歴史あるバイクの実車や、当時のマニアックな資料などを見て楽しめる施設。
それがバイクの博物館!
バイク好きにとっては夢のような場所ですね。
こんにちは! ライターのサブローです。
前回の記事に引き続き、栃木県の「ホンダコレクションホール」の展示車両を紹介します。
前回の記事では、展示されていたバイクを「市販車」カテゴリーとして紹介していましたが、
今回は「レース車両」にスポットをあてて、個人的に目を奪われてしまったバイクたちを紹介します。
ホンダコレクションホールに関する施設の情報や利用料金は以下の記事をご参照ください。
個人的に目を奪われたマシンたち TOP3【レース車両編】
ホンダコレクションホールは、2階が市販車、3階がレース車両の展示コーナーとなっています。
このレース車両の展示コーナーで見つけた個人的TOP3のバイクを紹介していきます。
1位/ゼッケン74は永遠に【テレフォニカ・モビスターNSR250】
2000年初頭、WGP(現:MotoGp)で無敵の強さを誇っていたバレンテイーノ・ロッシ。
少し個人的な話をすると、ボクは当時、WGP(500cc)のリザルトを見るたびに「またロッシが勝ったか…」と、連戦連勝のチャンピオンに驚く一方で、マンネリ化していくレース展開につまらなさを感じていました。
しかしそのころ、250ccクラスには日本人の天才ライダーがいました。ホンダの加藤大治郎です。
写真のNSR250は、当時加藤大治郎が乗っていたマシンです。
2001年、加藤大治郎はこのNSR250と共に、WGP250で世界チャンピオンに輝きます。
しかも年間最多勝記録(11勝)という偉業も同時に達成。
そうなると多くの人々は「ある思い」を抱き始めます。もちろんボクもでした。
「大治郎が500や1,000のマシンに乗れば、ロッシの牙城を崩せるのでは?」と。
その期待に応えるように2002年、加藤大治郎はMotoGP(この年からWGPから名称改編、2スト500ccと4スト1,000ccの混走)にステップアップ。
ロッシら上位ライダーが乗る最新の1,000ccマシン・RC211Vを相手に、不利なNSR500で異常な速さを見せる加藤大治郎。
その功績から彼にもRC211Vが与えられることになり、いよいよロッシvs.大治郎という夢のカードが現実味を帯びていきます。
しかしその矢先、予選中の事故により加藤大治郎は救急搬送。2003年4月20日、帰らぬ人となってしまいました。享年26でした。
無敵の王者・ロッシにさえ驚異的な存在としてライバル視されていた加藤大治郎。
もし彼が生きていれば日本人初のMotoGPチャンピオンが誕生していたかも…と思うと残念でなりません。
しかし生前、加藤大治郎はあるプロジェクトを立ち上げていました。
子どもたちを対象としたポケバイレース「大治郎カップ」です。
「未来のWGPライダーが育つように」という願いが込められたそのレースは今も開催されていて、ここから世界で活躍する若い日本人ライダーが何人も巣立っています。
彼らがいつか、加藤大治郎が叶えようとしていた夢を現実にしてくれるかもしれない。
そしてそのマシンがいつか、コレクションホールに展示される日が来るかもしれない。
そんなことを思いながら、このNSR250を1位に選びました。
2位/砂漠の女王【NXR750】
1986年以降、パリ・ダカールラリーで4連覇を成し遂げたホンダのワークスマシン。
いま大人気のアドベンチャーツアラー・アフリカツインのご先祖にあたるバイクです。
このバイクに目を奪われた理由はラジエターと燃料タンク。
まずこのバイク、ラジエターが2つあります。
しかもそれぞれが独立した経路を確保しています。
常に転倒のリスクと隣り合わせのパリダカにおいて、もしラジエターを破損させようものなら即オーバーヒートでリタイヤ。
そんな事態に備えて、万が一破損しても、もう片方が無事なら冷却性能を確保できるという発想です。
事実、NXR750 はオーバーヒートによるトラブルは1度もなかったそうです。
次に燃料タンクですが、こちらはなんと3つあります。
通常の燃料タンクの位置に2つ配置し、さらにリヤに1つ。
理由は2つあって、1つは総量約50リットルもの燃料を1ヶ所に集中させると重量バランスが崩れてしまうため。
もう1つはラジエターと同じ発想で、どれかが破損してもコックを閉めて中身を移せば走れるという理由から。
ちなみに、タンクの下部分が膨らんでいる構造は、妊婦さんのお腹を見て閃いたのだとか。
「砂漠の女王」の異名で知られるNXR750ですが、「王」ではなく「女王」なのは、これが理由なんでしょうか?
3位/前代未聞の125cc並列5気筒エンジン【RC149】
小排気量の多気筒エンジンが大好物のボクがガッツリ目を奪われたのがロードレーサーのRC149。
ホンダが1966年の世界GP125ccに投入したマシンらしいのですが、エンジンのスペックがちょっとおかしいです。
エンジンスペック
形式 4サイクルDOHC4バルブ
冷却方式 空冷
排気量 124.42cc
シリンダー数 5気筒
最高出力 34馬力以上/20,500rpm
最高速度 210km/h以上
車体重量 85kg
変速機 8段
ちょっと変じゃないですか? この数値。
今の時代だと125ccで2気筒というだけで大注目されているというのに、60年前のバイクが5気筒ですよ。
さらに回転数は2万rpm以上、ギヤは8速、最高速210km/h以上という目を疑う文字が並ぶクレイジーなバイクです。
本田技研工業のYoutube公式チャンネルでエンジン音が聞けるのですが、回転数が高すぎて2ストみたいなサウンドになっています。
ぜひ一度聞いてみてください!
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