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空冷単気筒の鼓動感がめちゃ楽しい! ロイヤルエンフィールドのミドルクラスバイク「クラシック350」 の2025モデルに乗ってきた!

※記事内容は全て執筆時点の情報です。

ロイヤルエンフィールドのクラシック350に乗る谷田貝 洋暁。カラーはシグナルズ・シリーズ コマンド・サンド(価格:701,800円税込)
クラシック350のシグナルズ・シリーズ コマンド・サンド(価格:701,800円税込)

インドのロイヤルエンフィールドは空冷エンジンを主戦力とするクラシカルなデザインを得意とするバイクメーカーだ。現在、同社では空冷SOHCの350/411cc単気筒、水冷DOHCの450cc単気筒、空冷SOHCの648ccの並列2気筒のモデルをラインナップ。今回発表されたのは、その名のとおりミドルクラスのモデルでは最もクラシカルなスタイルを持つClassic350(クラシック・サンゴーマル)の2025モデルだ。

2024年12月18日に行われた東京広尾でのクラシック350の特別試乗会の様子。インド本社の多くの二輪メディア関係者が訪れ新型クラシック350の試乗をを楽しんだ。
2024年12月18日に行われた東京広尾でのクラシック350の特別試乗会の様子。多くの二輪メディア関係者が訪れ新型クラシック350の試乗を楽しんだ。

試乗・文:谷田貝 洋暁
写真:河野 正士/谷田貝 洋暁

目次

ヘッドライトのLED化などさらに魅力がアップしたロイヤルエンフィールド・クラシック350

ヘリテージ・シリーズ  ジョードプル・ブルー(価格:694,100円税込)
ヘリテージ・シリーズ  ジョードプル・ブルー(価格:694,100円税込)

2025年モデルにおける最大の改変ポイントはヘッドライトとポジションランプが、従来のバルブ式からLED光源に変更されたこと。また右スイッチボックスにUSBタイプCのを備え、一部の機種はターンバイターン式のナビゲーション表示システムのトリッパーやLEDウインカーを装備することになった。

ヘッドライトに加え、ロイヤルエンフィールドではタイガーアイと呼ぶポジションランプが2025モデルからLED化。
ヘッドライトの光源に加え、ロイヤルエンフィールドではタイガーアイと呼ぶヘッドライト上のポジションランプが2025モデルからLED化された。
右スイッチボックスにフタ付きのUSBタイプCソケットを装備し、スマートフォンなどの充電が行えるように。
右スイッチボックスにフタ付きのUSBタイプCソケットを装備し、スマートフォンなどの充電が走行中に行えるようになった。

<SPEC>
●全長/全幅/全高:2,145mm/785mm/1,090mm
●装備重量:195kg
●シート高:805mm
●燃料タンク容量:13ℓ

●エンジン型式:空冷4サイクル単気筒SOHC 2バルブ
●総排気量:349cm³
●最高出力:14.9kW〈20.2PS〉
●最大トルク:27N・m〈2.7kgf・m〉
●変速機: 5速
●ブレーキ形式:前φ300mmディスク、後φ270mmディスク/ABS
●タイヤサイズ(前/後):100/90-19/120/80-18
●価格:694,100円〜728,200円税込(税込)

ロイヤルエンフィールド・クラシック350のは5タイプ7色。カラーによる仕様の違いをどこよりも詳しく説明するぞ!

・ヘリテージ・シリーズ

2025モデルのクラシック350のスタンダードモデルに位置付けられるのがヘリテージ・シリーズ。ヘッドライトにはロイヤルエンフィールドが好んで採用するキャスケット(ツバ)が付き、ワイヤースポークホイールを採用するなどクラシックなスタイリングを追求。国産メーカーをはじめクラシカルなモデルはたくさんあるが、ここまで本格的なレトロ感を持ったバイクはロイヤルエンフィールドくらいである。

というのもロイヤルエンフィールドでは、2005年まで1955年に発売したブリットシリーズの基本構造はそのままに、モデルチェンジを繰り返しながら50年間売り続けていたくらいである。1955年といえば、ヤマハが二輪車第一号機のYA-1を発売した年である。そんなことから、2005年以前のロイヤルエンフィールドは“新車で買える旧車”とか、“走る化石”なんて呼ばれていたくらいだ。

