北海道・喜茂別町に、廃校になった小学校を利用したライダーハウスがあります。ゲストハウスやキャンピング場も併設されており、多くのツーリングライダーが訪れています。「かかさん」と呼ばれる女性と、その子どもたちが協力し合い、宿を盛り立てている「雪月花廊」を紹介します。
廃校になった小学校を人が集まる場所に!
「雪月花廊」は、国道276号の支笏湖方面からニセコへ向かう途中にあります。ツーリングルートとして人気なので、通った事があるライダーは少なくないでしょう。オーナーの今関安雄さんは「多くの人が集まる場所を作りたい」との思いを温めていました。そんなときに、「喜茂別町が廃校になった双葉小学校を活用してくれる人を募集している」という情報を耳にします。見学してみると90mもある廊下が気に入り、この場所で宿を開くことを即決しました。
廃校になった双葉小学校をリノベーションし、2005年に「旧双葉小学校史料館」としてオープン。翌年7月にライダーハウス&カフェ「雪月花廊」としてスタートしました。「”ととさん”(安雄さんの愛称)はライダーではありませんでしたが、若い人をサポートしたいという気持ちが強かったようです。お金のない人には『しばらくウチで働いて行かないか?』と、引き留めたこともありました」と、”かかさん”(奥様の舞子さんの愛称)は当時を振り返ります。
突然の別れと想いを引き継ぐ決心
「人生は思い出が宝物」をテーマに、暖かくもてなしてくれる「雪月花廊」は、ライダーたちの口コミで評判が広がり、たくさんの人が訪れるようになりました。これからも夫婦で思い出を作っていくと思われていましたが、2017年9月に”ととさん”は突然帰らぬ人になりました。
夫を失ったショックに加え、雪月花廊の経営や建物の修繕など、現実的な問題が”かかさん”にのしかかります。そんな時に支えになってくれたのが、3人の子どもたちでした。「人が集まる場所を残してくれたので、雪月花廊を閉じることは考えなかった」と、”かかさん”は言います。雪月花廊の随所に”ととさん”の思いが残されており、静かに見守っている気がします。
居心地抜群なライダーハウス&ゲストハウス
現在はライダーハウスの他に、ゲストハウスやRVパークも併設するなど、進化し続けています。ライダーハウス(5月〜10月末)は、男女別ドミトリーで寝袋を持参します。一泊(素泊まり)1,000円(初回利用のみ入会金500円が必要)で、連泊は最大5泊まで。入浴と朝夕の食事も提供しています。また、プラス500円で、「秘密の小部屋」という個室を利用することができます。
ゲストハウスは4室あり、いずれも個性的な作りになっています。中でも「ウエスタンルーム」は、西部開拓時代で時間が止まったかのような雰囲気。長い廊下の果てにたたずむ引き戸を開けると、倉庫をリノベーションした客室が現れます。
アメリカ西部をイメージした空間には、獣の毛皮や角がディスプレイされています。大きなロフトが設けられ、まるで秘密基地のよう。空気が澄み切っているので、夜には専用テラスから降り注ぐような星空を眺めることができます。
体育館も使用可能で、トランポリンが設置されています。音響機材を保護するためにボール遊びは禁止されています。ルールを守って楽しく遊びましょう。
食事は、宿泊客と今関一家がテーブルを共にします。ライダーハウス利用者も一泊二食付き3,000円、一泊夕食付き2,500円、朝食のみ600円で利用できます。手作りでとてもおいしく、ゲスト同士の会話が弾みます。
ツーリングの休憩場所としても最適。カフェの利用も多く、中でも名物の「ルスツ豚丼」はおいしいと好評です。宿泊でもランチでも温かく迎えてくれる、「雪月花廊」を訪れてみてください。
雪月花廊
住所:虻田郡喜茂別町中里392
電話:0136-33-6067
カフェレストラン
営業時間:11:00 ~ 15:00(L.o14:30)
定休日:月曜日(臨時休業日あり)