エンジンはガソリンを燃焼させて発生する力で動きます。ガソリンは原油から作られる燃料で、ハイオク(ハイオクタンガソリン)、レギュラーガソリンの2種類に分けられ、それぞれに特有の特性があります。また、ガソリンスタンドでは、他に軽油(ディーゼル)などもあります。
この記事ではハイオクとレギュラーの違いや、その価格差、燃費への影響について詳しく解説します。また、万が一ガソリンを入れ間違えた際の対処についても触れていきます。
ハイオクとレギュラーガソリンの基礎知識
ハイオクとは
ガソリンには「オクタン価」という数字があります。ハイオクガソリンはオクタン価が高く、より高性能なエンジンに対応しています。オクタン価とは、ガソリンの燃焼時に発生するノッキングを起こしにくさを示す指標です。ノッキングとは、燃焼室内の混合気が異常燃焼を起こす現象で、エンジンの出力低下や損傷につながる可能性があります。
オクタン価が高いハイオクガソリンは、ノッキングを起こしにくい成分を多く含むため、エンジンが高回転で動いても燃焼がスムーズに進みます。ですので高性能エンジンやターボチャージャー搭載車など、高負荷で運転される車に適しているのです。
通常、ハイオクガソリンのオクタン価は95以上です。
レギュラーとは
レギュラーガソリンはオクタン価が低く、一般的なエンジンに使用されます。日常的な走行や低負荷での運転に適しており、ハイオクガソリンに比べて価格が安価です。ただし、ハイオクガソリンと比べてノッキングを起こしやすいため、ハイオクで紹介した高性能エンジンやターボチャージャー搭載車には適していません。
通常、レギュラーガソリンのオクタン価は90前後です。
ハイオクとレギュラーの価格差
価格差の要因
価格差は主に製造コストや添加物の違いから生じます。ハイオクガソリンはレギュラーガソリンよりも製造コストが高いのがネックです。ハイオクガソリンはノッキング防止剤などの添加剤も含まれ、品質管理が厳しく精製工程も複雑であるため、レギュラーガソリンよりも価格が高くなります。
燃費への影響
ハイオクの方が燃焼効率が高く、結果として燃費が良くなる場合がありますが、これはエンジンの種類や運転状況によって大きく異なります。一般的には、高性能エンジンやターボチャージャー搭載車などの、高負荷で運転されるバイクでは、ハイオクガソリンの方が燃費が向上する傾向があります。しかし、低負荷で運転するバイクやノッキングを起こしにくいエンジンでは、レギュラーガソリンと燃費に大きな差はみられない場合もあります。
年間コストの比較
年間を通して使用するガソリンの量とその価格差を計算してみると、年間10,000km走行、ハイオクガソリンとレギュラーガソリンの価格差が10円/Lの場合、年間のコスト差は約10,000円になります。価格はあくまでも目安です。また、メーカーからハイオクの指定がある場合はハイオクを入れましょう。
ガソリンを入れ間違えた場合の対処法
ハイオク車にレギュラーを入れてしまった場合
すぐに故障することはありませんが、レギュラーガソリンはハイオクガソリンに比べてノッキング(異常燃焼)が発生しやすいため高負荷運転は控えなければいけません。また、エンジンパワーや燃費が低下しますし、ノッキングが続くとエンジンの寿命を縮める可能性があります。レギュラーガソリンを抜いてハイオクガソリンに入れ替えるのが一番ですが、早めにハイオクを継ぎ足すなどの対応や、整備工場に相談しても良いでしょう。
レギュラー車にハイオクを入れてしまった場合
基本的には問題ありません。次回は正しいガソリンを給油しましょう。レギュラー車にハイオクガソリンを入れても、エンジンの性能に悪影響はありません。ただし、ハイオクガソリンは価格が高いため、経済的な損失は発生します。
ガソリン車に軽油(ディーゼル)を入れてしまった場合
ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンとは異なる燃焼方式を採用しており、ガソリンエンジンはディーゼルに対応していません。燃料の入れ替えが必要なので、すぐに整備工場に相談しましょう。電源をONにしないようにし、エンジンの始動もしてはいけません。もしエンジンを始動してしまった場合は、すぐにエンジンを切りましょう。修理は燃料配管の洗浄や、部品の交換が必要になることがあります。
ハイオクとレギュラーの見分け方
指定燃料の確認
バイクの取扱説明書に記載されている指定燃料を確認しましょう。またインターネットに適した燃料の種類が記載されている場合もあります。ハイオクガソリンとレギュラーガソリンのどちらが適しているのか、必ず確認するようにしましょう。
給油ノズルの色を確認する
給油ノズルの色も参考にして、正しい燃料を給油する習慣を身につけましょう。ハイオクガソリンの給油ノズルは通常、黄色または緑色で、レギュラーガソリンの給油ノズルは通常、黒色または赤色です。ただし、ガソリンスタンドによっては、色が異なる場合もあるため注意が必要です。
まとめ
今回はハイオクとレギュラーガソリンの違いや、入れ間違いの対処法について詳しく解説しました。ハイオクガソリンは、高性能エンジンなどの高負荷で運転される車に適していますが、価格が高く、燃費が必ずしも良いとは限りません。レギュラーガソリンは一般的なエンジンに使用され、価格が安価ですが、高性能エンジンには適していません。
ガソリンの種類を選ぶ際には、取扱説明書などを確認し、正しい燃料を給油するようにしましょう。また、給油ノズルの色も参考にして、間違えないように注意してください。