ティアドロップ形状のタンクにはエンブレムとニーグリップパッド付き。
ティアドロップ形状のタンクにはエンブレムとニーグリップパッド付き。
ハートを逆さにしたようなメーターデザインはブレッドシリーズからのアイデンティティ。2025モデルはギヤポジションインジケーターを追加。
ハートを逆さにしたようなメーターデザインはブレッドシリーズからのアイデンティティ。2025モデルはギヤポジションインジケーターを追加。
フロント19インチホイールはワイヤースポーク仕様でブレーキはABSも装備。
フロント19インチホイールはワイヤースポーク仕様でブレーキはABSも装備。
パッセンジャーシートは取り外しての一人乗り登録も可能だ。
パッセンジャーシートは取り外しての一人乗り登録も可能だ。
ライダーシートはクラシカルな鞍型で、パッセンジャーシートはグラブバー付き。
ライダーシートはクラシカルな鞍型で、パッセンジャーシートはグラブバー付き。
シーソー仕様のチェンジペダル。踏むだけでアップ&ダウンが行えるのでお気に入りの革靴も傷つかない。
シーソー仕様のチェンジペダル。踏むだけでアップ&ダウンが行えるのでお気に入りの革靴も傷つかない。

・ヘリテージプレミアム

ロイヤルエンフィールド・クラシック350のヘリテージプレミアム  メダリオン・ブロンズ(価格:698,500円税込)
ヘリテージプレミアム  メダリオン・ブロンズ(価格:698,500円税込)

ヘリテージシリーズよりも4400円高のメダリオン・ブロンズは、ブラックカラーのシートに加え、フェンダーやタンク、サイドカバーなどに凝った装飾を施すなどさらなるクラシックテイストを追求している。

・シグナルズ・シリーズ

ロイヤルエンフィールド・クラシック350のシグナルズ・シリーズ コマンド・サンド(価格:701,800円税込)
シグナルズ・シリーズ コマンド・サンド(価格:701,800円税込)

もともとイン・パ戦争時に軍用車としてイギリス本国からインドへ輸出。その後、1955年からOEM生産がインドでスタートしたという経緯を持つロイヤルエンフィールド。シグナルズ・シリーズのコマンド・サンドは、そんなロイヤルエンフィールドの歴史を感じられるミリタリーテイスト仕様

カモフラージュパターンのタンクに入れられている、ミリタリーチックなナンバリングは車両によって異なり、どのナンバーになるかは納車時のお楽しみとのこと。
カモフラージュパターンのタンクに入れられている、ミリタリーチックなナンバリングは車両によって異なり、どのナンバーになるかは納車時のお楽しみとのこと。
エンジン、サイレンサーに加え、ホイールなどもミリタリーテイスト溢れるブラック仕様となっている。
エンジン、サイレンサーに加え、ホイールなどもミリタリーテイスト溢れるブラック仕様となっている。
シグナルズ・シリーズのコマンド・サンドはヘッドライトにキャスケットがない。
シグナルズ・シリーズのコマンド・サンドはヘッドライトにキャスケットがなく、ウインカーはバルブ仕様。

・ダーク・シリーズ

他のモデルとは違い、キャスト&チューブレス仕様のホイールを装備し、ダーク系のカラーリング&ブラックアウトエンジンを採用するダーク・シリーズ。このほか、メーターにトリッパーを採用したり、レバーに調整機構が付いたりとヘリテージ&シグナルズシリーズとは差別化がされている。

ダークシリーズはキャストホイールでタイヤはパンクに強いチューブレス仕様。
ダークシリーズはキャストホイールでタイヤはパンクに強いチューブレス仕様。
メーター右側にあるのがトリッパー画面。スマートフォンとコネクトすることで、ターンバイターン式のナビゲーション表示する。
メーター右側にあるのがトリッパー画面。スマートフォンとコネクトすることで、ターンバイターン式のナビゲーション表示する。
レバーは類がブラック塗装となり、レバーの握り幅調整機構が追加される。
レバーは類がブラック塗装となり、レバーの握り幅調整機構が追加される。
ダーク・シリーズもヘッドライトにキャスケットを装備しない。またウインカーもLED化されている。
ダーク・シリーズもヘッドライトにキャスケットを装備しない。またウインカーもLED化されている。

・クローム・シリーズ

ロイヤルエンフィールド・クラシック350のクローム・シリーズ エメラルド(価格:728,200円税込)
クローム・シリーズ エメラルド(価格:728,200円税込)

シリーズの最高級モデルに位置付けられているのがクローム・シリーズのエメラルド。タンク、サイドカバー、前後フェンダーなどに高級なクロームメッキが施されており、クラシック350シリーズの中でも最もクラシカルテイストが強調されている。装備面でも最上級モデルらしく、メーターにはトリッパーを備え、ウインカーもLED化されるなどヘリテージシリーズとは差別化されている。

レバー幅の調整機構を備え、ウインカーもLED化されている。
ヘリテージシリーズにはないレバー幅の調整機構を備え、ウインカーもLED化されている。

走る化石!? 2025モデルのロイヤルエンフィールド・クラシック350をインプレッション

エンジンや車体を含む大きな改変を行なった2005年以降のロイヤルエンフィールドは、シフトチェンジとブレーキーペダルの配置が現代の一般的なバイクと一緒になると共に、セルスターターやディスクブレーキ、そしてその少し後にはインジェクション化などなど、装備が一気に近代化。この20年の間にものすごく使い勝手がよく、乗りやすいモデルに進化した。

