2023年春に「新型エリミネーターが発表される」というウワサが流れています。最後のエリミネーターが生産終了になってから10年以上の歳月が過ぎているため、車名を聞いてもピンとこない人は多いでしょう。元エリミネーター750のオーナーが、愛をこめてエリミネーターシリーズをぶった斬りました。
筋骨隆々なマッチョバイク
1985年に、最初のエリミネーターとなる「エリミネーター900/750」が発売されました。当時最速だったGPZ系の水冷4サイクル4気筒エンジンを搭載し、地を這うように低いスタイルは、それまでのアメリカンとまったくの別物。筋骨隆々とした見た目からヤマハのV-MAXとともに「マッチョバイク」と呼ばれました。
その姿は「漢らしい」「カッコイイ」の一言に尽きます。たぶん人間だったら、「抱かれたい男ナンバーワン」に選ばれていたでしょう。実際に付き合った私に言わせるとエリミネーター900/750は、「カッコだけで中身のない奴」だったのです。
交差点すら曲がれない
地を這うような低車高はバンク角がなく、交差点を曲がるだけでもステップを擦りそう。峠道のタイトなコーナーなど曲がれそうもない直線番長です。
街から出られない
タンク容量はわずか11リットル。そのくせ燃費は平均12㎞/ℓと地球にやさしくないレベルです……。100kmも走らないうちに燃料警告灯が点灯するので、安心して郊外に出かけることができません。
荷物が積めない
燃料タンク上部に弁当箱のような突起があるので、タンクバックが使用できず、リアシートの面積は折り紙程度なので、荷物を積むこともサイドバッグを使うこともできません。
とにかく重い
エリミネーター900/750共に、総重量238㎏と言う巨漢。バイクを軽量にするためにパーツは樹脂を使うのが一般的ですが、エリミネーター900/750のフロントフェンダーは「初心者マークを貼れ」と言わんばかりに、スチール製です。駆動方式がシャフトドライブであり、取り回しも一苦労。ライダーにもマッチョな体が求められます。
まさに見た目重視のカッコマン。それでも惚れた弱みで10年も付き合いました。
エリミネーターは大家族
エリミネーターには兄弟が多く、輸出車としてエリミネーター600/500や、ネーミングは異なりますが、ZL1000というリッターバイクも存在していました。国内向けのミドルクラスもバリエーション豊富。その系図を整理しました。
1986年にエリミネーター400/250が発売
1986年にエリミネーター400、翌年にエリミネーター250が発売されました。デザインはエリミネーター900/750を踏襲していすが、扱いやすさを考慮してチェーンドライブが採用されています。アメリカンとは異なるロー&ワイドなスタイルと、スポーツモデルのエンジン (400ccはGPZ400R、250ccはGPX250R) を流用した鋭い走りで一躍人気になりました。
思わぬ売り上げに気をよくしたカワサキは、キンキラにメッキを施した「エリミネーター400パーソナルエディション」を発売。通常よりも4万円高いものの、それ以上の仕上がりで一部に人気でした。
ラグジュアリーなXL、ワイルドなSEに変身
1987年のマイナーチェンジでカラーリングを変更。1988年にはメッキを多用してアメリカンに寄せた「エリミネーター400/250LX」と、ビキニカウルを纏い、全身真っ黒にキメた「エリミネーター400/250SE」に派生します。このあたりがエリミネーター人気の全盛期。その後、他社からも似たようなバイクが発売され、一旦カタログから消えていきました。
ぶっ飛んだカラーリングで再登場!
そこで終わらないのがエリミネーターの底力。車名を日本語に訳すと「排除する」という意味になるツワモノです。1993年に突如復活。一パールキャンディイエロー×メタリックブルーバイオレットというドクトカゲのような奇抜なカラーリングで登場し、度肝を抜かれました。悪目立ちしたものの、かつてのような人気は得られず、いつの間にか姿を消していいました。
もはやゾンビ!
もはやこれまでかと思われましたが、1997年にエリミネーター125と、ガラリと方向性を変えてV型2気筒エンジンを搭載した「エリミネーター250V」を発売。しかし、いずれも排ガス規制をクリアできず、2007年頃に生産が終了されました。
エリミネーター伝説再び!
2023年春、またしてもエリミネーターが復活するというニュースをキャッチしました。現在のところ、すべて謎に包まれていますが、これまでのカワサキの動きを見ると、過去に存在したバイクがリメイクされても不思議ではありません。どんなバイクが登場するのか、期待が高まります。