普段、歩いている時に救急車やパトカーのサイレンを聞いても、それほど反応しない。しかし、ライディング時に、遠くから「ウー!」という音が聞こえると、過剰なまでに反応し、身構えてしまうバイク乗りは多いのではないだろうか。明らかにヘルメットを被っているのに、もしかして被り忘れていないかなと再確認してしまうほどに反応してしまうバイク乗りも存在しているほどだ。なぜバイク乗りはサイレンの音に敏感になるのか、その原因と対策について考察してみたい。
まずは「バイク乗りが反応してしまう音」10選
バイク乗りが気になる音をライダーの声を交えて紹介しよう。一部、バイクには関係のない音が含まれるものの、基本的にバイク乗りは「音」に敏感である生き物なのだ。しかし、それにしても圧倒的に気に鳴る音、体が反応してしまう音が「パトカーのサイレン音」なのだ。
(1)パトカーのサイレン音
「完全に交通ルールを守っていても、ドキドキしてしまいます 48歳男性」
(2)目覚まし時計の音
「ツーリングに行く日の朝は、目覚ましを5個セットしています 35歳男性」
(3)バイクのマフラー音
「特に愛車のマフラー音は最高!街を歩く時もマフラー音が聞こえたらバイクを探しちゃう 21歳男性」
(4)携帯電話の緊急速報の音
「この音にびっくりしない人っているんですか? 31歳女性」
(5)雨音
「ツーリングの朝、起きた瞬間に聞こえたらすごくテンションが下がります 60歳男性」
(6)クラクションの音
「たまに操作ミスで、自分のバイクから出たクラクション音でもびっくりしちゃう 29歳女性」
(7)愛車から出る異音
「自分は旧車に乗っているので、とくに敏感になるんです 45歳男性」
(8)ヘルメットの風切り音
「インカムの音が聞こえづらくなるし、今度ヘルメットを変えようか悩んでます 53歳男性」
(9)寝入りばなに聞こえる蚊の羽音
「いつも気になるけど、ツーリング前夜だったらと思うとぞっとしますね 45歳男性」
(10)黒板をひっかいた時のキーキー音
「想像しただけで、体がぞわぞわしないですか? 18歳男性」
バイク乗りが特にサイレンの音に敏感な理由
ライダーにとってのサイレン音の特殊性
サイレンの音の種類にもよるが、バイク乗りはその音が聞こえると、サイレンの音の出所を探すことが多い。
バイクは自動車と違って防音性能が劣るため、外部の音をダイレクトに感じまう。サイレンの音は独特の緊張感や注意を促す効果があるため、音を感じやすいバイク乗りがサイレンを聞くとビクッと反応してしまうのは普通の反応と言える。
また、サイレン音が聞こえてきた場合は、周囲の状況を瞬時に判断し、適切な行動をとる必要に迫られる。サイレンの音は単なる音ではなく、ライダーの安全を左右する重要な情報であり、むしろ敏感であって当然なのだ。
何かしてしまったかなという不安感
交通ルールの順守をしっかり行っているバイク乗りも一人の人間。いつも完璧なライディングを行えているとは限らないのだ。例えば、あまりに気持ちよすぎてついつい速度を出しすぎてしまったなど、多くのバイク乗りが経験しているだろう。また、車に比べて小回りが利くバイクであれば、Uターンや車線変更などを行う機会も多い。標識を見落としてしまっていたかも、車線変更のタイミングが微妙だったかも、など不安を感じたタイミングで、急にパトカーのサイレンが聞こえれば、当然、心が揺さぶられてしまう。
また、バイクは他のノリモノと比べて、カスタムをすることも多い。意図した法令違反でなくとも、「構造変更の届け出の不備」、「ヘッドライトやテールランプの不点灯」、「公道走行可能なマフラーかどうかの確認不足」などにより違反をしてしまっている可能性と不安をぬぐい切れないライダーもいる。
ちゃんと法令順守をしているはずだけど、もしかしたら・・・万が一・・・という心配によって、バイク乗りたちはパトカーのサイレン音に反応してしまうこともある。
走行中の音圧の変化による音の聞こえにくさ
音圧の変化とは、周囲の音が大きくなったり小さくなったりする現象だ。例えば、トンネルに入ると音がこもり、音圧が強く感じられるし、大型車が近くを走ると風圧で音が変わることもある。このような状況下でも、ライダーはサイレン音の情報を、安全確保のため正確に把握する必要がある。
また、サイレン音が聞こえてきた際に、瞬時に速度を落として停止したり、車線変更や路肩に寄せるなどの回避行動をとらなければいけない場合もある。しかし、音圧の変化が大きい状況下では判断力が鈍り、適切な行動をとることが難しくなることもあるので注意が必要だ。
