バイクの所有者にとって楽しみ一つでもある、バイクカスタム。ドレスアップパーツやスマホホルダなどのサポートアイテムは比較的容易に取り付け可能なものから、エンジンチューンナップなどカスタムの種類は様々です。
中でも、マフラーカスタムにより大きく様変わりする見た目、乗り心地、排気音等に所有者の心は満たされるでしょう。特に、排気音が静かな「純正マフラー」からの交換の効果は絶大。よりライダーとしての喜びを感じることができるカスタムの一つです。しかし、バイクをカスタムするにあたりクリアしなければならない問題があることも理解しておかなければなりません。
音は運転に重要な「情報」
自動車を運転する場合、人は景色や交通ルールなど膨大な情報を脳で処理し、操作しています。その情報の多くは「視覚」で認識し、とらえていますが、周囲の音や自車の異音など「聴覚」から入るの情報も重要な認知能力の一つです。
ライダーにとって運転中の変速時の作動音やや排気音は、マシンの状態が正常かどうかを判断する「目安」になります。万が一何らかのトラブルが発生した場合や思い通りの操作が行えていないときは、「音(異音)」として表れることがあります。
ライダーは周囲の音が聞こえ難い
ライディング中の姿を想像するとわかりやすいのですが、運転中のライダーは視界や周囲の音にやや「鈍感」になってしまうかもしれません。考えられる理由をいくつか挙げて考えてみようと思います。
① ヘルメット着用による制限
フルフェイスやジェットタイプであれば、帽体が耳を覆ってしまうため通常時と比べて周囲の音が聞き取りにくくなります。
周りの音が聞こえにくい・・・
かも・・・
「聴力の低下」により踏切の警笛音や緊急自動車のサイレンなどが聞こえにくくなります。また、近年はヘルメットインカムの使用率が向上していますが、大音量で音楽を聴いていると接近する他車の「気配」を感じ難くなるので、適切な音ボリューム調節を心がけなければなりません。
② 自車の排気音による影響
クルマとは異なり、バイクはエンジン音や排気音がライダー直下から鳴り響きます。クルマと比べると大きな音に巻かれながら運転することになります。
特に周囲の音をかき消してしまうほどの大音量マフラーを装着していると騒音になるだけでなく、身に迫る危険な音に気付かないこともあります。
法律で定められた音量基準(dB)は「騒音基準」だけではなく、運転者自身の判断能力を保護する目的が含まれていることを知っておきましょう。
↓一般社団法人 JMCA 全国二輪車用品連合会 WEBサイト
大きな音を聞き続けると、耳鳴りや聞こえの低下が起きることがわかっています。聴力の低下は一時的な症状であったとしても、それが運転中はプラスに働くことはありません。楽しいツーリングの序盤、中盤、終盤と、スキのないライディングに努めたいですね。
大音量マフラーのバイクを長時間運転すると、疲労感も半端ないよね??疲労は事故のリスクを高めます。
③ 運転に集中しすぎる
不安定な要素を抱えながら運転するバイクですから、バランスを崩せば命取りになる事は容易に考えられ運転には相当な集中力が求められます。しかし、操作に集中しすぎると意識の範囲が狭くなり、周囲の音を気にしなくなってしまうかもしれません。
他車の接近に気づかないまま運転し、至近距離でその存在を確認したとき(真横や急な割り込み等)、驚いた拍子にバランスを崩すことも考えられます。よく似た経験を持つライダーもいるのではないでしょうか。
大きな排気音量は違法であり、交通取り締まりの対象
爆発的なバイクブームに穏やかになりつつありますが、ライダー人口増加に伴い交通事故も増加傾向にあります。空ぶかし走行やローリング走行は当人にとっては面白いものかもしれませんが、いわずもがな迷惑千万。バイクブームとはいえ「全ての交通社会」において二輪ライダーは少数派なのです。
本人はマフラーからの音に酔いしれていても、周りから見ればただの騒音。独りよがりな行為がバイクに対して厳しい目がむけられる切っ掛けになり、本来はバイクが通行できていたところが禁止となったり、バイクの駐輪場が整備されず不便な思いをする、ということにつながっていきます。
一部の悪質な珍走行為によりライダーやバイク全体のイメージが低下してしまうのは本当に残念なことです。
まとめ
今回は音について考察しましたが、排気音が小さかったりEVのように構造上全く別物というのも、味気のないものです。二輪免許保有者として、節度あるカスタムで限りあるバイクライフを楽しみたいと思いませんか。