近年、「アドベンチャー」と呼ばれるジャンルが人気です。オンロードでもオフロードでも走る場所を選ばず、まるで冒険に出られるようなイメージから、そう呼ばれています。
オンとオフの機能を持つバイクは1980年代から存在しており、「デュアルパーパス」と呼ばれていましたが、当時はハンパ者扱いされ、鳴かず飛ばずでした。
そんな時代に登場したアドベンチャーモデル「カワサキ・KLE アネーロ」を紹介します。
メーカー名:カワサキ
車名:KLE アネーロ
重量:164 kg
エンジン:水冷4ストロークDOHC直列2気筒
排気量: 248cc
最高出力:35ps/11000rpm
アドベンチャーの祖先と言える「デュアルパーパス」
日本におけるアドベンチャーは、1987年11月に発売されたホンダ・AX-1や、1988年1月に発売されたヤマハ・TDR250が元祖です。AX-1が4ストローク、TDR250は2ストロークとエンジン特性が異なっており、そこそこ話題になったものの、「デュアルパーパス」というジャンルは、なかなか定着しませんでした。
メーカー名:ホンダ
車名:AX-1
重量:124㎏
エンジン:水冷4ストローク4バルブDOHC単気筒
排気量: 248cc
最高出力:29ps/8,500rpm
メーカー名:ヤマハ
車名:TDR250
重量:134㎏(乾燥重量)
エンジン:空冷2サイクル2気筒
排気量: 249cc
最高出力:45ps/9500rpm
苦戦を強いられるHYに殴り込み
「俺ならその壁を越えて見せるぜ!」と言わんばかりに、1993年にカワサキは「KLE アネーロ」を発売しました。
ビッグオフローダーKLR650の後継機種であるオールラウンダー「TENGAI(1989年)」や、「KLE400(1991年)」を販売していたので、アネーロが発売されたことは既定路線と言えます。ホンダやヤマハの不振に目もくれず発売するところが「漢・カワサキ」らしいですね。
ちなみに1993年は、ツーリング中に必ずと言ってよいほど立ち寄る「道の駅」が、正式に登録されました。「休憩機能」、「情報発信機能」、「地域の連携機能」の3つの機能を持つ道の駅は、今やツーリングやドライブにはなくてはならない存在です。
2022年(令和4年)8月5日時点の全国登録数は1,198カ所。道の駅が整備される前は、ガソリンスタンドでトイレを借りたり、自販機やゲーム機で構成されるベンダーショップ、商店の前に置かれたベンチなどで休憩したものです。
謎多きバイク「アネーロ」
“ANHELO”は、スペイン語で憧れという意味で、車体のデザインはオーストラリアに生息する飛べない鳥「エミュー」をイメージしているそうです。さらにカタログに描かれたイラストはインカ帝国の石板のよう。もう、何を表現したいのか支離滅裂です。
私をスキーに連れてって
昔のスキーウェアのようなカラーリングの他に、シンプルなダークグリーンも用意されていました。
パワーユニットはGPZ250Rから改良されてきたZZ-R250の水冷4ストローク2気筒エンジンを流用しています。ダブルクレードルフレームと相まって乾燥車重はロードバイク並みの146㎏。
エキゾーストパイプがエンジンの下を通るレイアウトのため、最低地上高もそれほど高くないので、本格的なダート走行は難しいかも知れません。
逆に言えば、それ以外はすべてOK。大型のエンジンガードやナックルガードが装備され、たっぷりと荷物が積めるキャリアも装備。街乗りからツーリング、ちょっとした未舗装にも対応してくれるオールラウンダーです。
エミューのようなバイクに乗ってみないか?
当時はアネーロの良さが評価されず、モデルチェンジされることなく姿を消しましたが、2017年に発売された「ヴェルサス250」の人気を考えると、「早すぎたデビュー」であったことが分かります。
新車販売台数が少なく、中古車を見つけるのも難しいですが、「エミューのようなバイクに乗ってみたい」と言う方は、頑張って見つけてください。ワイルドだぜ~!