エンジンオイル交換はバイクの基本的なメンテナンスですが、その「ついで」にエンジン内部をきれいにする方法があることをご存じですか? その方法のひとつが「フラッシング」です。フラッシングを行うことで、新しいオイルをスムーズに循環させることができます。
このフラッシングについて、さまざまな疑問や不安を持つ方もいるのではないでしょうか。そこで本記事ではフラッシングのやりかたや効果についてご紹介します。
フラッシングとは
フラッシングはエンジン内部の清浄を行うメンテナンスの一つで、エンジンオイルなどでは取り切れない汚れを取るためのものです。エンジンの内部にはエンジンオイルが循環しており、エンジンオイルには、潤滑や防錆のほか、内部洗浄の役割もあります。
この中で洗浄効果はエンジン内部に溜まったスラッジや金属粉を外部に排出させる効果を持ち、エンジンオイルに溶け込ませた上でオイルパン、およびエンジンオイルフィルターで除去します。
エンジンオイルはバイクを走らせるほどに劣化が進むため洗浄効果も低下し、その他の効果回復も合わせて定期的なエンジンオイル交換が必要となります。
しかしエンジンオイルの洗浄効果だけでは内部汚れが完全には除去できないため、さらなる効果を見込んだメンテナンスがフラッシングです。
フラッシングによって得られるメリット
フラッシングは長年エンジン内部に堆積したスラッジ、金属粉などの汚れを徹底的に洗浄することを目指しており、フラッシングの方法によって得られる効果も変わります。
フラッシングの基本的な方法としては、エンジンオイル交換のタイミングでフラッシング専用の薬剤や洗浄液をエンジン内部に流すことで、汚れを積極的に除去します。
エンジン内部の汚れが堆積するとエンジン性能の低下や燃費の低下、ひどいときにはエンジン内部部品の故障にも繋がります。
エンジンオイル交換を定期的に行っていれば致命的な故障は起こりにくいですが、オイルで取り切れなかった汚れは少しずつ堆積するので、それを定期的にフラッシングで除去することでエンジン性能を100%発揮できるようになります。
エンジンオイル交換ごとにフラッシングを行う必要はありませんが、数年ごとに行うと効果的です。
フラッシングの手順
フラッシングには大きく分けて次の2つの方法があり、簡易的なものから徹底的な洗浄ができるものまであります。
フラッシング方法 | フラッシング効果 | |
簡易フラッシング | フラッシング剤の添加 | 小 |
オイルフラッシング | フラッシングオイルの循環 | 中 |
フラッシングはバイクの定期メンテナンス時に行うものであり、エンジンオイル交換を行うショップや修理工場にフラッシングメニューがあります。
フラッシングの方法によって手順には違いがあり、すぐに作業の終わるものから数十分を要するものまであります。
簡易フラッシング
簡易フラッシングは、抜く前のエンジンオイルに専用のオイル添加剤を加える方法で、フラッシング効果を持つ添加剤によって少しずつエンジン内の汚れを落とします。
エンジンをしばらくアイドリング状態にしておくと、フラッシング剤が内部を循環することで、汚れを吸着、分解してくれます。
作業としては交換する前のエンジンオイルに添加剤を加えるだけなので非常に簡単であり、DIYで作業している人も少なくありません。
オイルフラッシング
オイルフラッシングはエンジン内部にフラッシングのためのオイルを入れる方法で、基本的には使い捨てのエンジンオイルを使用します。
オイルフラッシングでは古いエンジンオイルを抜いた後に新品のフラッシングオイルを入れ、その後に数分間エンジンをアイドリングします。
その間にフラッシングオイルが汚れを落としてくれるので、即効性があり費用も安価な方法です。
その後フラッシングオイルを抜いた上でエンジンオイルフィルターも交換し、さらに新品のエンジンオイルを注入して作業完了となります。
作業時間としてはエンジンオイル交換を2度するような形になるので、通常のオイル交換時間より十分程度長くなります。
必ずしも全てのバイクにフラッシングが必要とは限らない
フラッシングはエンジン内部が洗浄できるので良い面が目立ちますが、古いバイクには悪影響を与えることもあるので注意が必要です。
強力なフラッシングは汚れをオイルや洗浄液に溶かして流す方法ですが、もし堆積している汚れが多いときには浮かんだ汚れがオイル通路などを塞いでしまう可能性があります。
またフラッシングによってエンジン各所のシーリングに影響を及ぼし、劣化したシーリングからオイルが漏れる原因にもなります。
これらの問題はエンジンの状態が悪化した古いバイクに起こりやすいので、年式が古いバイクや走行距離の多いバイクに対しては悪影響の少ない簡易フラッシングが適しています。
まとめ
バイクのエンジンフラッシングはエンジンオイルで除去しきれなかった汚れを取り除くメンテナンスで、オイルメンテナンスが不足していたバイクに行うことでエンジンの調子を万全にする効果があります。
一方で、エンジンオイルを定期的に交換していればフラッシングの必要はないケースも。バイクの状態に合わせて決めるとよいでしょう。