ダートや雨天時のライディングに苦手意識を持っているライダーは多いのではないでしょうか。
それは、タイヤがグリップを失いやすい状況だというのを自身で過去に体験していたり、雑誌やWEBなどで見聞きしていることもあるでしょう。
「どうか滑らないでくれ……」と祈ったところで、タイヤがグリップしてくれるわけではないので、「なぜ滑るのか」、「どうしてタイヤがグリップを失ってしまうのか?」という理由を知り、走るときに対策を取ることが重要です。
今回は転ばぬ先の杖として、路面状況によって注意すべきポイントを確認しましょう!
タイヤのグリップが抜けて滑って転倒する原因は?
・アスファルトだから滑らないはず
・雨のライディングは慣れているから大丈夫
滑って転倒するライダーの多くは、「過信」と「慢心」からくるもの。
常に一定の動きで滑り続ければ、ハンドルでカウンターを当ててスライドをコントロールすることも可能です。問題は予測できない不規則に『滑る』状況が怖さを生み、転倒につながってしまいます。
まずは、上記のことを念頭にバイクに乗ることが大切です。
ではより具体的に滑りやすい状況を見ていきましょう。
アスファルト舗装の盲点
多くのライダーが走行するアスファルトですが、その特徴や特性を知っていますか?
運転中は路面の状態をよく観察し、ライディングにどのような影響を及ぼすかを予測することが重要です。
浮き砂利・砂・コケなど、速度が出ている場合はかなり危険ですよね。
馴染み深い道路だからこそ、高度なライディングにチャレンジしたくなり、それと同時に油断が生まれやすいもの。同じアスファルト(コンクリート)のように見えても、小さな変化を見逃さないよう運転しなければいけません。
アスファルトも老化する!?
アスファルトやコンクリートは、舗装が新しいほど滑りやすい傾向にあり、反対に時間が経つと砂利や砂が吹き溜まりが発生しやすくなります。ツーリング中に路面の変化を感じた場合は、車体の傾きを抑えるなど予防措置をとることをお勧めします。
突然のアクシデント等、回避できるか・・・
アスファルトは多くの油分を含んでいるため、温度により変形しやすく、衝撃が加わり続けるとひび割れやわだち割れが生じやすい材質です。これにより、交通量の多い道路では定期的補修工事が行われています。
一方、交通量が少ない山岳(俗に「酷道」「険道」)と呼ばれる道路では、長期にわたり整備されていないケースがあるため、想定外の損壊が発生している恐れがあります。万一、このような場所で事故が発生した場合は救援に時間がかかることもあるので、山岳ツーリングは特に路面状況に注意して走りましょう。
悪条件の定番「湿潤状態」
路面が雨に濡れると滑りやすくなるのはもちろんご存知ですよね。これは「すべり摩擦係数」の著しい低下が原因ですので、濡れた路面を走る場合は、速度を落としてブレーキの区間距離や時間を適切に取ることが重要です。
また、「下り勾配」も注意しておきたい状況のひとつ。そもそも下り坂というだけで、フロントタイヤは滑りやすい状況です。そこに路面が濡れるという条件が重なることで、転倒リスクが一気に高まる傾向にあります。路面が湿っているかどうかだけでなく、勾配状況をよく確かめながら走行するようにしましょう。「テクニックでグリップを稼ぐ」という考え方は通用しないといえます。
マンホール・グレーチング&工事現場付近に注意
教習所の運転シミュレーターで体験する定番アクシデントと言えば「マンホール」。カーブ中や進路変更中にそれらを踏んだ場合、タイヤが滑り転倒する恐れがあります。極力避けて通るべきですが、ライディングに夢中になっていたり、景色に気を取られてしまっていたために避けきれなかった、といったことにならないよう注意しましょう。
工事現場付近の道路では、砂や砂利が路面上に浮いていることがあります。当然、路面状態は滑りやすくなっているので急な操作は厳禁です。また、工事内容により「鉄板」が敷かれていることがあるため、バイクで走行する場合は特に注意しなければなりません。
さらには 砂利・砂+鉄板+散水作業など悪条件が重なる場合もあります。そのような場所で事故が発生すると、交通の混乱だけでなく工事作業の妨げにもなるので、状況を鑑みて迂回するなど事故防止につながるような配慮も必要です。
高速道路の継ぎ目
高速道路を走行する場合、継ぎ目を避けることはできません。思わぬ帰庫の繋がらないよう、進路変更のタイミング等、走行方法を早期に考えておきましょう。
舗装されていない場所では「立ちゴケ」に注意
道の駅やドライブインなどの広い敷地では駐車場が舗装されていることが多いのですが、展望台やレストランなどでは、駐車スペースが必ずしも舗装されているとは限りません。 未舗装の場所での乗り降りは慎重に行い、くれぐれも「立ちゴケ」しないように気をつけましょう。
また、駐車スペースから道路までの地面に、砂利が浮いていたり敷かれている場合があります。
砂利の上はタイヤがグリップせず滑りやすいため、ツーリング後の疲労で注意散漫な状態の時や、洗車・メンテナンスなどを行うためにバイクを移動させる場合など、路面に対して意識が向いていない時に油断してバイクを倒さないよう、敷地内でもバランスなどの注意を払いましょう。
まとめ
タイヤの状態、路面の状態把握はライディングの基本と言っても過言ではありません。あらゆる状況下でも安心してライディングが楽しめるよう、路面コンディションの分析してみてはいかがでしょうか。