バイク乗りは、現在所有しているバイク以外にもう1台欲しいという衝動に駆られることがある。いや、場所や経済的な事情が許すなら、1台どころか、何台でも所有したいと考えるバイク乗りは非常に多いのだ。かっこいいから欲しいといったシンプルな理由から、ロングツーリング、林道、峠など、どこをどう走るかという目的別でも欲しくなる。
しかし、家族にその思いを伝えるとき、「欲しいから買う」とはなかなか言えないし、そのような直球ストレートな理由の稟議書に、決裁がおりることは少ない。そんなバイク乗りたちが、もう1台バイクを買うための稟議を通すために考えられた理由(言い訳)を考察してみたい。
言い訳のパターン
「用途が違う」という言い訳
バイク乗りが新しいバイクを買う時の定番の言い訳、それが「今持っているバイクとは用途が違うから」という言い訳だ。それでは、バイク乗りたちは、メイン用のバイクとは別に、いったいどんな用途で新しいバイクを購入する稟議を通そうとしているのか、いくつか例を挙げてみよう。
・通勤用
燃費など経済的な側面や、仕事のため感を強く押し出せるため、最も稟議が通りやすいとされている
・近所用
小回りが利く小排気量バイクであるため、比較的場所をとらず邪魔にならない点を押し出す
・部品取り用
バイクメンテのための部品を別々に買うより、丸ごと1台買った方が経済的と押しきれる人におススメ
・万が一用
地震や台風などの万が一の災害の時のためと押し出す。上手に不安を煽ることができるかがポイント
・オブジェ用
自宅オブジェなので家族全員にメリットがある点と、車両登録を行わず税金がかからない点を押し出す
バイクの種類ごとに特性が異なることを強調し、バイクの多様性を正当化することで、「1台じゃ足りない」ことを周囲や家族に理解してもらえるように努力しよう。単に欲しいから買うのではなく、結果的に経済的であったり、社会貢献につながる可能性あること、決して自分一人のためだけ(私利私欲)ではないことをプレゼンすることが重要だ。
「家族のため」という言い訳
この言い訳も定番と言えるのではないだろうか。自分のためにもう1台バイクを購入するのは心苦しいものがあるが、家族が乗るためという前提があれば、いっきにそのハードルは下がる。そのため、バイク乗りは、バイク好きなパートナーを選ぶことも多いと言われている。
万が一、バイクに乗らないパートナーであった場合は、タンデムでツーリングに連れて行ったり、バイクの魅力を伝える努力が必要となる。その場合、免許をとってもらうことも必要となるので、ある程度、時間とお金がかかることは覚悟しておこう。ただし、パートナーがバイクに深く興味を持ってしまった場合、カスタムにかかった費用や、カスタムパーツの価格などの相場観も併せて習得してしまうため、「バイクにかけている費用がばれてしまう」というデメリットが存在することも付け加えておきたい。
どうしてもパートナーがバイクに興味を持たなかった場合は、ターゲットを子供に移そう。子供にターゲットを移す場合は、まだ何色にも染まていない小さなころから「バイク=かっこいい・楽しい」というイメージを刷り込んでおくことが重要だ。ただし、このプランは、子供の年齢によっては10年以上の歳月を要するため、かなりの覚悟と根気を持ってやり遂げなければならない。しかしそれが成就した時に出来る子供とのツーリングは、どんなものにも代えがたい喜びとして、リターンされることになる。
準備が整ったら、パートナーや子供にバイクをプレゼントしてあげよう。その時、相手の趣味嗜好を尊重することも大切だ。しかし、ちゃっかり、自分が欲しかったバイクを家族のためにプレゼントをすることができたならば、そうなるように誘導できたならば、この長期計画は成就するのだ。
「資産運用」という言い訳
中古品や古くなると価値が下がる一般的なプロダクトと違い、バイクは、中古品であっても、年式が古いものであっても、人気があって希少性の高いバイクは、価値を大きく高める場合がある。発売から50年もたつようなバイクが、当時の価格の10~20倍の価値をつける場合もあるのだ。
そういったバイクを、価格が高騰する前に所有し、大切に扱っておけば、趣味と資産運用の2つが両立できる。そして、資産運用になるのであれば、その台数は多い方が良いに決まっているので、バイクを複数台購入するための立派な動機(言い訳)になるだろう。
しかし、どのバイクの価格が高騰するかはみずものであるし、バイクのコンディションを長期間にわたって良い状態で保つことも簡単ではない。そんなハードルを越えて、晴れて所有するバイクの価値が数年後に高まったとしても、それだけ大切にしてきた希少性の高いバイクを売るという、バイク乗りにとっては最も高いハードルを越えなくてはならない。結局、資産運用にならない、という可能性は大きい。
しかし、資産運用ができるかどうかが問題ではないのだ。資産運用を言い訳として、結果バイクを増車できれば、そのバイク乗りの勝利なのである。