バイク乗りは普段よりも、身の安全を守るために、注意深く音を聞いておく必要があるのだ。
感覚過敏の種とバイク乗りの関係
感覚過敏とは何か
感覚過敏とは、特定の感覚刺激に対して過剰に反応してしまう状態を指し、日常生活で普通に聞こえる音に対して不快感や痛みを感じたり、集中力を乱したりする。感覚過敏は、生まれつき持っている場合もああるが、後天的に発症する場合もある。
聴覚過敏の特徴と症状
上記の感覚過敏とは別のもので、聴覚過敏というものもある。特定の音に対して過剰に反応する状態で、不快感、痛み、集中力の低下だけでなく、不安感や緊張感、イライラ感、怒りっぽくなるなど、精神的な症状が現れることも。
症状がひどくなると、騒音のある場所での作業が困難になったり、人混みの中を歩くのが辛くなったり、日常生活も難しくなったりすることがある。
バイク乗りによる感覚過敏・聴覚過敏のケーススタディ
バイク乗りは運転中、常に周囲の音に注意を払っているため、聴覚過敏になりやすい傾向がある。車のクラクションやサイレンの音、長時間の走行によるストレスの蓄積が原因だ。聴覚過敏は安全な運転を困難にするため、自覚症状に注意しよう。
安全と快適を確保するための対策
聴覚過敏への具体的な対策
聴覚過敏の原因がストレスの場合は、ストレスを軽減の方法を考えよう。睡眠不足が原因の場合は、十分な睡眠をとることを心がけよう。聴覚過敏の症状が強い場合は、すみやかに医師の診察を受け、原因の特定と治療を行おう。
バイク装備品の工夫
聴覚過敏対策として適切な装備品を選びましょう。耳栓やイヤーマフを使用することで、騒音を遮断することができる。さらに、振動対策も聴覚への負担を減らすことにつながる。こういった対策をすることで、ライダーは聴覚への負担を軽減できる。
防音対策とその効果
音量対策には様々な方法があるが、効果的な方法としては排気マフラーの音量がある。社外マフラーに交換している場合、音量が大きくて聴覚の負担になっていることがある。必要であれば、純正マフラーに戻すことも考えよう。さらに、防音材や防振材を車体に貼り付けて、聴覚への負担を軽減できる可能性もあある。
ライダーズマインドと音の認識
ライダーズハイと音の関係
ライダーズハイとは、バイクに乗っている際に感じる高揚感や爽快感のことだ。風を切る爽快感、スピード感、自由な走行を楽しむ喜びによって生まれる感覚だが、脳の興奮状態が高まることで、感覚過敏が起こりやすくなる可能性もある。
集中力と聴覚過敏の関係
聴覚過敏はライダーの精神的なストレスを増大させ、集中力を低下させる。集中力が低下していると交通状況の認識や対応が遅れ、危険を回避できないかもしれない。聴覚過敏の症状に注意し、集中力を維持するための対策を講じる必要がある。
心のケアとマインドセット
精神的なストレスや疲労によって、前述の過敏症状が悪化するかもしれない。心のケアを心がけ、できるだけストレスを軽減させよう。
また、音に対するネガティブな感情や不安感によって悪化する傾向があるため、音に対してポジティブな感情を持とう。例えば、サイレンの音を危険を知らせる大切な音として認識することで、音に対する不安感を軽減することができる。
まとめ
安全運転と快適なライディングを目指して
バイク乗りがサイレンの音に敏感になるのは、スピードへの不安感や安全確認など、さまざまな要因が絡んでいる。バイクは四輪車に比べてリスクを伴う乗り物であるため、周囲の音に敏感にならざるを得ないのだ。
サイレンの音は、バイク乗りにとって「気を引き締めるきっかけ」でもあり、同時に自分や仲間の安全を再確認するための大切な合図だ。次にサイレンが鳴った時、バイク乗りたちが敏感に反応するのは、彼らが安全意識の高いライダーである証拠だと考えよう。
しかし、まれにある聴覚過敏はライダーにとって深刻な問題となる可能性がある。その可能性がある場合は、適切な対策を講じることで、症状を軽減し、安全な運転と快適なライディングを楽しむことができる。特に耳栓やイヤーマフは有効な手段なので、気になる方は検討してみよう。
最後に、不必要なまでにパトカーのサイレン音に反応しないために、ライディング時の法令順守の徹底や、不適合なカスタムをしていないかどうかなど、普段から注意を怠らないように心がけよう。