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DIYメンテ de オフロードバイクが巧くなる! vol.8「ブレーキをいつもよりキレイにしちゃうの巻」

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

バイクでもっとも大事なのは、ブレーキですよね。当たり前ですけど、止まれない以上の恐怖などありません! モータークリニック ストラーダの渡辺健さんに、今回はちょっと踏みこんだブレーキのクリーニングを教えてもらいましたよ!

渡辺健さん/藤波貴久・小川友幸選手をはじめ、トライアルのトップライダーとの交流も深く、自身もトレールをつかったオフロードバイク遊びを提案したり、ライテク講座を開催してきた、オフロードの伝道師。現在は、バイク修理専門の「モータークリニック ストラーダ」を運営中

目次

トレールバイクのブレーキは、かなり傷んでいる!!

乗るたびに洗車され、屋内保管されるレーサーとはちがい、日々ブレーキにとっては過酷な道路を走り続けているトレールバイク。そのほとんどが、ブレーキが傷んでいるのをご存じでしょうか。メーカーが絶対にトラブルを起こさないよう設計しているだけあって、そのままでも十分な性能を発揮するのですが、クリーニングしてあげることで引き摺りが少なくなったり、動きがスムーズになります。ただし、他人所有の自動車のブレーキ整備は、整備士の資格が必要なのでご注意を…。ご自身のバイクを整備する方も、十分な注意と共におこなってくださいませ!

まずは、ブレーキキャリパーから見ていきましょう。ブレーキキャリパーが固定されているうちに、スライドピンのボルトを回しておくとグー。

そして、ブレーキキャリパーを留めているボルトを外していきます。

セロー250の場合、2本外せばブレーキキャリパーを外せますね。

あ…。ブレーキパッドが瀕死でしたね…。清掃以前の問題でした。

上が新品のブレーキパッド。下がセロー250につけられていたものです。下、溝がなくなっていて使用限界を超えています。少しは余裕をもってブレーキパッドを設計してありますが、もうすんでのところでブレーキパッドがなくなり、鉄の部分でブレーキローターを削ってしまうところでした。だいたい、鉄があたりはじめるとシャリシャリという音が鳴り始めます。鳴り始める前にきづくべき案件です…。

ちなみに、上のパッドは新発売のZETA ジグラムパッド ダートシンタード。レーサー、トレールバイク、どちらも同じ品質でリリースされました。つまり、オフロードレースに必要なレーシングスペックを持ったブレーキパッドなのです。とはいうものの、ロードバイクのカーボンパッドのような扱いづらさはありません。むしろ、効き始めでしっとりした感触があって、とってもコントローラブル。林道好きには、特におすすめしたいところ。

ZETA
ジグラムパッド ダートシンタード
素材: シンタード材
価格: ¥4,950(税込)

スライドピンを抜くと…

キャリパーサポートがこんな感じで開きます。パッドは、このまま取り外せばOK。

キャリパーサポートは、もう片方のスライドピンからすっと抜いておきましょう。

で…最大のお題目はここです。キャリパーピストン。見ての通り、トレールバイクの場合はブレーキパッドの交換サイクルが長いこともあって、ピストンが出たまま放置されがち。なもんで、こんな感じで錆や汚れがたまっていってしまうのです。パッドを変えるためには、このピストンをキャリパーに押し込むのですが、このぐさぐさな部分をキャリパーに押し込むわけですか? いいわけないですよね! このピストンとブレーキキャリパーの間にはシールがあるんですが、もちろんシールが傷みます。ってことは、ブレーキフルードが漏れる原因になっちゃいます。ブレーキピストンの動きもよくないので、ブレーキコントロールがしづらくなっちゃいます。最悪です。

ブレーキキャリパーを徹底オーバーホールするの術

まずは、あたりが汚れないようにウエスで保護しましょう。

ここからは、禁断。ブレーキパッドを交換する時に、レバーを握っちゃダメって言われましたよね。ここぞとばかりに、握りまくります。そう、ピストンを押し出してしまうのです。

再利用を考えない場合は、ペンチで抜いてしまってOK。大抵の場合、ここは新品に換えたほうがいいですね。コツは、2つのピストンは同じように押し出されるわけではないので、レバーを握るたびにピストンの出方を調整し、両方同じようにでるようにすることです。運が良ければ、両方一緒に外れてくれます。

だばーっと出ているのは、ブレーキフルードです。ブレーキキャリパーに滞留していたブレーキフルードが一気に流れ出しました!

左/新品。右/使用済み。スムーズに動くようになることは、素人目から見ても明らかです。たのしみですね!

キャリパーの内部とご対面。溝が2つ、ここにシールが2つずつ。つまり、両方で4つのシールが入っています。

ブレーキキャリパーを傷つけないように、そっとピッカーなどの先の細い工具でシールをかきだしてやります。

パーツクリーナーで汚れを入念におとしておきましょう。

新品のシールに交換するのが吉です。ブレーキフルードで、湿らせておきましょう。

新品シールをインストール。

そしてピストンを入れます。フルードで滑るようにしておけば、すーっと入っていきます。この動きなら、ブレーキがスムーズに動くことは疑いの余地がありません!

バッチリ!

可動部分には、耐熱性のあるグリスを塗布します。

ブレーキパッド、キャリパーサポートなどを組み直します。Z−WHEELのロゴがしぶい!

ピストンも全部はいった形であれば、これだけクリアランスが開くんですね。

ブレーキキャリパーは、絶対に外れてはいけない部分。ボルトにマーキングしておきましょう。

仕上げにブレーキフルードを入れていきます

ブレーキキャリパ−からブレーキフルードを出してしまったので、補充しなくてはなりません。

ブレーキマスターのキャップを開けます。フルードには攻撃性があるので、ウエスでまわりを保護しておきます。

ブレーキキャリパーのブリーダーに、径のあうホースを差し込み、フルード受けを用意しておきます。で、ブリーダーボルトを開放。すると、キャリパーのフルード通路が開放されるわけです。で、ブレーキマスターのレバーを握ると、フルードが圧送されてきます。通路にはエアがはいってしまっているので、このエアをブリーダーから出し切ってしまいましょう。

ブレーキフルードを補充し、ブレーキマスターからブレーキフルードでエアを押し出す形です。激しく操作すると、エアが細かくなってしまい、いわゆるエア噛みをおこしてしまいます。ゆっくりブレーキフルードを圧送していけば、すっとエアが抜けてくれますよ。

ブリーダーからエアが出てこなくなったら、ブリーダーを閉めます。ブレーキレバーを握ってしゃっきりしたフィーリングなら成功!

レーシーなブレーキパッドがちらみえしますね!

text&photo RIDE-HUCK

RIDE-HUCK掲載日:2022年6月17日

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