クラウドファンディングサイトのメルマガが送られてくるので、定期的にチェックしています。
色々な方が支援募集していますが、中国や台湾で販売されている製品をマーケティング施策の一つとして利用している商社には惹かれません。
元モノづくりメーカー社員としては、職人が自分のアイデアを具現化するための支援募集に心惹かれるものがあります。
今回筆者が見つけたのは、キャッシュレス時代にピッタリなライダー向けのウォレット、製品名はATTACH02です。
先日仕事でATTACH02を製造する工房の近くに行く予定があったため、製品をお借りしつつ見学させて頂きました。
革職人だったお父さんから引き継いだ機械で一つ一つ手作りしている
To Reach Worksという屋号で、支援を募集しているのは東京の下町、台東区に工房を構える尾崎さん。
お父様がハンドバックメーカーをしており、子供のころからレザー職人と寝食を共にしていたのだとか。
そんなお父様がなくなった際に、工場にほったらかしにされていた加工機械を、自宅ガレージに移設して工房をスタート。
できる限り世の中にないもので製品を作るということに拘り、銀の彫金や川の断裁、縫製など全て一人で行っているそう。
そのため朝の8時30分から、21時ごろまで作業して1日1個作るのが限界との事でした。
製品はS、Mサイズがあり、色は黒と茶色。
「折角なのですべて見てもらいたい」とありがたい申し出を頂き、全てをお借りしました。
ATTACH02のコンセプト
今や携帯を持ち歩かないというライダーはいないはず。
ナビアプリの利用はもちろんですが、携帯電話を使ったキャッシュレス決済を利用している方も多いのではないでしょうか?
経済産業省のデータでは2021年のキャッシュレス決済の比率は32.5%。年々増加傾向にあります。
筆者の場合はプライベートの買い物はクイックペイ、仕事で使うものはID、そのどちらも使えない場合にはスイカかクレジットカードを使っていますが、9割程度の店舗ではキャッシュレス決済で支払いをしています。
つまりバイクで出かける場合には、携帯電話、免許証、クレジットカードと多少の小銭があれば支払いで困ることはないわけです。
これら必要なものをコンパクト、スマートに収納することができるのがATTACH02のコンセプトです。
ATTACH02の見た目と素材
ATTACH02はSとMの2サイズ、色は黒と茶色。どちらも見ためは完全にスマートフォンを収納するケースという感じです。
素材には日本を代表する栃木レザーを採用。
有害な物質を一切使わず、植物の樹皮から抽出された樹液の渋に付け込んで作られた牛革が使われており、塗料を使った染色と異なり革の風合いを残しており、牛が生前つけた傷やシワがそのまま残っています。
メインホックに使われているコンチョにはシルバー925が使われています。一般的なシルバーアクセサリーに使われる素材で、バイク磨き用に使われるピカールなどでメンテナンス可能。
ウォレット正面下部にはATTACH02の支援を募集しているto REACH worksのロゴが刻印されていますが、個体によって位置が多少違うのも一つ一つ職人手作りの証拠です。
ATTACH02の機能性
クラウドファンディングサイトの支援募集ページでATTACH02はベルトに固定するタイプということはわかっていました。
しかし製品を見てみると、ベルトに通すループがない。どうやって装着していいかわからず、ページを見返してみると、ATTACH02の着想は「帯と巾着」との事。
その昔、江戸の粋な旦那さんや若い衆は小物を入れた巾着の紐を帯に挟んで根付という留め具で固定したのだとか。
ATTACH02を見返してみると、メインホックの根元部分のループがベルトにひっかかるようになっており、ホックを外しても落下することがありません。ベルトを外してループに通すより気軽に装着できます。
ベルトに固定してメインホックを外してみるとスマートフォン収納部分がパタンと開きます。何度も試作して開く角度は決めたとの事ですが、製品版の角度は30度。実際に使ってみましたが、外側に開くことで取り出しが楽になります。
他にカードが3枚とマルチポケットが一か所ついていますが、カード収納には免許証、クレジットカード、ETCカードの三枚がベスト。
マルチポケットには畳んだお札と、薬を飲む習慣がある人は一緒に入れてもいいでしょう。マルチポケットはボタンで閉まるので小さなものを入れても飛び出す心配がありません。
他にリングがついており、付属のキーチェーンを装着することができますが、筆者的にはカラビナの装着の方が便利に使えるように思いました。
収納できるスマートフォン
ATTACH02のサイズは
- S:W105×H164×D55(内寸W70×H150×D15)
- M:W120×H175×D55(内寸W85×H160×D15)
となります。
筆者が愛用しているのはアイフォン12PROですが、サイズはW71.5×H146.7×D7.4です。カバーもつけているのでノギスで計ったら幅は75ありました。(単位はミリ)
スペック上では入らないはずですが、すっぽり問題なく入ります。ハンドメイドなので個体差はあると思いますが、ある程度余裕をもって作られているようです。
ちなみに主要な売れ筋スマートフォンのサイズは以下の通り
- Google pixel 6a W71.8×H152.2×D8.9
- SONY Xperia 10 4 W67×H153×D8.3
- MOTORA moto G52J W76.8×H171×D9.1
- OPPO Reno7 A OPG04 W74×H160×D7.6
- SHARP AQUOS sense6 W70×H152×D7.9
- SAMSUNG Galaxy A53 SCG15 W75×H160×D8.1
あくまで自己責任ですが、群を抜いて大きなMOTORA moto G52Jは微妙なところですが、他の製品に関しては収まりそう。
見ため的にはSの方がかなりスマートなので、個人的にはSを推したいところです。
動画で見たい方はこちら
クラウドファンディングは完売!一般向けは10月~11月頃
クラウドファンディングサイトは支援募集開始後早々に予定数が完売。追加生産募集を20個限定で開始していました。
そのためATTACH02紹介記事を編集部に提案し、製品をお借りしたのですが、なんと追加生産分も売り切れてしまったのだとか。
今後の予定を確認したところ、クラウドファンディングサイトの規約で、支援者への発送完了後から個人での販売が許可されているそう。
クラウドファンディング分に関しては10月から11月頃に発送完了するとの事。そのあとはTo Reach WorksのECサイトで販売予定との事なので、気になった方はチェックして頂けたらと思います。
文・画像:相京雅行