日本各地の走って気持ちよい道、楽しい道、美しい道などを紹介しているモトメガネの人気コンテンツ『日本百名道』。
北海道から沖縄県まで、紹介している道は100本以上にわたる。
今回はその名道の中で眺望の良い絶景道『雄大な光景』を楽しめる道を紹介しよう。
さらに『道の駅』コンテンツもあるので、そちらと合わせてルートを組めば完璧!
ぜひともツーリングプランに役立ててほしい。
【北海道】糠平(ぬかびら)国道/国道273号線
〜雄大な原生林 北海道ツーリングの定番道路〜
北海道中央部に広がる雄大な大雪原生林の中を、層雲峡から糠平湖に走り抜ける国道273号は国内トップクラスのドライブルートである。中でも三国峠展望台からは東側に広がる原生林の景色は北海道の雄大さを感じる場所だ。
層雲峡から大雪湖を通って三国峠までは、山深い川沿いのルートで緩やかなカーブが連続し走りやすい。三国峠からは雄大な原生林を異物のような人工物であるいくつかの橋を下っていく。その後は、さわやかな白樺林の直線道路をクルージングしながら糠平湖に到着する。
北海道の東西を結ぶ幹線道路でもあるので、大型トラックの通行も多い。道路に駐車しての撮影は危険なので、駐車スペースに停めることをお薦めする。
道は大変よく整備され冬季走行を前提にした道幅も広く運転はしやすい。ツーリング本でよく見る松見大橋は、三国峠駐車場から少し東に向った緑深橋からの撮影になる。橋の手前に駐車スペースがあるので、そこにバイクを置いて撮影したい。
【福島】磐梯吾妻スカイライン/県道70号線
〜吾妻連峰を縦走する山岳スカイライン〜
東北地方を代表する日本有数の山岳スカイライン。最高地点1622m、平均標高1350mを走り抜け、森林道路、高所展望道路、そして荒涼たる火山地帯と1本の道路でさまざまなシチュエーションを楽しむことができる。特に浄土平付近の荒涼感はこのスカイラインの白眉と言っていい。
福島西ICから15分ほどの高湯側の入り口からはいると、最初は森林の中をぐいぐいと登っていく。つばくろ谷にかかる不動沢橋は新緑や紅葉が美しい場所。さらに登ると紅葉の名所「天狗の庭」に到着する。周辺には駐車場がないのが難だが、道路脇から眺める森林と吾妻小富士は絶品。さらに進むと周囲の景色が一変、硫黄の臭い漂う荒涼たる広大な浄土平が迎えてくれる。毒性の強い亜硫酸ガスも出ており、バイクでの走行は注意が必要。こちら側の道路はやや狭く路面も荒れているところがある。
浄土平から土湯方面は一転、森林道路を芸術的なカーブを繰り返しながら下っていき路面状態もよく走りは楽しい。各展望所からは素晴らしい景色が広がるが、とりわけ湖見台からのぐるりと回り込むカーブは芸術的ですらある。そして磐梯山を眺望しながら終点の土湯峠に向う。
【群馬】志賀草津道路/国道292号線
〜国道最高地点「渋峠」を走るワインディングロード〜
草津温泉から白根山までは、荒涼とした火山地形の中を走る。殺生河原付近は有毒な硫化水素ガスが噴出し強い硫黄臭が鼻をつくので要注意。そこから白根山までは荒々しい景色の中連続するカーブを走る。途中いくつか駐車帯があるが、東向きなの日の出時間に絶景を楽しみたい。かつて一番人気だった湯釜は有毒ガスと噴火の影響で現在は立ち入り禁止となっている。周辺の散策はできないのが残念。
白根山を過ぎると一転して北アルプス、北信五岳を遠望しながら森林地帯を山田峠まで走る。山田峠までに3箇所の駐車帯があり、それぞれ絶景撮影ポイントである。中央分水嶺周辺は絶景ポイントで、志賀高原の横手山や芳が平方面の景色は素晴らしい。さらに進むと雪壁区間になり、整備された広い駐車場にバイクをおいて、雪壁と少しの登ったカーブからみえる山田峠の景色は秀逸である。そして志賀草津道路の一番人気の国道最高地点からは草津温泉街、芳が平、白根山、富士山、蓼科、八ヶ岳まで遠望できる。駐車場は狭い(車5~6台)ので週末は混む。尾根伝いを走ると長野県との県境の渋峠に着く。
