道の概要
徳島県南東部の美波町にある千羽海崖(せんばかいがい)は、穏やかな砂浜が続く室戸阿南海岸国定公園のなかで、趣が違う断崖絶壁が続く景勝地である。波による浸食と断層によって造られた高さ250mの切り立った崖が、大磯から外ノ牟井(とのむい)まで2kmにわたって続く。海食崖は、単なる波の浸食作用だけでなく、断層によるものと考えられ、室戸阿南海岸国定公園の特別保護地区になっている。周辺は四国のみち(四国自然歩道)が整備されており、一番の展望地大磯休憩所まで日和佐城もしくは龍宮公園から遊歩道で2㎞ほどの道のりだ。南阿波サンラインは、この千羽海崖とそれに続く断崖の絶壁上を走り、美波町から牟岐(むぎ)町に至る観光有料道路として1974年に全線開通し、1988年に無料化され徳島県道147号日和佐牟岐線となった。
ウミガメの繁殖地として有名な日和佐大浜海岸、道の駅日和佐を過ぎて、国道55号から分岐し南阿波サンラインに入る。しばらくは樹林帯の中を登り、千羽トンネルを抜けたあたりから、絶壁の海岸上を走るサンラインの快走区間になる。
南阿波サンラインのコース上にはパーキングエリアが4ヶ所あり、それぞれに展望台が整備されリアス式の海岸美と海に浮かぶ島々の景色を楽しめるようになっている。
第1展望台。高さ200mの絶壁が連なる『千羽海崖(せんばかいがい)』を南側から望める場所で、屋根付きの円形ベンチがある。北方面は眼下の外ノ牟井海岸に下る橋脚道路が誇らしげに見える。道路開通時には千羽海崖展望台に通ずるロープウェイまであったというから、徳島県の観光産業は相当気合を入れていたようだ。すべては水泡に散った。
第4展望台からは『牟岐大島』が間近に見え、4つの展望台の中で最も開放感がある場所だ。ここは、朝日の名所としても素晴らしいようで、『初日の出』を拝むポイントとして知られている。
開発から50年を経過しているが、路面状況はよく適度なヘアピンやアップダウンが続き、絶壁の上を走るシーサイドロードとしてはなかなか素晴らしいのではないか。都心部から距離があることから、それほど多くの車両の通行もないので、存分に走りを楽しむことも可能だ。
しかし、どの展望台も周辺は樹木で覆われていて、すっきりと美しい太平洋を見ることは少々厳しく、トイレ等施設の老朽化、投棄物など課題が生じているようだ。
2008年地元関係者等による「南阿波サンライン再生プロジェクト委員会」を立ち上げ、2012年からは住民主導による「南阿波サンライン活性化協議会」に移行して活性化に向けた取り組みが行われている。
お薦めのシーズン
- 通年で楽しめる。青い太平洋を感じる夏が一番。台風など天気には注意。
周辺立ち寄りポイント
◆大浜海岸(うみがめの里)
ウミガメの産卵地として広く知られ、毎年5月中旬~8月中旬にかけて産卵のためアカウミガメが訪れる。白砂の海岸は南国詩情あふれる景勝地としても有名で、日本の渚百選にも選ばれている。
◆蒲生田岬
四国最東端の岬で、灯台からの景色が素晴らしい。晴れた日には遠く大鳴門橋、淡路島、和歌山県まで望むことができる。海岸ではゴロゴロとした大きな石が波に洗われ、北寄りの砂浜はアカウミガメの上陸産卵地としても知られている。