モータークリニック ストラーダの渡辺健さんが教えるDIYメンテの連載、今回も大事なパーツ「チェーン」をフィーチャー。近頃「バイクが重いな」なんて思ってませんか? そういうときは、たいていチェーンが汚れていて、スムーズにまわらなくなっています。チェーンの整備次第で、燃費も1桁台かわるくらいの影響がありますよ!! それにセロー250の場合はチェーンの規格が細めの428サイズ。さびてしまったチェーンでは、切れてしまう危険性も潜んでいます。汚れるたびにチェーンを洗ってあげて注油してあげたほうがいいですよね。つまり…バイクのチェーンが汚い人は、バイクのことを思いやれていない人、というわけです。わかりましたか?
渡辺健さん/藤波貴久・小川友幸選手をはじめ、トライアルのトップライダーとの交流も深く、自身もトレールをつかったオフロードバイク遊びを提案したり、ライテク講座を開催してきた、オフロードの伝道師。現在は、バイク修理専門の「モータークリニック ストラーダ」を運営中
普段のチェーン整備がモノを言う
チェーンを整備するには、チェーンクリーナーと、チェーンルブ、ブラシ、ウエスが必要です。まずは、ここからスタート。灯油で洗う、なんて人もいたりしますが、特にシールチェーの場合はチェーンクリーナーを使わないとOリングが傷んでしまうので、専用品を使うのが吉ですよ。チェーンクリーナーは、できれば数コマずつ塗布してから、ブラシとウエスで汚れを落とします。機能的には、内側の摺動部分こそキレイにすべきなのですが、外側の見栄えも大事ですよね。
汚れを落とせたら、注油です。チェーンルブをチェーンの内側から塗布していきます。
ここで、日ごろのメンテでオススメなこちらを紹介しておきましょう。スイングアームにひっかけてリアタイヤを浮かせてくれる優れものです。重整備には適さないものですが、安定感は十二分。洗車のおともに、ひとつもっておくと便利です。ロードバイクでも使えますよ! ただ、間違ってもエンジンをかけてリアタイヤをまわしながら塗布しないように!! もし指が巻き込まれたら飛んじゃいますからね。
UNIT
C5025 スイングアームリフトスタンド
重さ : 767g
品番 : UN-C5025
価格 : ¥3,740(¥3,400)
サイズ : 折り畳み時
奥行 70 × 幅 95 × 高さ 220 (mm)
高さ : 330mm~380mmまで対応
耐荷重 : 250kgまで対応
チェーンの状態を確認するには、チェーンを真ん中あたりでひっぱりながら、スプロケットの後端を後ろに引っ張ります。ダメなチェーンの場合、コマの間が伸びてしまっていて、隙間がしっかり空いてしまいます。このチェーンは、雨ざらしで動きこそ鈍いのですが、消耗はしていませんでした。つまり…乗ってもいないし、保管もダメってことですね(汗)。心が汚れすぎたチェーンは、思い切って交換してしまいましょう!!(冗談はさておき、ここまでさびていると動きもよくありませんからね!)
あきらめてチェーンを交換する…
チェーンを切るには、クリップかカシメかを見極める必要があります。これがクリップ。これがなければ、カシメタイプです。クリップの場合は、チェーン自体を外して清掃したりできるメリットがありますが、クリップが飛んでしまうとチェーンが切れてしまいます。わりと少なくないトラブルなので、一般的にはカシメが多いですね。
クリップは、プライヤーでクリップを外してやります。ここでは、HOZANの専用工具を使っています。じつはこれ、マニアックですが便利です。
DRC
プロチェーンツール
品番: D59-16-112
サイズ: 420 / 428 / 520 / 525 / 530まで対応
価格: ¥10,450(¥9,500)
カラー: ブラック
チェーンツールとしてコストパフォーマンス抜群。カット、プレートの圧入、かしめの3作業が可能です。こちら、思い切り剛性感のあるボディでできています。チェンツール、特にカッター機能は、かなりの応力が本体にかかるので、何度も使えない製品も多々ありなのですが、これならカット用のピンも別売で買えるし、いつまでも使えること請け合い。このクラスの剛性をもったチェーンツール、この値段ではなかなかないですよ!
カシメ、クリップを外したら、プレートの隙間にマイナスドライバーを差し込んでこじり、プレートを外します。カシメの場合、かなりかたく圧入されているので、ハンマーで叩きやすいスプロケット部分で作業するといいでしょう。
こんな感じで外れます。
チェーンを外してみると、コマの内部はこんな感じです。本来、このOリングでグリスが封入されているはずなのですが、みてのとおり軸も錆錆ですね!
新品のチェーンをかけて、チェーンの長さを調整します。最近は、標準の長さにプリカットされているキットも出ているので、それを使えばカットの必要はありません。
コマに、Oリングを入れてからグリスを塗って組み込んでいきます。
チェーンをつなぎ…
こちら側にもOリングを入れます。
クリップの場合は、このままプレートを入れます。
カシメの場合は、プロチェーンツールでプレートを圧入します。圧入用のピンを使います。
クリップの場合は、まわる進行方向へクリップの閉じた方を向けます。これを守らないと、何かにチェーンがあたったときにクリップが外れてしまうのです。このトラブルは、かなり頻発するので、ちゃんとチェックしましょう。
プライヤーでかちっとクリップを嵌めて完了です。
カシメの場合は、チェーンツールでかしめなくてはいけません。
text&photo RIDE-HUCK
RIDE-HUCK掲載日:2021年10月19日