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バブル期に開発、バブル崩壊後に発売。商機を逃した「スズキ SW-1」

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

バブル期に開発され、バブル崩壊後にされ発売た悲運の迷車「スズキ・SW-1」を紹介します。

SW-1は、1989年 東京モーターショーでコンセプトモデルとして登場しました。1950年代のスクーターを思わせるような、曲線を駆使したなめらかな車体。デザインは、1980年代後半に日産のBe-1やパオ、フィガロなどで一世を風靡した坂井直樹氏が率いるWater Design社が担当しました。新しい時代のコミューターとして注目されていたのですが…

「アレ」をイメージさせるデザインとアイボリーの車体

アイボリーのカラーリングと陶器のような質感は、バイクっぽくないですよね。
車名のエンブレムもこれまでにないようなポップな感じ。

バブル景気に乗ってノリで発売

ここでキーワードとなるのが、SW-1が発表された1989年という年代。この年の12月、日経平均株価が3万8,915円の史上最高値を記録しました。時はバブル期真っ盛り。ボディコン着てお立ち台で踊って「フォワ、フォワ」とか叫んでいた時代です。

バブル期のイメージ

バイク業界はカワサキ・ゼファー400の登場により、たった一台でレーサーレプリカブームを粉砕。「金満ニッポン」などという言葉に踊らされて、世の中全体が浮かれていたので、ホンダ、ヤマハの後塵を拝し続けていたスズキが「SW-1で次なるムーブメントを起こしてやろう」と考えても不思議ではありません。

コンセプトモデルは、お披露目で終わることが多いでのですが、「ユーロビートが流行ってるなら、ヨーロッパっぽいSW-1も売れるんでないかい?」というノリで、発表からから3年後の1992年に発売されました。

メーカー名:スズキ
車名:SW1
重量:168kg
エンジン:空冷SOHC4ストローク単気筒
排気量: 249cc
最高出力: 20PS/8,000rpm

トレンドに敏感なお洒落なヤングがターゲット

SW-1のターゲットはトレンドにアンテナを張っているようなお洒落な人たち。「好きなものに囲まれていたい」というキャッチコピーが与えられ、バイクを洋服やアクセサリーと同様に捉える潜在需要を掘り起こそうとしました。

SW-1に乗るならバイクのロゴ入りジャンパーは論外、当時流行した渋カジ(渋谷発祥のアメリカンカジュアルの略称)や、キレカジ(きれいめカジュアルの略称)でキメて小粋に乗るのが、ナウなヤングにはトレンディでシャレオツで。大事な服が汚れないようにエンジンもフルカバー。「これはイケる!」と意気込んでいたのですが……

バブル崩壊のイメージ

1992年は日経平均が9週連続下落する「バブル崩壊の始まり」と呼ばれた年です。凝りに凝って作られたSW-1の販売希望価格は68万8,000円。当時のバイクの中でも高価格と言われた、ホンダ・NSR250R SE(1991年モデル)の新車価格が64万9,000円と比較しても、とびぬけて高価だったことがわかるでしょう。パイクカーとして人気を博したBe-1のように、バイクでも同じ需要を狙った個性の塊だったSW-1ですが市場受けはしませんでした。

SW-1にライバルはいない

バイクに速さではなく、ファッション性が求められたビッグスクーターブームが押し寄せるのは、それから約20年後のこと。当時の250ccクラスのスクーターはホンダの「フュージョン」か、「スペーシー250フリーウェイ」(共に1986年発売)くらいなもの。フルカバードのカウルにマニュアルミッションを搭載したSW-1のライバルと呼べるものではありません。競い合う相手すらいないSW-1は一人ぼっちの存在でした。

スペーシー250フリーウェイ

メーカー名:ホンダ
車名:スペーシー250フリーウェイ
重量:118kg
エンジン:水冷4サイクル単気筒
排気量: 244cc
最高出力: 20PS/7,500rpm

バイクを趣味としている生粋のライダーならいざ知らず、ファッションアイテムとしては高すぎました。ウワサによると1年ほどの販売期間の生産台数は1,440台。SW-1が置かれた背景や価格を考えると「売れた」と言うべきか「売れなかった」と言うべきか、判断に迷う結果を残しています。

クルマでも同じ運命を辿る車両が登場…

SW-1で奇抜なデザインに懲りたはずですが、スズキはその後、クルマでも同様の運命を辿った超個性的な車両が登場します。

1993年の東京モーターショーや欧州の各モーターショーに「X-90」を参考出品車として出展。評判が良かったので、実際に1995年10月に発売しました。初代エスクードの2ドアモデルをベースにした2シーターの副変速機付き4WDで、ラダーフレームという本格仕様。さらにハードトップを外せばオープンカーとして楽しめます。至れり尽くせりというか、詰め込みすぎたというか。3年2か月も販売されていたにもかかわらず、国内販売台総数1,348台という結果でした。

唯一無二のSW-1を買い逃すな!

車名のSW-1は、「”S”uzukiと”W”aterdesignの”1″号機」という意味でしたが、当然のことながら2号機の登場はナシ。長らくバイク好きからも忘れ去られ、異空間をさまよう存在でしたが、近年は唯一無二のスタイルが見直され、中古車市場の価格が高騰。新車価格を超えるプライスを付けています。この機会を曲がすと二度と手に入らないかもしれません。時代に翻弄されたSW-1。欲しい人はぜひ入手してください。

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