日本最古の巡礼である「西国三十三か所巡礼」はご存じでしょうか。約1300年前、徳道上人が三十三の霊場の礎を築き、後に「観音霊場巡り」として民衆の間で"バズった"歴史を持つ最古の巡礼路を言います。現在は日本遺産に登録されており各地の文化や伝統を語る有形・無形文化遺産となっています。古来より高名な偉人達が行ってきた巡礼路へ二輪指導員・森モトヒロが「末永いバイクライフ」という想いを胸に巡礼の旅へ向かいます。
三重県のJR熊野駅からスタート
今回は「年式不明 SUZUKI 250SB」にKLX250のオフロードタイヤを装着したマシンを使用します。このバイクはKAWASAKI KLX250をOEM車で、純正ヘッドライトの形状やグラフィックが違うほかは「そのまんまKLX」なので、ほぼすべての部品が流用可能。カッティングシートで「MAKITA SUZUKI」っぽいデザインを適当に施してあります。
「七里美浜海岸」〇〇日本一
早速の絶景ポイント紹介は、国道42号線のすぐ横に延々と続く太平洋と七里御浜海岸。小石や砂利で覆われた砂礫(されき)海岸としては、日本一の長さを誇り、熊野市~紀宝町まで「七里」の距離がある海岸だそうです。ちなみに海岸から少し沖から突然深くなり、また高潮の危険もあるため遊泳禁止。
直線路なのに楽しい
ツーリングの醍醐味といえば、やはりワインディングロードかもしれませんが、国道42号線は直線なのにすごく楽しく感じます。西側に紀伊山地、東側に太平洋という雄大な自然に囲まれているからでしょうか。
平日にもかかわらずツーリングの集団と何度もすれ違うという事は、そういうことなのかもしれません。
「道の駅」密集するR42号線
道の駅 「熊野・花の窟(いわや」
熊野市駅から数分で早速現れるのが、道の駅 「熊野・花の窟(いわや」今回は立ち寄りませんでしたが、日本書紀にも記されている日本最古の神社があり、人気のパワースポットにもなっています。
花の窟神社 https://hananoiwaya.com/index.html
道の駅「パーク七里御浜」
お気に入りの道の駅「パーク七里御浜」。展望デッキからは群青色に染まった太平洋・熊野灘の景色をパノラマで楽しめます。またR42 号線を渡る遊歩道を使って波打ち際まで行くことができるので、時間があれば試しに行ってみてください。
施設内の精肉店の「メンチカツ」「すき焼き風コロッケ」が絶品!売り切れになる事も珍しくないとのこと。私のお気に入り。
パーク七里ガ浜道の駅 紀宝町ウミガメ公園
「パーク七里御浜」から数分の「道の駅ウミガメ公園」では本物のウミガメを見ることができる珍しい道の駅。七里御浜はウミガメの産卵ちになっており、保護地区に指定されています。ウミガメに関するグッズの販売や「カメ」についての研究もおこなわれており、学びを深めることができます。
道の駅 なち
「道の駅 なち」のすぐ隣がJR那智駅でした。八咫烏(やたがらす)は熊野信仰のシンボル。サッカー日本代表ユニフォームに描かれていますよね。あれです。
一番所 那智山「青岸渡寺」
西国三十三か所巡礼の一番所は、和歌山県那智勝浦町の「那智山・青岸渡寺(せいがんとじ)」。じつは「熊野那智大社」と隣り合わせに建っており、熊野信仰の一大修験道場となっていたとのこと。実際に行ってみると「お寺なのに鳥居」「狛犬と仁王像が背中合わせ」という当時の神仏習合の名残に触れることができる深い歴史と文化が残る広大な霊場です。
各霊場を巡るにあたり知っておきたい事・・・それは山門の「長ーい階段」。札所の多くは山に建立されているため、お参りには少々の体力が求められます。とはいえ、バイクに乗るライダーであれば、それほど心配しなくていいでしょう。また、幸いにも霊場のほとんどが観光名所ということなので、栄養補給の心配ご無用。お参りのまえの腹ごしらえもお忘れなく。
この土地は「那智黒」という黒飴と、和歌山県原産の柑橘類「じゃばら」が有名という事で、ご当地アイス「黒飴・じゃばらミックスソフト」を頂くことに。バイクに乗って糖分が欲しくなった身体を満たす十分な甘みにより、後に控える「山門の長い階段」を踏破できる自信がつきました。
※じゃばらとは
和歌山県北山村観光サイトhttps://www.vill.kitayama.wakayama.jp/kanko/jabara/
霊場巡礼と「御詠歌」
今回、集めて回るのは、かつて花山法皇が巡礼した際、各地に残した「和歌」。完成の暁には、各地の和歌が一冊にまとめられた「オムニバス」となります。バイクで巡って「家宝」を作るという事にロマンを感じざるを得ません。
補陀落や 岸うつ波は三熊野の 那智のお山に ひびく滝津瀬
短歌に載せられた情景をバイクに乗って地肌で感じると、意義深い旅をしているように思います。
御本尊は如意輪観音菩薩。この世の苦悩、混乱から人々を救うとされており、世界情勢不安やパンデミックに晒されたいま、この地に導かれた私は、不思議なパワーを感じざるを得ませんでした。
伊勢へ七度熊野へ三度
せっかくなので「青岸渡寺」「熊野那智大社」からすぐ近くの名瀑「那智の滝」へ。この滝の水柱は落差133mもあり、日本一の高さを誇ります。原生林を流れ落ちる大きな滝は大迫力であり一見の価値あり。神社仏閣を含む那智山は「伊勢へ七度 熊野へ三度」と言われるだけあって長旅を想定しておき、見どころがたくさんあるためツーリング計画にゆとりを持たせておくことをおススメします。
アクセス
幸いにも、近年は紀勢自動車道の整備が進むにつれて、紀州・南紀エリアにアクセスがより便利になりつつあります。
こちらでチェック↓
https://kumanonachitaisha.or.jp/pavilion/waterfall.html
気になるお店
帰る途中、再度「パーク七里御浜」へ立ち寄ったところ何やらオシャレな団子屋さんを発見。写真が映える色とりどりのおいしそうなお団子の数々。どれを食べても間違いないですね。
可愛いお団子とmyバイク・・・あぁ、バイク女子になりたい。
「焼き団子専門店@嘉福(かふく)」さん
https://www.instagram.com/kafuk_u/
御朱印×ツーリングは相性良し
各地の文化と伝統を見て知って楽しむ巡礼と、土地の風や空気を全身で浴びながら移動するツーリングの相性は抜群。自宅から景勝地までの空気の変化、歴史や伝統の移ろいを地肌で感じることができるツーリングは、かつて人々が辿っていた「生身」の旅とどこか似ている気がします。
次回は和歌山市「紀三井寺」巡礼をご紹介します。