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♪誰も知らない、知られてもいない~「ホンダ・ブロス プロダクト1&2」

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

レーサーレプリカが全盛だった1980年代後半、ツーリングライダーを中心に、普通のバイクを求める声が広がっていました。「最新技術を搭載した気軽に乗れるバイクが欲しい」という要望を受けて、1988年にホンダが発売したのが「ブロス」です。ホンダが得意とするVツインエンジンを搭載されるなど、CBシリーズと差別化が図られています。当時を知る人以外には全く知られてない、いや当時のライダーも存在を知らない隠れキャラ「ブロスシリーズ」を紹介します。

メーカー名:ホンダ
車名:ブロス プロダクト1(プロダクト2)
重量:181 kg(180 kg)
エンジン:水冷4サイクルV型2気筒
排気量: 647cc(398cc)
最高出力:55ps/7,500rpm(37ps/8,500rpm)

目次

先端技術を結集した普通のバイク

1987年ごろ、自動二輪市場は年間12〜13万台と安定しており、各社から様々なタイプのバイクが発売されていました。ホンダは1988年にカテゴリーにとらわれないスポーティな運動性能を楽しめるバイク「ブロス」をリリースしました。

瀬戸大橋開通

この年の3月に瀬戸大橋が全線開通したことにより、初めて四国と本州が陸路で結ばれました。「世界一長い鉄道道路併用橋」で、バイクも走行可能。走りのフィールドが広がったことで、肩肘張らずにツーリングできるバイクが求められていました。ブロスはユーザーニーズに合わせて排気量650ccと400ccの2機種を用意。それぞれ「プロダクト1」、「プロダクト2」など、分かりにくいネーミングが付けられています。

ホンダイズムの塊!Vツインエンジンを搭載

パワーユニットは、新設計の水冷4サイクル52度3バルブVツインエンジンを搭載。プロダクト1は余裕あるトルク出力を生かした豪快な加速力、プロダクト2は伸びの良い出力特性を生かしたビートフィーリングを楽しめる設計としています。

パッとしない感じのNV400
もっとパッとしないNV400カスタム

このパワーユニットは「NV400」と「NV400カスタム(共に1983年発売)」に搭載されており、「狭角Vツインでもクランクを位相にすれば90度Vツインと同じく、理論上は一次振動を0にできパワーを稼げる」という、ホンダ・テクノロジーの塊のようなエンジンでした。しかし、NV400カスタムは「アメリカンバイクなのに静かでビュンビュン回るエンジンはらしくない」と不評。販売台数は伸び悩む結果となりました。

メーカー名:ホンダ
車名:NV400(NV400カスタム)
重量:177kg(179kg)
エンジン:水冷4サイクルV型2気筒
排気量: 399cc
最高出力:44ps/9,500rpm(43ps/9,500rpm)

ライバルが存在しない孤高の存在

孤高のビッグシングル

各メーカーを見渡してもライバルと言える車両はほとんどありません。強引に引き出すとすれば、同じ排気量で展開していたヤマハ・SRX400/600 (1985年発売)くらいでしょうか。しかしSRXは単気筒なので、ちょっと違う気もしますがね。つまりは「どこも手を出さない存在」だったのではないでしょうか?

メーカー名:ヤマハ
車名:SRX600
重量:149kg
エンジン:空冷4サイクルSOHC単気筒
排気量: 608cc
最高出力:42ps/6,500rpm

次世代のバイクを築き上げる要素がたっぷりのブロスでしたが、目標年間販売台数はプロダクト1:1,000台、プロダクト2:4,000台と弱気。実際に売れた台数はさらに少なく、ホンダとしても実験的な試みだったのでしょう。1990年のマイナーチェンジもむなしく、話題に上がることなく発売から2年ほどで姿を消しました。

スペックにはない「味」が評価されなかった

レーサーレプリカVFR400RのネイキッドバージョンVFR400Zをひたすらマイルドにしたようなデザイン。
今でも人気のVFR750R。TT-F1クラスに参戦するライダーはもちろん、ロードゴーイングレーサーとして憧れの車両でもあった。RC30という型式で呼ばれることのほうが多いので、そちらのほうがピンとくるかもしれない。

ブロス敗因の原因の一つとして、最新の装備を備えながら、出力が低いことが挙げられます。
「ツインスパー」とも呼ばれるアルミツインチューブフレームや、VFR750Rと同じセンターロック方式のスイングアーム、ジュラルミン鍛造のセパレートハンドルなど、レーサーレプリカ並みの装備ですが、最高出力はプロダクト1(650cc)で55馬力、プロダクト2(400cc)は37馬力。のちに発売されたカワサキ・ゼファー400の46馬力と比べても非力さが目立ちます。

スペックやカテゴリーにとらわれない「バイクの楽しさとは何か?」をコンセプトに設計されたブロスでしたが、当時はカタログスペックでバイクの優劣が決められた時代であり、残念ながら、一部のライダーを除いて評価されることはありませんでした。

そして最終章へ

やはりパッとしなかったVRXロードスター

メーカー名:ホンダ
車名:VRXロードスター
重量:205kg
エンジン:空冷4サイクルSOHC単気筒
排気量: 398cc
最高出力:33ps/7,500rpm

ホンダは、この優れたエンジンをあきらめたくなかったようで、その後もVRX400ロードスター(1995年発売)に受け継ぎました。結果は「ブロスと変わらない」と言ったところでしょうか。

1988年に登場したスティード。1990年代にアメリカンブームが起こるが、その火付け役がこの車両だった。

実はアメリカンのスティードにもこのエンジンは搭載されていましたが、現在では同型のエンジンを搭載する車両は消滅しています。もしも試乗する機会があれば、ホンダイズムが詰まったエンジンフィーリングを楽しんでみてください。

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