道の概要
決して景色抜群の素晴らしい道路ではないけれど、近代の歴史を学んだ者なら誰もが何がしかの感慨をもつのが『野麦峠』。岐阜県飛騨から長野県岡谷に至る険しい道を、100年以上も前に少女たちが越えていったと思うとそれだけで走りたくなってしまう。
『野麦峠』という名前はメジャーだが、道路はマイナー。完全舗装ではあるが1.5車線程度の山道が続く。長野側は樹林のトンネルを走るが、岐阜側は飛騨川の深い谷の合間を下っていく。自然災害も多く通行止めになることが多い難所の峠でもある。女工哀史の物語がなければ、何の変哲もない峠道だったかもしれない。開田高原や飛騨高山方面のツーリングの途中にでも立ち寄りたい。
夏休みともなれば子ども連れの観光客が多いのが特徴で、多分学校で学習して夏休みの家族旅行の工程に入れたのだろう。峠周辺には野麦峠の館、お助け小屋と兄弟の像、展望台には政井みねの碑(吉永小百合さん寄贈)もある。『女工哀史』や映画『ああ野麦峠』を予習しておけば、この道路はさらに感動が増す。何度も来る場所ではないかもしれないが、一度は足跡を記しておきたい。早期の道路復旧を期待したい。
お薦めのシーズン
- 6月開通後の新緑から紅葉の10月中下旬。
周辺立ち寄りポイント
◆お助け小屋
始まりは天保12年(1841)に建てられた。雪の峠を越えた工女達が体を休めたのがこのお助け小屋です。現在のお助け小屋は、昭和45年に野麦峠の麓、野麦集落の古い家屋を移築したもの。食事やお土産物がある。
◆野麦峠の館
1991年に野麦峠の歴史を紹介する資料館「野麦峠の館」が開館。しかし、老朽化等により2022年3月末に閉館し、資料の一部は隣接する観光施設「お助け小屋」に移して展示されることになった。
◆野麦峠オートキャンプ場
キャンプに必要な施設と区画整備された芝の30区画あり、全てのサイトで車の乗り入れと電源の使用が可能で、初心者にもやさしいキャンプ場。
◆清水チーズ工房
14頭のブラウンスイス牛と60頭のフライスランド羊を育て、“山のチーズ”作りに情熱を傾ける清水牧場チーズ工房。日経新聞の「私のぜいたくヨーグルト ベスト10」で1位に選ばれたこともある。