厳しくなる排ガス騒音規制から、近年の車両のほとんどが水冷エンジンになっている。理由はシリンダーの温度管理が綿密にできることから理想の燃焼に近づけられ、さらにはエンジンを取り巻くウォータージャケットによって防音効果も得られるからだ。
規制をクリアするには水冷エンジンの方がたやすいが、その中であえて空冷エンジンを採用しているのがホンダのGB350だ。
空冷OHC348ccエンジンには、ロングストロークで大きなフライホイールを採用していることで、鼓動感と低速での粘り強さを実現。クラシカルなスタイルと相待って、昔のバイクのような心地よいフィーリングを楽しむことができる。
GB350は2021年3月に登場すると多くのユーザーの心をとらえ、程なく人気モデルとなった。
ラインナップされるのは、クラシカルな雰囲気が強いGB350とテール周りにスポーティなフェンダーを採用したGB350Sの2モデル。
今回シートカスタムを実施したキヨヒコさんが所有しているのはGB350だ。
車両の雰囲気にマッチした個性的なシートがほしかった
GB350のノーマルシートは上の写真のとおり足着きや加速時のホールド性能を考慮した形状となっている。機能的には優れているが、キヨヒコさんにはデザイン的に気になるところがあったのだ。
「純正シートはフロントとリヤの中間に段差があるのと、全体的にのっぺりした感じが自分の好みではありませんでした。
コンプリートシート(アフターパーツメーカーが製作したカスタムシート)も購入したのですが純正デザインだった為、もっと個性的なシートを探していたんです。
そんな時に他のGB乗りの方がSNSにアップしていた、バイクシート神戸で製作したというシートが目に止まったのです」
早速バイクシート神戸に連絡を入れカスタムを依頼。その際、当初はコンプリートシートをベースに加工する予定だったという。
「純正シートはそのまま残して、コンプリートシートを加工しようと思ったんです。すると、純正シートをベースに加工した方が綺麗に仕上がるとのアドバイスを受け、そちらを預けてフラットシート加工とタックロール仕上げにしてもらうことになりました」
こだわったポイント
GB350のクラシカルな雰囲気に合うよう、シートの前半部と後半部との段差を無くし直線的なスタイルになるフラット加工が施されている。
タックロールはウェルダー加工(溶着加工)では無く、あえてミシン縫いのタックロールとすることでヨーロピアンスタイルを実現。
同時にシートのクッション性をアップさせるため通常5mmのウレタン封入のところを、倍の厚さの10mmに変更。タックロールのボリューム感を出しつつ、座り心地も改善している。
シートのカラーはGB350の黒いボディカラーに合わせ、シートの表皮には艶なしのブラックをチョイス。高級感と車体との統一感がアップしている。
この出来栄えにオーナーのキヨヒコさんは
「純正シートをベースにしたので車体とのマッチングもばっちり。
生地の縫い合わせからタックロールまで全てミシン縫いなので高級感がありますね」と、その仕上がりに大満足!
製作者が語るシートの特徴
今回は、以前弊社で製作したシートをSNSで見て気に入って頂いたお客様からのご依頼でした。
そのためデザインや仕様についてはほぼ決まっていました。
シート表皮に使用したブラックの生地は艶ありと艶なしが選択できます。マットカラーを基調としたGB350に合わせて、艶なしの生地を採用しました。
ミシン縫いによるタックロールはウェルダーの様に型で製作するのとは異なり、職人の腕が試されます。丁寧な仕上がりを心掛けて製作させて頂きました。
バイクシート神戸
6万アイテムを超える国内最大量のシートカバーの型を保有し、最新モデルから絶版車、オフロードモデルやアメリカン、原付などあらゆるニーズに応えてくれるシートカバーの専門店。
品質を重視し、裁断から縫製まで国内自社工場で生産している。ユーザーがDIYできるシートの張り替えやすさも特徴だ。
複雑な形状のシートや自分でシートの貼り替えをするのが不安な場合は、職人が最高のクオリティで張り替えを行なってくれる。
細かい部分変更にも対応してくれるので、自分だけのマシンを作りたいユーザーにもうってつけなのだ。