複数台バイクを所有する正当性
通勤と長距離ツーリング用のバイク
現代社会では、仕事やプライベートなど、さまざまな場面でバイクを活用する人が増えている。通勤や買い物など、日常的な移動手段としてバイクを利用する人もいれば、週末には長距離ツーリングを楽しむ人もいる。
しかし、一台のバイクで全てのニーズを満たすことは難しい場合がある。例えば、通勤には軽快なスクーターが便利だが、長距離ツーリングには快適なツアラーバイクの方が適している。
そこで、通勤時は小回りの利くスクーターでストレスなく移動し、週末には快適なツアラーバイクで長距離ツーリングを楽しむ。このように、複数のバイクを所有していると、それぞれの場面で最適なバイクを選ぶことができるようになるので、複数台所有することは合理的と言える。
新しい趣味やアクティビティへの対応
バイクに乗ることで、新たな趣味やアクティビティの世界が広がある。例えば、オフロード走行やキャンプなど、これまで経験したことのないことに挑戦してみたくなるかもしれない。
オフロード走行を楽しむためには、本格的なオフロードバイクが欲しくなるかもしれない。オフロードバイクは、悪路走行に適した設計になっており、通常のバイクでは走行できないような場所でも走ることができる。また、キャンプツーリングを楽しむためには、荷物を積載できる容量の大きいバイクが相棒だととても心強いだろう。キャンプツーリング向きのバイクには、テントや寝袋などのキャンプ用品を積載するためのキャリアやパニアケースが装備されていることが多いので快適だ。
このように、新しい挑戦するさいに、それに適したバイクを選択するとより充実した楽しみ方ができるのでおすすめだ。
家族の絆
もともとバイクに乗り始めたきっかけが家族だったというバイク乗りは多い。身近にバイク乗りがいると、さらに深い喜びを感じることができる。
家族と一緒にツーリングに出かけたり、子供と一緒にバイクに乗ったりすることで、ソロや仲間たちとツーリングにいくのとはまた違った、貴重な思い出を作ることができる。家族で楽しめるように、タンデムシート付きのバイクを選んでツーリングに出かけたり、はたまた子供向けのバイクを購入するバイク乗りもいるだろう。
バイクという存在は、家族との絆を深め、楽しい時間を共有するツールにもなってくれるのだ。
別のバイクに乗りたくなる時
新モデルの魅力
バイクメーカーは、つねに新しいモデルを発表している。また、新モデルの登場はバイク愛好家にとって大きな話題となる。新モデルには、最新の技術が搭載されていたり、デザインが刷新されていたり、性能が向上していたりなど、魅力的な要素が満載だ。乗り換えたり、増車することで、新たな発見や喜びを感じることができるだろう。
自分へのご褒美
長年の勤労や目標達成など、自分自身へのご褒美として、新しいバイクを購入するバイク乗りも少なくあない。新しいバイクを購入することで、自分自身を励まし、さらなる目標に向かって進んでいくことができるだろう。
購入を検討する際のポイント
予算の設定
複数のバイクを所有する場合、それぞれのバイクに予算を割く必要がある。無理のない範囲で予算を設定し、それに基づいてバイクを選ぼう。予算に合わせて、中古車や新車、国産車や輸入車など、さまざまな選択肢の中から最適なバイクを選ぶことができる。
メンテナンスの重要性
複数のバイクを所有したら、それぞれのバイクを適切にメンテナンスすることも大切。定期的な点検やオイル交換など、適切なメンテナンスを行うことで、バイクの寿命を延ばし、安全に走行することができる。メンテナンス費用も考慮する必要がある。それぞれのバイクのメンテナンス費用を把握し、予算に合わせた計画を立てよう。また、しっかりメンテナンスしてあげることで愛車への愛着もより一層深まることだろう。
結論:バイク購入のための言い訳は、バイクに対する情熱の表れ
バイク乗りがもう1台バイクを買う時に使う言い訳は、自分の欲望を正当化しようとする努力の結晶だと言える。しかし、それは単なる言い訳ではなく、バイクに対する情熱の表れでもある。バイク乗りが考える理想のバイクライフのためには、1台のバイクでは実現できないケースが多く存在しているのである。複数のバイクを所有することで、さらに楽しいバイクライフを追求しようとするその情熱を、周囲は笑顔で見守ってあげよう。
だが、バイク乗りが何台バイクを所有したとしても、体は一つなのである。複数台持ちのバイク乗りの中には、もう何年も走らせていないバイク、車両登録すらしていないバイクをたくさん所有しているケースも見受けられる。それが自慢になっている場合すらある。そのようなバイク乗りには、「体は一つである」という事実を再度促すことで、そのバイク乗りの目を覚まさせてあげよう。
周囲の人間は、状況に応じてバイク乗りに適切なアドバイスをしてあげて欲しい。