バイクは自動車に比べて小型軽量で軽快な走りが魅力ですが、燃費性能も自動車より良好で経済性も良い乗り物です。でも、どれくらいの燃費だと「良い」とされるのか、意外と分かりにくいかもしれません。排気量や走行スタイルによっても変わるため、一概に比較するのは難しいですが、今、特に燃費が良いとされるバイクも存在します。
今回はバイクの燃費が「良い」とされている範囲や燃費の良いバイクを解説します。
バイクの燃費は排気量に大きく左右される
燃費とはバイクや自動車が一定の燃料の量でどのぐらい走行できるかを指すスペックの一つで、バイクを購入する際にも注視するポイントです。燃費は国内では1Lの燃料で何kmの距離を走行できるかを示しており、[km/L]で表記されます。
電動バイクを除くバイクは基本的にガソリンを燃料とするガソリンエンジン車であり、エンジンの排気量が増加するとともにエンジンの出力やトルクが上昇して高性能なバイクになります。排気量が上がれば、パワーアップする反面燃料の消費量も増加するため、エンジンが大きくなれば燃費は低下します。
また排気量が増加するとエンジン自体の重量が増加しますが、それとともにバイク自体も大型化する傾向があるため全体重量の重さも燃費を低下させる原因です。そのため小型のバイクはスペックこそ低めですが、排気量が小さく重量も軽量なため燃費は良好であり、経済性の良いバイクとなります。
なおバイクのスペックが記載されているカタログや諸元表にも燃費が表記されますが、この数値はカタログ燃費とも言われておりある一定の条件で計測された燃費となります。実際にバイクで走行した場合には道路状況や運転の状態で走行条件がさまざま変化するため、実際の燃費はカタログ燃費通りとはならず多少低下する傾向があります。
排気量ごとの平均的な燃費
バイクは排気量や車種によって燃費にも違いがありますが、バイクはある程度排気量によってカテゴリーがあり大まかな平均燃費は以下の通りです。
排気量 | 平均的なカタログ燃費(WLTCモード) |
---|---|
50cc以下 | 60km/L |
50cc以上〜125cc未満 | 55km/L |
125cc以上〜250cc未満 | 35km/L |
250cc以上〜400cc未満 | 26km/L |
750cc以上 | 22km/L |
1,000cc以上(リッターバイク) | 18km/L |
バイクの平均燃費は技術向上や環境対策によって年々向上しており、この平均的な燃費は近年のデータをもとにしています。この平均燃費を上回るバイクの場合、一般的に「燃費が良いモデル」と呼んで差し支えないでしょう。
小型のバイクである50cc以下(原付一種)や125ccまでのバイクはかなり良好な燃費性能を持っており、バイク本体の価格の安さに加えて燃料代の節約もできるコストパフォーマンスの高いカテゴリーです。125ccを超えると一気に平均的なカタログ燃費は35km/Lとなりますが、排気量200cc以下のバイクでも40km/L以上を誇るモデルもあります。
400ccまでのクラスではツーリング系のバイクとスポーツ系のバイクで燃費性能はまちまちで、出力やトルクを優先したスポーツ系のバイクが20km/L程度になる一方で、ツーリング系バイクは25km/L〜30km/Lを超えるバイクもあります。
750cc超えのバイクやリッターバイクと呼ばれる1,000cc超えのクラスではおおよそ20km/L前後の燃費となっており、燃費と引き換えに高いスペックやツーリング性能を持っています。
市販されているバイクの中でもっとも燃費が良いのはスーパーカブ
バイクの燃費は排気量や車種によってさまざまな数値がありますが、数あるバイクの中で最も燃費が良いバイクはホンダ スーパーカブです。スーパーカブはホンダが1958年から現在までラインナップしているバイクのシリーズで、誕生当時から現行モデルまで基本的なデザインが変わっていないベストセラーバイクの一つです。スーパーカブにはいくつかの排気量ラインナップがありますが、その中で最も燃費が良いのがスーパーカブ50という50ccクラスの原付モデルです。
スーパーカブ50のカタログ燃費は定地燃費値で驚異の105km/Lを記録しており、国産バイクでは唯一100km/L超えの燃費性能を持つバイクとなります。また近年導入された燃費計測法のWLTCモードでも69.4km/Lとなっており、他のバイクを寄せ付けないスペックを持っています。
スーパーカブはトップクラスの燃費性能を誕生から50年以上に渡って維持し続けており、度重なるモデルチェンジや環境対策によって燃費にも影響を受けたにもかかわらず技術によって105km/Lという数値を維持し続けています。
50ccの燃費の数値は「定地燃費値」であることに注意が必要
スーパーカブ50を始めとして最近のバイクのスペック表には2種類の燃費表示がありますが、定地燃費値とWLTCモードに分かれています。定地燃費値は昔からバイクの燃費計測法に採用されてきた方式で、平坦な直線の舗装路を時速60km(50cc以下では時速30km)で走行した時の燃費性能です。
一方でWLTCモードは世界的な統一基準に基づいた燃費計測法であり、発進や加速、停止などを組み合わせた複雑な走行パターンによる燃費性能となります。
単純な定地燃費値では実際の複雑な道路状況とは走行状態が違うため、より実際の燃費値に近い値としてWLTCモードも記載されるようになりました。そのため、燃費の数値はWLTCモードのほうが低めとなりますが、走行時の実燃費は走り方によってWLTCモードとも差は出てきます。
どちらの燃費モードも国産バイクのカタログには併記されるのが標準的になりましたので、燃費性能を比較するときにはそれぞれ比較すると良いでしょう。
まとめ
バイクの燃費性能は維持費を左右する重要なスペックの一つであり、バイクを選ぶ際の決め手にもなります。特に小型のバイクは圧倒的に高い燃費性能を持つ車種もあり、経済性の高い重要な移動手段となります。バイクの購入を検討する際にはカタログに記載されている燃費に目を向けて見るとよいでしょう。