渋峠ホテル内には国道最高地点到達証明書が5種類用意されている。渋峠と横手山ドライブイン側から夏リフトで横手山山頂へ登ることもできる。山頂は最近雲海テラスが設置されカフェも充実、笠が岳と北アルプスの雄大な絶景が広がる。渋峠から横手山ドライブインまでの区間は、北アルプスを眺望しながらスノーシェードの道を走る。冬季閉鎖解除後の早朝は凍結部分があるので注意。ドライブインからつづら折りの道を下っていく。志賀高原側は豊かな森林地帯となっており、新緑から秋の紅葉まで楽しむことができる。時間があれば、蓮池交差点から奥志賀高原方面に足を延ばし、ホテルグランフェニックスでお茶して贅沢を味わうのも楽しみだ。このホテルは現天皇陛下夫妻がほぼ毎年スキーで宿泊する。さらに進めば奥志賀林道で野沢方面に抜けることができる。
【山口】秋吉台カルストロード/山口県道32号秋吉台・県道32号線
〜カルスト地形を突き進む絶景ロード〜
日本一の規模を誇るカルスト地形『秋吉台』を突き抜ける道路が県道242号秋吉台線。現在は『秋吉台スカイライン』または『カルストロード』と呼ばれている。典型的な中国山地のなだらかな台地を走る観光道路。
羊の群れのように見える秋吉台のいたるところに突き出ている岩は、地下深くに埋もれていたサンゴ礁の石灰岩が、プレート運動により隆起して地上に出てきたものだ。 秋吉台の石灰岩には、古生代時代に海に生息していた生物の化石が多く含まれている。カルスト台地のあちこちにある地面がすり鉢状にへこんだ所、これをドリーネと呼ぶが、カルストロードはドリーネと石灰岩の合間を縫って駆け抜けていく。
観光地として日本三大鍾乳洞の秋芳洞(鍾乳洞)があり、夏は道路の他に涼しい鍾乳洞も散策したい。ドライブとしては秋吉台展望台から先がメインとなり、周囲の白い岩を眺めながら爽快に走る事ができる。特に長者ケ森の駐車場付近が一番そういう雰囲気を楽しめる場所になっている。さらに北へ進むと石灰岩は少なめになり普通の高原になる。
【熊本】阿蘇登山道路/県道298号線
〜 世界最大級のカルデラ「阿蘇山」を駆け上がる登山道路〜
世界最大級のカルデラを持つ阿蘇山に登るのがこの阿蘇登山道路で、別名阿蘇パノラマラインと呼ばれている。ミルクロードが外輪山から阿蘇を眺望する道路なら、こちらは、カルデラの底から阿蘇山に登っていく道路。水田の道から大草原の牧場を登る道、最後は荒々しい火口に向う道は、牧歌的であり雄大でもある。阿蘇パノラマラインは坊中線、赤水線、吉田線の3つのルートから阿蘇中岳に向う。
坊中線は、やまなみハイウェイからミルクロードを経て大観峰で阿蘇のカルデラを実感した後、そのまま国道212号(日田往還)を下り、道の駅阿蘇(JR阿蘇駅)あたりから登っていく。牧場地帯を走り牧歌的な雰囲気と外輪山の雄大さを味わえる道だ。途中、米塚付近で西側から登る赤水線と合流しそのまま山頂に向かう。3つのルートの中では、直線道路と緩やかなカーブが続き、最も阿蘇の雄大さを感じる道で、誰もが雄叫びが上げたくなる。登りもいいが、阿蘇五岳を右側に外輪山を左側に眺望しながら走る下りは秀逸だ。ツーリング特集で上位に入るのも納得できる。
赤水線は、ミルクロードの西端の道の駅大津から国道57号で東に向かい、下野交差点を右折して阿蘇ファームランド前を通り、牧場やすすきの草原を登り、米塚を見ながら坊中線と合流する。
吉田線は、阿蘇ロープウェイ駅手前から南方面に向かうルートだが、意外と車は少なく走りには最適だ。火の山トンネルを抜け白水村に下る部分は、カルデラの底の美しい水田地帯と外輪山を見ながらのドライブとなる。収穫期の8~9月の黄金の水田は特に美しい。白水付近でつながる阿蘇南部広域農道~国道265号は根子岳を眺望する快走路で、月廻り温泉館からの根子岳は素晴らしい。ミルクロードとは異なる東側から阿蘇の景色を堪能することができる。