試乗会場には、2005年以前の“走る化石”といわれた時代のロイヤルエンフィールド ブリットが置いてあった。オーナー車で現役らしいが、新型のクラシック350と見比べると、いかに現代のロイヤルエンフィールドが昔ながらの雰囲気を大切にしているかがわかる。
試乗会場には、2005年以前の“走る化石”といわれた時代のロイヤルエンフィールド ブリット(しかもかなり古い!)が置いてあった。この機体はオーナー車で現役らしいが、新型のクラシック350と見比べてみるといかに現代のロイヤルエンフィールドが昔ながらの雰囲気を大切にしているかがわかる。
この頃のエンジンは、シリンダー&クランクと、ギヤボックスが分割構造だった。
この頃のエンジンは、シリンダー&クランクと、ギヤボックスが分割構造だった。
チェンジペダルが右にあり、ブレーキペダルが左……つまり現代のバイクとはペダルレイアウトが逆だったのだ。
セルスターターなんてものはなく、キック始動オンリー。しかも、これがなかなか手順も複雑で、ヤマハのSRの比ではないくらいの手順(儀式)が必要だった。
2005年のモデルチェンジまでブレーキペダルが左にあり、チェンジペダルが右。……つまり現代のバイクとはペダルレイアウトが逆だったのだ。
キックペダルの脇にあるのがニュートラルファインダー。完全にバイク停止してしまうとニュートラルが出せなくなってしまうので、このレバーを踏んでニュートラルを出すのだ。
オーナー車ということで色々変わってはいるが、計器にアンメーター(電流計)があり、始動時にはこのアンメーターの針の振れ具合で上死点を探し出してキックする。
当然ブレーキは前後ドラム式。しかもリーディングトレーディング式ではないので上り坂にめっぽう弱く、レバーを強く握っていても停止していられないくらいだった。

ロイヤルエンフィールドのモデルには、シフトペダルとブレーキペダルのレイアウトが逆だった2005年以前のモデルから歴代の車両を試乗させてもらっているが、毎度驚かされるのがエンジンの鼓動感だ。

このクラシック350も同じで、ロングストロークかつ重めのクランクマスを採用することで、慣性モーメント(イナーシャ)を強くしており、スロットルを開けると「ドッ、ドッ、ドッ……」という強い鼓動感とともに、後輪が力強く路面を蹴り進む感覚が味わえるのだ。

決してレスポンスのいいスポーティなフィーリングのエンジンではないので速くはないが、 街中で多用する極低速から中速までの速度域では、この重めのクランクマスを活かしたテイスティな力強い走りが楽しめる

車体に関してもクラシックな見た目どおり、決してコーナーを攻めるようなキャラクターではなく、エンジンの鼓動を感じながらゆったりのんびり流すくらいのペースで走るのが面白い。フロント19インチホイールのおかげで極低速から安定感が出るので交差点の右左折もスムーズに行えた。

試乗会場が都内だったため、一般道のみ。高速道路での快適性やワインディングでのインプレッションは回を改めてお伝えしよう。
試乗会場が都内だったため一般道のみ。のんびり走るだけでもエンジンの鼓動を感じられ、日常の移動が楽しくなる!

このクラシック350シリーズは、349ccのバイクということで普通自動二輪免許で乗ることができることもあり、免許取り立ての初心者がファーストバイクとして購入を検討することも多いと思うが、低速トルクが強くてエンストしにくいキャラクターは十分、ビギナーにもおすすめできる。

ひと昔前のロイヤルエンフィールドというと、外車であること以上にちょと手を出しにくいクセの強いメーカーであったのも事実だが、現行モデルのロイヤルエンフィールドならそんな乗りにくさなどは皆無で普通に乗りやすい。それでいて本格的な旧車のスタイルや強めのエンジン鼓動を楽しめるのだから嬉しいかぎり。しかも、なんとインド本国の意向で“3年間の距離無制限メーカー保証”が全車についていることもあり、誰もが安心してロイヤルエンフィールド車を選ぶことができるようになっている。

クラシック350のシート高は805mm。単気筒の車体はスリムかつ、鞍型シートの前部がしっかり絞られているため足がとても出しやすい。おかげで両足とも踵までべったりついた。(ライダー:身長172cm/75kg)
クラシック350のシート高はシリーズ全て805mm。単気筒の車体はスリムかつ、鞍型シートの前部がしっかり絞られているため足がとても出しやすい。おかげで両足とも踵までべったりついた。(ライダー:身長172cm/75kg)

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