。
唯一の欠点はコロナ禍という事もあり、品薄状態という事だろう。興味があって運よくが在庫があるのを見つけた際には早めに購入した方が良いかもしれない。