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DIYメンテ de オフロードバイクが巧くなる! vol.1「まずは、足まわりのどこが傷んでいるか見つけよう」

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

「なんか、最近バイクがマンネリ」「あんまり上達してる気がしない」そんなオフロードバイク乗りの人にお勧めしたいのが、メンテナンスです。特に、トレールバイクの場合は傷み方が緩やかで、普段から乗っている本人はバイクの黄色信号を見落としがち。タイヤやブレーキがおろそかだと、全然うまくいきませんよ。この連載では、モータークリニック ストラーダの渡辺健さんに、DIY メンテの基礎を教えてもらいましょう。

渡辺健さん/藤波貴久・小川友幸選手をはじめ、トライアルのトップライダーとの交流も深く、自身もトレールをつかったオフロードバイク遊びを提案したり、ライテク講座を開催してきた、オフロードの伝道師。現在は、バイク修理専門の「モータークリニック ストラーダ」を運営中

目次

バイクはタイヤを使って走るから、下からチェック。だからタイヤから診ましょう

今回、クランケとして用意したのは、20000km走行したセロー250。おそらく、いま日本で一番台数が多いオフロードバイクで、残念ながら惜しまれつつ販売終了。こちらはDG17Jという型式の、2016年式でFIが採用されており、放置しても壊れづらいメリットがあります。オフ走行、公道走行ともにしてきた個体で、普段は青空駐輪。

バイクは、タイヤを使って走るもの。全部みるならどこからでもいいのですが、優先すべきはタイヤ周辺です。ってことで、まずはタイヤをみていきましょう!! こちらはフロントタイヤ。特にアスファルトを走ったブロックタイヤは、ブレーキングで斜めに消耗(段減り)していることがしばしば。写真のように、ブロックが残っていて段減りしていなければオフロードバイクのタイヤはまずまずといったところ。トレール用のタイヤには、ちゃんとスリップサインがついていますが、これはあまり当てにしなくてOK。土の上で走るには、スリップサインよりだいぶ前に交換が吉です。

リアタイヤも、トレイルタイヤとしては十分残っていますね! セロー250の純正リアタイヤは、チューブレスタイヤなので釘などが刺さってもすぐには空気が抜けません。タイヤを回転させて、異物がないかもチェックしましょう。

空気圧は、タイヤを実際におして確認してもOKです。ただ、タイヤ自体の固さによって感触はことなるので、これは玄人向き、あるいは急いでるときの確認方法ですね。

正しくは、エアゲージを使いましょう。オフの場合、必ずしもマニュアルに沿う必要はありません。特に、林道を走る場合は1.0kgfくらいにしておくと走りやすくなります。高速道路を走る場合は、規定値までいれておきましょう。

毎回やる必要はないのですが、ホイールベアリングのチェック。横にタイヤを動かしてみて、カタカタとガタがあったら、レッツゴーバイク屋さん。

ついでに、スイングアームのピボット(付け根のボルト・ベアリング)もチェック。横に動かしてガタがあれば、分解してベアリング類の交換が必要です。どちらも、20000kmではガタが出る心配はないでしょう。

フロントを浮かせて、ステムベアリングもチェックしましょう。実は、ステムベアリングはフロントタイヤが摩耗していると消耗しやすいのが特徴です。特に高速を多用する人は、みてみましょう。ステムにガタがあると、ハンドリングが悪くなってしまいます。

肝心要のブレーキをしつこくチェック

ブレーキは、この内側のパッド残量が何よりも大事です。残量がなくなると、一気に効かなくなってしまうのでとても危険。しつこくちゃんと診るようにしましょう。フロントは、逆側からこうやって診るのですが、わかりづらいですよね…

ならば、キャリパーを外してしまうのも手です! 上下2カ所のボルトを外すだけなので、意外と簡単。

診ておいて良かった! このセローは、もう1000kmも持たないところまで削れきっていました…。オフロードのブレーキパッドは、砂の多いところを走ったり、泥で走ったりすると、すぐに減ってしまうのです。走行距離で管理できないパーツだということを、覚えておきましょう!

奥が新品のパッドです。掘られている溝が無くなったら、交換サインなんですが、セローについていたパッドはもうライフゼロ。ブレーキ周りのリフレッシュは、また今度別記事で紹介しますね!

リアブレーキは、後輪を外さないとキャリパーが外れないので、目視で確認するのがいいでしょう。こちらは十分ありました。

それと、ディスクの摩耗も確認しておきましょう。こうやって左右からゆびで挟んで、段付きを診ます。だいたい、縁に段がついてしまっていることが多いです。深くなってきたら、交換を検討しましょう。パッドのあたる面積が減り、だんだん効きが悪くなっていきますよ。

安全はタイヤから考える

バイクは、タイヤで走るもの。特に、土の上を走ることでオフロードバイクの足まわりは、特殊だし重要なものです。オンロードと違うのは、摩耗限界の見極めが人それぞれだってことです。オンロードは、スリップサインを診ていればなんとなく交換時期がわかりますが、オフロードの場合は、走るフィールドや、技量、タイヤの種類によっても違います。

セローのようなトレールバイクの場合、トレールタイヤという一般公道を走ることに重点をおいたタイヤが一般的なのですが、トレールタイヤはどちらかというとロードバイクのように、溝を掘ってブロックを作っているような感覚に近いかもしれません。タイヤの全面に対する溝の比率を「ネガティブ比」と言うのですが、トレールタイヤはネガティブ比が低く(溝が少なく)、レース用のタイヤはネガティブ比が高く(溝が多く)なります。さらには、山の高さもタイヤによって多種多様だし、タイヤのゴム質もまったく違います。

タイヤというのは、メーカーが「公道可」「公道不可」と自主規制で決めているものなので、実は公道可のタイヤは公道でグリップが必ずしも高いかというとそうではありません。公道を使うレース「エンデューロ」用のタイヤは、公道可ですが公道ではグリップが極端に落ちます。構造上、公道不可のモトクロスタイヤ(ハード用に限る)のほうがグリップしたりもします。

覚えておいてほしいのは、トレールタイヤと呼ばれる以外のタイヤを履く場合には、ほとんどリスクが伴うということです。場合によっては、セローといえどトランポで運ぶことも検討が必用ですよ!

text&photo RIDE-HUCK

RIDE-HUCK掲載日:2021年8月18日

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